いつからか有事の金という言葉が使われるようになり、多くの投資家がリスクオフ志向が強まると安全資産の金が買われるようになりました。コロナショック時も、リスクオフ志向が強まり、金への注目度が高まった時期がありましたね。。
ただ、多くの人が何となく金を買っておけば安全だろうと思っていることに対しては、警鐘を鳴らしたいと思っています。
今回は金ETFに投資をしていく三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』について徹底分析していきます。
「ファインゴールドって投資対象としてどうなの?」
「ファインゴールドって持ってて大丈夫なの?」
「ファインゴールドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』の基本情報
投資対象は?
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』の投資対象は純金上場信託です。純金上場信託は国内に保管される金の現物を裏付け資産としています。ファインゴールドは金ETFに投資するだけなので、ポートフォリオに面白みはありません。
※引用:交付目論見書
金価格の推移は?
ファインゴールドに投資をするのであれば、金価格が過去にどのように推移をしているのかを確認しておくことはとても重要です。
金=何となく安全というイメージがありますが、金価格も常に変動していますので、何も知らずに投資をすると、元本割れすることがあり得ます。
2011年~2018年ごろまでは4000円~4800円のレンジを推移していたのですが、2020年以降はでレンジを突破し、大きく上昇し始めています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』 の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買できなかったり、コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』の純資産総額は、現在830億円程度となっており、直近で資産を伸ばしています。2011年ごろから着実に純資産を伸ばしてきており、有事の金に対する信頼は厚いと言えますね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』の実質コストは1.07%となっています。投資対象のETFの運用コストが0.44%とこれが高コストになってしまっている原因です。この手数料は痛いですね。
購入時手数料 | 1.1%(税込)※上限 |
信託報酬 | 0.99%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.07%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』の評価分析
基準価額をどう見る?
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』の基準価額は、株式ファンドとはかなり異なる値動きをしていますが、2022年も高値を更新していますね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは+22.81%と大きくプラスとなっています。3年、5年、10年平均利回りで見ても、どの期間もプラスになっており、悪くないパフォーマンスです。
ファインゴールドはあくまでも株式等のヘッジ目的で購入されている方が多いと思いますので、最低限プラスの運用ができていれば問題ないと思っています。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +22.81% |
3年 | +13.12% |
5年 | +9.49% |
10年 | +4.70% |
※2022年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』は、コモディティカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
ファインゴールドは、直近1年間は平均以下の水準ですが、10年平均利回りは上位20%にランクインしており、優秀な成績を残していることがわかります。
上位●% | |
1年 | 59% |
3年 | 60% |
5年 | 63% |
10年 | 8% |
※2022年10月時点
年別運用パフォーマンスは?
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』の年別の運用パフォーマンスも見てみましょう。
2015年と2018年はマイナスとなっていますが、それ以外の年ではしっかりとプラスのリターンを残しています。
2022年などは特徴的ですが、通常の株式相場が大きく下落したときに上昇してくれる銘柄というのは、ポートフォリオという観点で考えれば、投資をする価値があると言えます。
年間利回り | |
2022年 | +15.07%(1-9月) |
2021年 | +3.52% |
2020年 | +19.06% |
2019年 | +15.16% |
2018年 | ▲4.46% |
2017年 | +6.84% |
2016年 | +3.61% |
2015年 | ▲9.94% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』は株式等とは性質が異なるため、比較にならない部分もありますが、株式ファンドと比べて、どの程度の利回りで運用ができているのかは気になるところです。
そこで、非常に人気の高い先進国株式のインデックスファンドであるeMAXIS Slim先進国株式インデックスと比較しました。
※引用:モーニングスター
2021年以降は、eMAXIS slim 先進国株式インデックス(黄線)のほうがパフォーマンスでは上回っており、ファインゴールド(赤線)は大きく差をつけられています。
より長期のパフォーマンスで比較しても、eMAXIS slim 先進国株式インデックスには負けていますが、十分なパフォーマンスで運用できていることがわかりますね。
ファインゴールド | slim 先進国 | |
1年 | +22.81% | +5.43% |
3年 | +13.12% | +16.65% |
5年 | +9.49% | +11.72% |
10年 | +4.70% | - |
※2022年10月時点
最大下落率は?
投資するのであれば、ファンドがどの程度下落する可能性があるのかは知っておきたいところです。
もちろん標準偏差から変動幅を予測することはできますが、やはり過去にどの程度下落したことがあるのかを調べるのがよいでしょう。
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』は2013年4月~2014年6月の間に最大20.76%下落しています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲15.86% |
3カ月 | ▲20.76% |
6カ月 | ▲16.22% |
12カ月 | ▲16.58% |
※2022年10月時点
この下落率をどう見るかは人それぞれですが、金への投資でも、これくらいの下落はありえるということは覚えておいてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけ三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』を購入している人が多いということなので、評判がよくなっているということです。
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』は、2019年の6~8月だけ資金が流出超過となっていますが、それ以外の月では資金が流入しています。
コロナショックの影響でさらに金への人気が高まっており、コロナショックが落ち着くまではファインゴールド人気は継続しそうです。
※引用:モーニングスター
三菱UFJ 純金ファンド『ファインゴールド』 の評価まとめと今後の見通し
いかがでしたでしょうか?
コロナショックはまさに典型的な例ですが、有事の金は通常の株式ファンドとは全く別の動き方をします。
ですので、リスクヘッジという意味で、株式ファンドとファインゴールドを合わせて保有をしておくというのは運用戦略として補完的な関係になるので、面白いと思います。
ただ、2018年のようにファインゴールドも株式市場に合わせて下落してしまうこともありますので、一概にヘッジ機能を果たしているとは言えません。
また、ファインゴールドはあくまでもETFなので、もし本当に資産の保全を目的に投資をするのであれば、金を直接買ったほうがよいと思います
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点