フィデリティ・USリート・ファンドと並び、かつて純資産
総額が1兆円をこえていたラサール・グローバルREITファンド
(毎月分配型)。

 

直近3年ほどは上下しながらも右肩上がりに成長を続けて
いましたが、コロナショックの影響で3年分のリターンが
すべて吹き飛ぶ結果となりました。

 

私のお客様でもラサール・グローバルREITファンドを保有
している方が複数名おり、実際どうすればよいか、よく聞か
れるので、私なりにこちらのファンドを分析してみました。

 

ぜひ参考にしてください。

 

 

ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)の基本情報

投資対象は?

ラサール・グローバルREITファンドは世界中のREITを
主要投資対象とし、賃料収入を通じた比較的高い利回り
の獲得と景気循環を睨んだREIT価格の上昇を狙っていき
ます。

 


※引用:交付目論見書

 

米国REITが全体の約7割を占め、残り3割を他の先進国の
REITが占めています。

 

商業施設やオフィスビルへの投資比率が高いのも特徴です。

 


※引用:マンスリーレポート

 

運用体制は?

運用体制は4名のファンドマネージャーによるチーム運用制
を採用しており、平均の運用・調査経験年数は30年近くと
かなり経験豊富です。

 

アナリストは約20名とこちらも充実した調査体制となっています。
世界各国のREIT約450社を対象に最低年2回は訪問調査を行って
います。

 

ラサール社は、総合不動産サービスを提供するジョーンズ・
ラング・ラサール社のグループ会社ですので、母体である
ラサール社が日々収集している豊富な不動産情報を活かし、
物件価値を正確に査定できるのも強みと言えるでしょう。

 

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

 

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。

 

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、ファンドの運用で必ず発生する
運営コストが相対的に高くなるので、ファンドのパフォーマンスを
悪化させる原因になります。

 

そのため、純資産総額も事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

 

ラサール・グローバルREITファンドは一時期より規模が
小さくなったとはいえ、3200億円程度ありますので、
規模によるデメリットはありませんね。

 


※引用:マンスリーレポート

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

ラサール・グローバルREITファンドの実質コストは1.78%と
前期よりは0.03%ほど下がっていますが、とにかく割高な
設定となっています。

 

購入時手数料と合わせると5%近くになりますので、積極的
にはおすすめできません。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.65%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.78%(概算値)

※引用:最新運用報告書

 

ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?
と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

 

ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)の評価分析

基準価額をどう見る?

ラサール・グローバルREITファンドの直近3年間の基準
価額の推移を見ると右肩下がりになっています。

 

これは、ファンドの収益力より分配利回りが高いためです。

 

そして、コロナショックでさらに大きく下落しており、
3年間で40%ほど下落しました。

 

これにより分配利回りは高くなりますが、タコ足配当が
加速しそうです。

 


※引用:モーニングスター

 

利回りはどれくらい?

つづいて、ラサール・グローバルREITファンドの利回りを
見てみましょう。

 

直近1年間の利回りは▲16.50%となっています。

 

10年平均利回りは7%程度のプラスですが、3年、5年
平均利回りもマイナスでグローバルREITはかなり
苦戦しています。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り 2020年8月
1年 ▲16.50%
3年 ▲2.50%
5年 ▲2.56%
10年 7.34%

※2020年8月時点

 

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外リートファンド ランキング

 

同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化

ラサール・グローバルREITファンドは海外RIETカテゴリーに
属しています。

 

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

 

ラサール・グローバルREITファンドはどの期間においても
平均的なランキングであり、まだ他にパフォーマスの優れた
海外REITファンドがあることがわかりますね。

 

2020年8月
1年 57%
3年 54%
5年 62%
10年 44%

※2020年8月時点

 

年別運用パフォーマンス

ラサール・グローバルREITファンドの年別のパフォーマンスを
見てみましょう。

 

2014年に高いリターンはじき出しましたが、それ以降は
パッとしない年が続いていました。

 

2019年には2桁のプラスを出しましたが、それをはるかに
上回るマイナスを2020年の6カ月で出しています。

 

2020年はかなり厳しい結果が続きそうですね。

年間利回り
2020年 ▲19.09(1-6月)
2019年 +17.58%
2018年 ▲6.37%
2017年 +2.80%
2016年 ▲2.90%
2015年 ▲0.01%
2014年 +40.31%

※2020年8月時点

 

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

 

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

ラサール・グローバルREITファンドに投資をするのであれば、
より低コストで投資ができるインデックスファンドとの
パフォーマンスは比較してから投資をしても遅くはありません。

 

今回は、S&P先進国RIET指数に連動するSMT グローバルREIT
インデックスとパフォーマンスを比較してみました。

 


※引用:モーニングスター

 

かなり拮抗していますが、わずかにラサール・グローバル
REITファンドのほうがパフォーマンスで上回っています。

 

ただし、より長期間のパフォーマンスで見ると、
SMT グローバルREITインデックスのほうがパフォーマンス
で上回っていますので、

 

あえて高いコストを支払ってまで投資をする価値は
ありません。

 

ラサール SMTグローバル
1年 ▲16.50% ▲16.54%
3年 ▲2.50% ▲2.67%
5年 ▲2.56% ▲1.60%
10年 7.34% 8.46%

※2020年8月時点

 

類似ファンドとのパフォーマンス比較

毎月分配型のアクティブファンドに投資するのであれば、
同じく毎月分配型のアクティブファンドとパフォーマンスを
比較してから投資をしても遅くはありません。

 

今回はラサール・グローバルREITファンドと同じく世界の
REITに分散投資ができるDIAM 世界リートインデックス
パフォーマンスを比較しました。

 

直近のパフォーマンスはほぼ互角となっています。

 


※引用:モーニングスター

 

ただ、5年、10年平均利回りで比較をすると、
ラサール・グローバルREITファンドのほうがパフォーマンス
で劣っています。

 

そこまで大きな差ではありませんが、これであれば、DIAM
世界リートインデックスファンドに投資をしたほうが良いですね。

 

ラサール DIAM世界リート
1年 ▲16.50% ▲16.51%
3年 ▲2.50% ▲2.47%
5年 ▲2.56% ▲1.54%
10年 7.34% 8.43%

※2020年8月時点

 

最大下落率はどれくらい?

投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性があるのか
知っておくことは非常に重要です。

 

結局、多くの人が、大きな下落を経験すると、もうこれ以上は
損をしたくないと思い、基準価額が大きく下がったタイミングで
売却してしまうのです。

 

ラサール・グローバルREITファンドの最大下落率は、2008年3月~
2009年2月で▲65.10%となっています。

 

REITというのは、平常時は基準価額の変動幅がとにかく小さいの
ですが、暴落相場では株式並みに大きく下落します。そういう
特徴があることを理解したうえで投資をしないといけないですね。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲36.96%
3カ月 ▲53.92%
6カ月 ▲62.81%
12カ月 ▲65.10%

※2020年8月時点

 

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

 

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

 

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

 

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲441円 225円 ▲96%

※2019/8/29~2020/8/28

 

ラサール・グローバルREITファンドの直近1年間の
分配健全度は▲96%となっています。

 

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

 

コロナショックの影響も当然ありますが、あなたが受け
取っている分配金はすべてファンドの収益以外から支払われ
ていたことを意味します。

 

かつ、投資元本が大きく削られてしまっているということです。

 

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

 

分配金利回りは1年間で受け取った分配金の合計金額を
基準価額で割ることで計算できます。

 

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

 

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

 

ラサール・グローバルREITファンドの分配金利回りは
14%なので、ファンドの収益力をはるかに上回る分配
がされていることがわかります。

 

未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。

 

運用利回り 分配金利回り
1年 ▲16.50% 14.1%
3年 ▲2.50%
5年 ▲2.56%
10年 7.34%

※2020年8月時点

 

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

 

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

 

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

 

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

 

ラサール・グローバルREITファンドの分配金余力は、
まだ200カ月以上ありますので、減配の心配はいったん
しなくても大丈夫そうです。

 

ただし、分配金余力があるのと、タコ足配当が続いているのは
別問題ですので、タコ足配当が続いている限り、あなたの
投資資金から分配金が支払われているという構造は変わりません。

 

分配金 繰越対象額 分配金余力
179期 25円 5,350円 215カ月
180期 25円 5,332円 214カ月
181期 25円 5,319円 213カ月
182期 25円 5,294円 212カ月
183期 25円 5,270円 211カ月
184期 25円 5,258円 211カ月
185期 25円 5,233円 210カ月
186期 25円 5,213円 209カ月
187期 25円 5,197円 208カ月
188期 25円 5,173円 207カ月
189期 25円 5,151円 207カ月
190期 25円 5,133円 206カ月

積立NISAとiDeCoの対応状況は?

積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。

 

そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

積立NISA iDeCo
× ×

※2020年8月時点

 

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を
知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

 

資金が流出しているということは、それだけこのファンドを
解約している人が多いということなので、評判が悪いという
ことです。

 

ラサール・グローバルREITファンドは、2016年末までは毎月資金が
流入し、2016年末から資金の流出が止まりません。

 

資金が流出している=解約しているということですので、
多くの人が次から次へと投資信託を解約しているということです。

 


※引用:モーニングスター

 

ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)の評価まとめと今後の分配金の見通し

いかがでしたでしょうか?

 

今回、コロナショックの影響をもろに受けており、株式
だけでなく、債券、REITも軒並み大きなマイナスを出し
ています。

 

さすがにもう一段大きく下落するような動きにはなって
いませんが、実体経済への影響を考えると、まだまだ
油断はできない状況です。

 

今回の大暴落でラサール・グローバルREITファンドも
一時は50%近く下落する場面もあり、基準価額が大きく
下落したことで、分配金利回りがとても高くなり、
ファンドの運用としてはかなり厳しくなることが
予想されます。

 

少なくとも今の毎月25円の分配金はファンドの収益力
に対して過剰であり、今後数年間のグローバルREITの
成長率が4~6%程度と予想されているので、分配金を
適正な水準に戻すのであれば、約10~11円/月でしょう。

 

一方で、分配金を大きく下げてしまうと、資金の流出
が加速するため、運用会社はあまり積極的にやりたが
りません。

 

ラサール・グローバルREITファンドは現時点で分配余力
は200か月超なので、後20年くらいは分配金は受け取れ
ると思いますが、分配金が受け取れる=儲かるわけでは
なく、あなたが投資した元本がただ払い戻されている
だけなので、勘違いしないでくださいね。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

 

ラサール社は不動産会社を母体とした企業なので、現場の
不動産査定も多くのノウハウを持っています。

 

そして、ファンドのほうは運用体制も経験豊富なファンド
マネージャーやアナリストが揃っています。

 

ですが、実態は先進国REITのインデックスファンドにも
パフォーマンスで負けてしまっており、あえて高いコストで
パフォーマンスの悪いファンドに投資をする理由がありません。

 

現在、このファンドを保有している人は乗り換えを検討すべきでしょう。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点