フィデリティ・USリート・ファンドと並び、かつて純資産
総額が1兆円をこえていたラサール・グローバルREITファンド
(毎月分配型)。

私のお客様でもラサール・グローバルREITファンドを保有
している方が複数名おり、実際どうすればよいか、よく聞か
れるので、私なりにこちらのファンドを分析してみました。

「ラサール・グローバルREITファンドって投資対象としてどうなの?」

「ラサール・グローバルREITファンドって持ってて大丈夫なの?」

「ラサール・グローバルREITファンドより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。

ぜひ参考にしてください。


ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)の基本情報

投資対象は?

ラサール・グローバルREITファンドは世界中のREITを
主要投資対象とし、賃料収入を通じた比較的高い利回り
の獲得と景気循環を睨んだREIT価格の上昇を狙っていき
ます。


※引用:交付目論見書

米国REITが全体の約7割を占め、残り3割を他の先進国の
REITが占めています。

商業施設やオフィスビルへの投資比率が高いのも特徴です。


※引用:マンスリーレポート

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

ラサール・グローバルREITファンドのつみたてNISAやiDeCoの
対応状況を見ておきましょう。

残念ながらどちらも対応していません。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2021年9月時点

運用体制は?

運用体制は4名のファンドマネージャーによるチーム運用制
を採用しており、平均の運用・調査経験年数は30年近くと
かなり経験豊富です。

アナリストは約20名とこちらも充実した調査体制となっています。
世界各国のREIT約450社を対象に最低年2回は訪問調査を行って
います。

ラサール社は、総合不動産サービスを提供するジョーンズ・
ラング・ラサール社のグループ会社ですので、母体である
ラサール社が日々収集している豊富な不動産情報を活かし、
物件価値を正確に査定できるのも強みと言えるでしょう。

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。

純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金
を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が
相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。

また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその
投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなる
こともありますので注意が必要です。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

ラサール・グローバルREITファンドは一時期より規模が
小さくなったとはいえ、3400億円程度ありますので、
規模によるデメリットはありませんね。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

ラサール・グローバルREITファンドの実質コストは1.67%と、
割高な設定となっています。

購入時手数料と合わせると5%近くになりますので、積極的
にはおすすめできません。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.65%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.67%(概算値)

※引用:最新運用報告書

ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?
と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)の評価分析

基準価額をどう見る?

ラサール・グローバルREITファンドの直近3年間の基準
価額の推移を見ると10%ほど下落しています。

分配金を受け取らずに運用をした場合の基準価額(青線)を
見ると、3年間で25%ほど上昇していますので、過剰な
分配が行われていることがわかります。

そもそも基準価額が1000円台になっている時点で、
普通ではありえないので、おかしいと気づかなかければ
いけません。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

つづいて、ラサール・グローバルREITファンドの利回りを
見てみましょう。

直近1年間の利回りは40.11%となっています。

3年平均、5年平均は7%程度のプラスですが、10年平均利回りは
10%程度のプラスということで、年ごとに運用にムラあることが
ここから予想できます。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +40.11%
3年 +7.53%
5年 +6.45%
10年 +11.00%

※2021年9月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外リートファンド ランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

ラサール・グローバルREITファンドは海外RIETカテゴリーに
属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

ラサール・グローバルREITファンドはどの期間においても
平均的なランキングであり、まだ他にパフォーマスの優れた
海外REITファンドがあることがわかりますね。

上位●%
1年 31%
3年 63%
5年 52%
10年 43%

※2021年9月時点

年別の運用利回りは?

ラサール・グローバルREITファンドの年別のパフォーマンスを
見てみましょう。

2014年に高いリターンをはじき出しましたが、それ以降は
パッとしない年が続いていました。

2019年には2桁のプラスを出しましたが、マイナスの年が多く
平均しても高いリターンにはなりません。

平均利回りでみるとプラスになっていますが、毎年安定して
プラスが出ているわけではないので、注意してください。

年間利回り
2021年  +26.53%(1-6月)
2020年 ▲13.88%
2019年 +17.58%
2018年 ▲6.37%
2017年 +2.80%
2016年 ▲2.90%
2015年 ▲0.01%
2014年 +40.31%

※2021年9月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

インデックスファンドとの利回り比較

ラサール・グローバルREITファンドに投資をするのであれば、
より低コストで投資ができるインデックスファンドとの
パフォーマンスは比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は、S&P先進国RIET指数に連動するSMT グローバルREIT
インデックスとパフォーマンスを比較してみました。


※引用:モーニングスター

かなり拮抗していますが、終始、SMT グローバルREIT
インデックスのほうがパフォーマンスで上回っています。

ただし、より長期間のパフォーマンスで見ると、SMT
グローバルREITインデックスのほうがはっきりと
パフォーマンスで上回っていますので、あえて高い
コストを支払ってまで投資をする価値はありません。

ラサール SMTグローバル
1年 +40.11% +40.32%
3年 +7.53% +7.99%
5年 +6.45% +7.13%
10年 +11.00% +12.28%

※2021年9月時点

類似ファンドとの利回り比較

毎月分配型のアクティブファンドに投資するのであれば、
同じく毎月分配型のアクティブファンドとパフォーマンスを
比較してから投資をしても遅くはありません。

今回はラサール・グローバルREITファンドと同じく世界の
REITに分散投資ができるDIAM 世界リートインデックス
パフォーマンスを比較しました。


※引用:モーニングスター

直近3年間では、DIAM世界リートインデックスのほうが
パフォーマンスで上回っていることがわかります。

これは5年、10年平均利回りで比較しても同じ結果です。

また参考までに米国リートの代表でもあるダイワ・US-REIT
Bコースとも比較をしてみましたが、世界リートよりも
米国リートのほうが直近の運用はうまくいっています。

ラサール DIAM世界リート
1年 +40.11% +38.44%
3年 +7.53% +7.92%
5年 +6.45% +6.80%
10年 +11.00% +12.03%

※2021年9月時点

最大下落率はどれくらい?

投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性があるのか
知っておくことは非常に重要です。

結局、多くの人が、大きな下落を経験すると、もうこれ以上は
損をしたくないと思い、基準価額が大きく下がったタイミングで
売却してしまうのです。

ラサール・グローバルREITファンドの最大下落率は、2008年3月~
2009年2月で▲65.10%となっています。

REITというのは、平常時は基準価額の変動幅がとにかく小さいの
ですが、暴落相場では株式並みに大きく下落します。そういう
特徴があることを理解したうえで投資をしないといけないですね。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲36.96%
3カ月 ▲53.92%
6カ月 ▲62.81%
12カ月 ▲65.10%

※2021年9月時点

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
480円 165円 391%

※2020/9/25~2021/9/27

ラサール・グローバルREITファンドの直近1年間の
分配健全度は391%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

直近1年間はファンドの運用益から分配金をすべて支払う
ことができており、分配金利回りから考えると、今後も
ギリギリ運用益の範囲内で分配を出せる水準です。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

分配金利回りは1年間で受け取った分配金の合計金額を
基準価額で割ることで計算できます。

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

ラサール・グローバルREITファンドの分配金利回りは
約8%なので、高すぎるわけではありません。

ただし、ファンドの運用利回りよりも高いので、基準価額の
下落は止まりませんし、今後、減配の可能性はあります。

未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。

運用利回り 分配金利回り
1年 +40.11% 8.4%
3年 +7.53%
5年 +6.45%
10年 +11.00%

※2021年9月時点

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

ラサール・グローバルREITファンドの分配金余力は、
直近で減配したので500カ月近くあります。

ここまで減配していれば、当面心配はないと言えますね。

分配金 繰越対象額 分配金余力
197期 15円 5,049円 337.6カ月
198期 15円 5,038円 336.9カ月
199期 15円 5,027円 336.1カ月
200期 15円 5,019円 335.6カ月
201期 15円 5,008円 334.9カ月
202期 15円 4,998円 334.2カ月
203期 15円 4,984円 333.3カ月
204期 15円 4,973円 332.5カ月
205期 15円 4,965円 332.0カ月
206期 15円 4,952円 331.1カ月
207期 15円 4,939円 330.3カ月
208期 10円 4,942円 495.2カ月

※引用:最新運用報告書

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を
知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流出しているということは、それだけこのファンドを
解約している人が多いということなので、評判が悪いという
ことです。

ラサール・グローバルREITファンドは、2016年末までは毎月資金が
流入し、2016年末から資金の流出が止まりません。

資金が流出している=解約しているということですので、
多くの人が次から次へと投資信託を解約しているということです。


※引用:モーニングスター

ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)の評価まとめと今後の分配金の見通し

いかがでしたでしょうか?

ラサール・グローバルREITファンドの基準価額は右肩下がり
に下落し続けており、分配金利回りも低下しつづけています。

改めてになりますが、ファンドの運用利回りと分配金利回り
は全くの別物です。

運用利回り10%と言えば、100万円を投資した場合、年10万円
の運用益を受け取ることができます。

一方で、分配金利回り10%という場合は違います。

仮にファンドの運用利回りが3%しかなくても分配金利回りを
10%にすることはできるのです。

その結果、100万円投資をして、ファンドの運用益は3万円
しかないにもかかわらず、あなたは10万円の分配金を受け取る
ことになります。

では、運用益と分配金の差額の7万円はどこから出てきている
のかと言えば、あなたの投資した元本の100万円から支払われて
いるのです。

つまり、分配金利回りがいくら高くても、ファンドの運用利回り
が低ければ、まったく意味がないということです。

ラサール・グローバルREITファンドは分配金10円/月に下げた
ことで、比較的健全な水準に分配金利回りが下がってきました。

とはいえ、分配金利回りは8%台ですので、適正な水準よりは
少し高めです。

分配金余力から考えればすぐすぐ減配することはまず考えられ
ませんが、一部タコ足配当にはなっていくと思います。

また、そもそも論になりますが、ラサール・グローバルREIT
ファンドは現状、インデックスファンドにもパフォーマンスで
負けており、これでは高いコストを支払ってまで投資をする
価値があるとは言えません。

現在、このファンドを保有している人は乗り換えを検討すべきでしょう。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点