2020年のコロナショックで一番影響が大きかったのがJ-REITです。J-REITは株式ファンド以上に値動きが大きいのですが、毎月分配型ファンドは未だに多くの投資家に人気があります。

今日は、数あるJ-REITの中でも、約800億の規模を誇るりそなJリート・アクティブ・オープン『日本のツボ』について徹底分析していきます。

「日本のツボって投資対象としてどうなの?」

「日本のツボって持ってて大丈夫なの?」

「日本のツボより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

現在、保有している人も、検討している人も参考にしてください。


りそなJリート・アクティブ・オープン『日本のツボ』の基本情報

投資対象は?

日本のツボの投資対象は、主として新光J-REITアクティブ・マザーファンドを通じて、国内のリートに投資をしていきます。

J-REITとは、投資家から資金を集めて、オフィスビル、商業施設などを保有・売買することで得られる賃貸収入や売買収入を配当金として、投資家に支払います。


※引用:交付目論見書

J-REITの魅力は、小口の資金で不動産投資と同様の効果を得られる点と、不動産への直接投資と比べて換金性・流動性が高いという点にあり、リスクとしては、不動産市況によって、賃料や稼働率が低下する可能性がある点ですね。

現在は47銘柄で構成されており、予想配当利回りは3.5%となっています。

後述しますが、J-REITの代表的指数である東証REIT指数に連動するインデックスファンドよりパフォーマンスが優れていればよいのですが、劣るようでは、わざわざ銘柄を絞り込んでも意味がありません。


※引用:マンスリーレポート

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

つみたてNISAやiDeCoの対応状況ですが、残念ながらどちらも対応していません。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2022年10月時点

純資産額は?

続いて、日本のツボの純資産総額はどうなっているか見ていきます。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、ファンドの運用で必ず発生する運営コストが相対的に高くなるので、ファンドのパフォーマンスを悪化させる原因になります。そのため、純資産総額も事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

日本のツボは、コロナショック前までは1000億円の規模がありましたが、パフォーマンスの悪化に伴い、大きく資金流出し、現在は800億円ほどとなっています。規模としては問題ありませんね。


※引用:アセットマネジメントOne HP

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

日本のツボの実質コストは1.1%とカテゴリーの中では高くはありません。ただ、J-REITの場合、銘柄数が約60銘柄しかありませんので、当然リサーチコストはそこまでかからないはずです。その割に、1%超える実質コストがかかるというのは、残念です。

購入時手数料 2.2%(税込)
信託報酬 1.1%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.1%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

りそなJリート・アクティブ・オープン『日本のツボ』の評価分析

基準価額をどう見る?

日本のツボの基準価額はこの3年間で20%ほど下落しています。分配金を再投資した場合の基準価額(青線)は3年間でほぼ横ばいですので、過剰な分配をしていることがここからわかります。

何より、注目すべきはコロナショックで一時期は40%近く下落して、10000円を大きく割り込んだ時期がありました。一見リスクは高くないように見えますが、思った以上に変動幅は大きいので、注意してください。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

つづいて、日本のツボの利回りを見ていきます。

直近1年間の利回りは▲3.96%となっています。10年平均利回りは10%近くあり、5年平均利回りは6%、3年平均利回りは▲0.02%なので、年ごとの利回りにかなり差があるようです。

ただ、投資信託の基本は長期投資ですので、長期のパフォーマンスのほうが信頼に値します。少なくとも1桁後半の利回りは今後も期待できると思ってよさそうです。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 ▲3.96%
3年 ▲0.02%
5年 +6.72%
10年 +10.03%

※2022年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出しているJリートファンド ランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

日本のツボは国内REITカテゴリーに属しています。投資をするのであれば、誰しも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をしたいと思いますので、同カテゴリー内でのパフォー
マンスのランキングを調べてみました。

日本のツボは3年平均利回りは上位50%より上ですが、それ以外の期間で見ると、平均以下となっています。これではあえて日本のツボに投資をしようとは思えません。

上位●%
1年 87%
3年 36%
5年 65%
10年 64%

※2022年10月時点

年別の運用利回りは?

日本のツボの年別のパフォーマンスも見てみましょう。

プラスの年も多いですが、その前後で利益を相殺するようなマイナスリターンを出しており、株式等と比べると、たいしてプラスになっていません。

年間利回り
2022年 ▲0.48%(1-9月)
2021年 +19.58%
2020年 ▲11.99%
2019年 +23.67%
2018年 +8.80%
2017年 ▲6.87%
2016年 +8.15%
2015年 ▲8.16%
2014年 +32.79%

※2022年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとの利回り比較

日本のツボに投資をするのであれば、より低コストで投資ができるインデックスファンドとのパフォーマンスは比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は、東証REIT指数と連動するeMAXIS 国内リートインデックスとパフォーマンスを比較してみました。


※引用:モーニングスター

直近3年間はかなり競っていますが、日本のツボがギリギリパフォーマンスで上回っていることがわかります。

もう少し長期のパフォーマンスを見てみましょう。

日本のツボ eMAXIS国内リート
1年 ▲3.96% ▲2.94%
3年 ▲0.02% ▲0.38%
5年 +6.72% +7.02%
10年 +10.03% +10.42%

※2022年10月時点

5年、10年のより長い期間でパフォーマンスを比較すると、日本のツボがパフォーマンスで負けています。判断に少し迷うところではありますが、これであれば、インデックスファンドに投資をすれば、十分と言えます。

類似ファンドとの利回り比較

毎月分配型のアクティブファンドに投資するのであれば、同じく毎月分配型のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は同じくJ-REITに投資ができるJ-REITリサーチ・オープン(毎月分配型)と比較をしてみました。


※引用:モーニングスター

競ってはいますが、終始、日本のツボのパフォーマンスのほうが劣後しています。5年、10年平均利回りで比較をしても、やはり、日本のツボはパフォーマンスで劣っています。

この結果を見る限り、日本のツボに投資をするよりはJ-REITリサーチ・オープン(毎月分配型)のほうがまだいいですね。

日本のツボ J-RIETリサーチ
1年 ▲3.96% ▲2.81%
3年 ▲0.02% +0.28%
5年 +6.72% +7.69%
10年 +10.03% +10.99%

※2022年10月時点

最大下落率はどれくらい?

投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性があるのか知っておくことは非常に重要です。結局、多くの人が、大きな下落を経験すると、もうこれ以上は損をしたくないと思い、基準価額が大きく下がったタイミングで売却してしまうためです。

それでは日本のツボの最大下落率を見ていきましょう。

期間 下落率
1カ月 ▲21.68%
3カ月 ▲28.20%
6カ月 ▲29.09%
12カ月 ▲23.09%

※2022年10月時点

日本のツボの最大下落率は、2019年11月~2020年4月で▲29.09%となっています。やはりコロナショックの影響は大きかったということですね。

REITというのは、平常時は基準価額の変動幅がとにかく小さいのですが、暴落相場では株式並みに大きく下落します。そういう特徴があることを理解したうえで投資をしないといけないですね。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

※2022年10月時点

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲1,154円 540円 ▲114%

※2021/10/14~2022/10/14

日本のツボの直近1年間の分配健全度は▲114%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。

日本のツボはその点、マイナスですので、直近あなたが受け取っている分配金はすべて投資元本等から支払われているということです。

分配金利回りは健全な水準ではありますが、タコ足配当になっていますね。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。分配金利回りは1年間で受け取った分配金の合計金額を基準価額で割ることで計算できます。

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。

運用利回り 分配金利回り
1年 ▲3.96% 5.64%
3年 ▲0.02%
5年 +6.72%
10年 +10.03%

※2022年10月時点

日本のツボの分配金利回りは5%程度なので、J-REITファンドの中では、かなり健全な運用がされています。

この分配金利回りであれば、ファンドの運用益の範囲内で分配金を支払うことができそうですが、直近は日本のツボの運用利回りが低いため、分配金を賄うことができていません。

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。

日本のツボの分配金余力は、まだ100カ月以上ありますので、減配の心配はいったんしなくても大丈夫でしょう。

分配金 繰越対象額 分配金余力
133期 45円 5,012円 112カ月
134期 45円 4,992円 112カ月
135期 45円 5,005円 112カ月
136期 45円 4,967円 111カ月
137期 45円 4,931円 111カ月
138期 45円 4,900円 110カ月
139期 45円 4,871円 109カ月
140期 45円 4,853円 109カ月
141期 45円 4,875円 109カ月
142期 45円 4,844円 109カ月
143期 45円 4,808円 108カ月
144期 45円 4,778円 107カ月

※引用:最新運用報告書

評判はどう?

日本のツボの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流出しているということは、それだけこのファンドを解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。

日本のツボは2017年2月から毎月資金が流出しており、評判が下がっています。インデックスファンドに運用で勝てていないので、当然の結果ですね。


※引用:モーニングスター

りそなJリート・アクティブ・オープン『日本のツボ』の今後の見通しと評価まとめ

いかがでしょうか?

毎月分配金を受け取っているだけだと、分配金を受け取れたことに満足してしまい、ファンド自体のパフォーマンスがどうなのかという視点が抜けてしまいがちです。

そのため、分配金が減った瞬間に、はじめてこのファンドは大丈夫なのか?と思い始める人がほとんどです。

一方で、しっかりとファンドの収益力(パフォーマンス)を確認しておけば、分配金が自分の投資元本から支払われているタコ足配当ファンドなのか、ちゃんと利益から支払われているファンドなのかわかり、実は全然利益がでていないファンドに投資をするリスクを下げられます。

日本のツボは数ある毎月分配型ファンドの中でも健全な水準で分配金が支払われています。その点は評価に値しますが、パフォーマンスの観点で見ると、他にもっと優れたファンドがありますので、あえてこの1本を選ぶという理由はありません。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点