2020年のコロナショックで一番影響が大きかったのが
J-REITです。
J-REITは2021年になり、ようやくコロナ前の水準にまで
基準価額が戻ってきました。
今日は、数あるJ-REITの中でも、900億超の規模を誇る
りそなJリート・アクティブ・オープン『日本のツボ』に
ついて徹底分析していきます。
「日本のツボって投資対象としてどうなの?」
「日本のツボって持ってて大丈夫なの?」
「日本のツボより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
現在、保有している人も、検討している人も参考にしてください。
りそなJリート・アクティブ・オープン『日本のツボ』の基本情報
投資対象は?
日本のツボの投資対象は、主として新光J-REITアクティブ・
マザーファンドを通じて、国内のリートに投資をしていきます。
J-REITとは、投資家から資金を集めて、オフィスビル、商業
施設などを保有・売買することで得られる賃貸収入や売買収入
を配当金として、投資家に支払います。
※引用:交付目論見書
J-REITの魅力は、小口の資金で不動産投資と同様の効果を
得られる点と、不動産への直接投資と比べて換金性・流動性
が高いという点にあり、リスクとしては、不動産市況によって、
賃料や稼働率が低下する可能性がある点ですね。
現在は52銘柄で構成されており、予想配当利回りは3.4%と
なっています。
後述しますが、J-REITの代表的指数である東証REIT指数に
連動するインデックスファンドよりパフォーマンスが優れて
いればよいのですが、劣るようでは、わざわざ銘柄を絞り込
んでも意味がありません。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。
そこで、つみたてNISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2021年9月時点
純資産額は?
続いて、日本のツボの純資産総額はどうなっているか見て
みましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、ファンドの運用で必ず発生する
運営コストが相対的に高くなるので、ファンドのパフォーマンスを
悪化させる原因になります。
そのため、純資産総額も事前に確認すべきポイントの1つです。
日本のツボは、コロナショック前までは1000億円の規模が
ありましたが、パフォーマンスの悪化に伴い、大きく資金
流出し、現在は900億円ほどとなっています。
規模としては問題ありませんね。
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
日本のツボの実質コストは1.1%とカテゴリーの中では
高くはありません。
ただ、J-REITの場合、銘柄数が約60銘柄しかありませんので、
当然リサーチコストはそこまでかからないはずです。
その割に、1%超える実質コストがかかるというのは、残念です。
購入時手数料 | 2.2%(税込) |
信託報酬 | 1.1%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.1%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
りそなJリート・アクティブ・オープン『日本のツボ』の評価分析
基準価額をどう見る?
日本のツボの基準価額は2018年以降、分配金を出しなが
らも、基準価額が上昇するという、まさに理想的なファンド
の運用ができていました。
しかし2020年3月のコロナショックで一時期は40%近く下落
して、ついに10000円を大きく割り込む形となり、2021年の
後半になってようやくコロナ前の水準にまで戻ってきています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、日本のツボの利回りを見てみましょう。
直近1年間の利回りは27.53%となっています。
3年、10年平均利回りは10%近くあり、5年平均利回りは
6%なので、年ごとの利回りにかなり差があるようです。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +27.53% |
3年 | +10.99% |
5年 | +6.8% |
10年 | +11.71% |
※2021年9月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出しているJリートファンド ランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
日本のツボは国内RIETカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
日本のツボは直近3年ほどは平均よりも優れた利回りですが、
5年、10年と長期の利回りになると平均以下のパフォーマンス
となっています。
上位●% | |
1年 | 27% |
3年 | 32% |
5年 | 58% |
10年 | 62% |
※2021年9月時点
年別の運用利回りは?
日本のツボの年別のパフォーマンスも見てみましょう。
プラスの年も多いですが、その前後で利益を相殺する
ようなマイナスリターンを出しており、株式等と比べると、
たいしてプラスになっていません。
年間利回り | |
2021年 | +21.62%(1-6月) |
2020年 | ▲11.99% |
2019年 | +23.67% |
2018年 | +8.80% |
2017年 | ▲6.87% |
2016年 | +8.15% |
2015年 | ▲8.16% |
2014年 | +32.79% |
※2021年9月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
インデックスファンドとの利回り比較
日本のツボに投資をするのであれば、より低コストで
投資ができるインデックスファンドとのパフォーマンスは
比較してから投資をしても遅くはありません。
今回は、東証REIT指数と連動するeMAXIS 国内リート
インデックスとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:モーニングスター
直近3年間はかなり競っており、どちらが優れているのか
甲乙つけるのは難しいです。
ただ、パフォーマンスがほとんど変わらないのであれば、
あえて高いコストを支払ってまでアクティブファンドに
投資をする理由もありません。
それではもう少し長期のパフォーマンスを見てみましょう。
日本のツボ | eMAXIS国内リート | |
1年 | +27.53% | +26.88% |
3年 | +10.99% | +10.76% |
5年 | +6.8% | +7.07% |
10年 | +11.71% | +12.18% |
※2021年9月時点
5年、10年のより長い期間でパフォーマンスを比較すると、
日本のツボがパフォーマンスで負けています。
これであれば、インデックスファンドに投資をすれば、十分
と言えます。
類似ファンドとの利回り比較
毎月分配型のアクティブファンドに投資するのであれば、
同じく毎月分配型のアクティブファンドとパフォーマンスを
比較してから投資をしても遅くはありません。
今回は同じくJ-RIETに投資ができるJ-REITリサーチ・
オープン(毎月分配型)と比較をしてみました。
※引用:モーニングスター
同じJ-REITに投資をしていても、3年間で2%以上の差が
ついています。
これだけ差がつくと、日本のツボを選択する理由が
なくなります。
こちらも5年、10年平均利回りで比較をしても、やはり、
日本のツボはパフォーマンスで劣っています。
どの期間でも差がついていますので、日本のツボをあえて
選択する理由がありません。
日本のツボ | J-RIETリサーチ | |
1年 | +27.53% | +27.21% |
3年 | +10.99% | +11.67% |
5年 | +6.8% | +8.13% |
10年 | +11.71% | +12.47% |
※2021年9月時点
最大下落率はどれくらい?
投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性があるのか
知っておくことは非常に重要です。
結局、多くの人が、大きな下落を経験すると、もうこれ以上は
損をしたくないと思い、基準価額が大きく下がったタイミングで
売却してしまうのです。
日本のツボの最大下落率は、2019年11月~2020年4月で▲29.09%と
なっています。やはりコロナショックの影響は大きかったという
ことですね。
REITというのは、平常時は基準価額の変動幅がとにかく小さいの
ですが、暴落相場では株式並みに大きく下落します。そういう
特徴があることを理解したうえで投資をしないといけないですね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲21.68% |
3カ月 | ▲28.20% |
6カ月 | ▲29.09% |
12カ月 | ▲23.09% |
※2021年9月時点
分配健全度はどれくらい?
分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。
そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。
分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。
基準価額の変動幅 | 1年間の分配合計額 | 分配健全度 |
1,644円 | 540円 | 404% |
※2020/9/25~2021/9/24
日本のツボの直近1年間の分配健全度は404%となって
います。
分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。
100%を超えているということは、受け取った分配金以上に
ファンドが運用益を出しているということなので、まさに
理想の状態と言えます。
日本のツボは分配金利回りが健全な水準ですので、
大きく100%を下回る心配はなさそうです。
分配金利回りはどれくらい?
毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。
分配金利回りは1年間で受け取った分配金の合計金額を
基準価額で割ることで計算できます。
ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。
そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。
日本のツボの分配金利回りは5%程度なので、J-REITファンドの
中では、かなり健全な運用がされています。
この分配金利回りであれば、ファンドの運用益の範囲内で
分配金を支払うことができますね。
未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。
運用利回り | 分配金利回り | |
1年 | +27.53% | 5.01% |
3年 | +10.99% | |
5年 | +6.8% | |
10年 | +11.71% |
※2021年9月時点
分配金余力はどれくらい?
毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。
そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。
分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。
明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。
日本のツボの分配金余力は、まだ100カ月以上あります
ので、減配の心配はいったんしなくても大丈夫でしょう。
分配金 | 繰越対象額 | 分配金余力 | |
121期 | 45円 | 5,200円 | 116カ月 |
122期 | 45円 | 5,194円 | 116カ月 |
123期 | 45円 | 5,204円 | 115カ月 |
124期 | 45円 | 5,171円 | 115カ月 |
125期 | 45円 | 5,146円 | 114カ月 |
126期 | 45円 | 5,125円 | 114カ月 |
127期 | 45円 | 5,103円 | 114カ月 |
128期 | 45円 | 5,095円 | 114カ月 |
129期 | 45円 | 5,115円 | 115カ月 |
130期 | 45円 | 5,087円 | 114カ月 |
131期 | 45円 | 5,064円 | 114カ月 |
132期 | 45円 | 5,043円 | 115カ月 |
※引用:最新運用報告書
評判はどう?
日本のツボの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法
もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次
の資金流出入額でしょう。
資金が流出しているということは、それだけこのファンド
を解約している人が多いということなので、評判が悪いと
いうことです。
日本のツボは2017年2月から毎月資金が流出しており、評判
が下がっています。インデックスファンドに運用で勝てて
いないので、当然の結果です。
※引用:モーニングスター
りそなJリート・アクティブ・オープン『日本のツボ』の今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
毎月分配金を受け取っているだけだと、分配金を受け取れた
ことに満足してしまい、ファンド自体のパフォーマンスが
どうなのかという視点が抜けてしまいがちです。
そのため、分配金が減った瞬間に、はじめてこのファンドは
大丈夫なのか?と思い始める人がほとんどです。
一方で、しっかりとファンドの収益力(パフォーマンス)
を確認しておけば、分配金が自分の投資元本から支払われて
いるタコ足配当ファンドなのか、ちゃんと利益から支払われて
いるファンドなのかわかり、
実は全然利益がでていないファンドに投資をするリスクを
下げられます。
日本のツボは数ある毎月分配型ファンドの中でも健全な水準
で分配金が支払われています。
その点は評価に値しますが、パフォーマンスの観点で見ると、
他にもっと優れたファンドがありますので、あえてこの1本を
選ぶという理由はありません。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点