2019年あたりからよく名前を聞くようになったデジタル・
トランスフォーメーション、通称DX。
基盤となるAIや5G、クラウドなどのデジタル技術が飛躍的な進化を遂げたことにより、これまでには考えられなかった革新的な製品やサービスの実現が可能となりました。
既にあらゆる産業で、デジタル技術を駆使した革新的なビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、既存の産業を揺るがし始めています。
そんなDXが加速するあらゆる産業でイノベーションを実現することが期待される企業に投資をするのが、三井住友DSアセットマネジメントのグローバルDX関連株式『愛称:The DX』です。
今日は、このグローバルDX関連株式『愛称:The DX』について分析していきます。
「グローバルDX関連株式『The DX』って投資対象としてどうなの?」
「グローバルDX関連株式『The DX』って持ってて大丈夫なの?」
「グローバルDX関連株式『The DX』より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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グローバルDX関連株式『The DX』の基本情報
投資対象は?
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』の投資対象は、世界のデジタルトランスフォーメーション関連企業の株式です。
ニューバーガー・バーマン・グループが投資顧問を務めるケイマン籍の外国投信を通じて、間接的に投資をしていきます。
直近の組入上位10カ国・地域は以下の通りです。エリアを限定はしていませんが、約70%が米国で、新興国銘柄はほとんど組入られていません。
※引用:マンスリーレポート
現在は43銘柄に投資がされており、デジタル・ワーク、デジタル・コンシューマー・デジタル・レジャー、デジタル・ヘルスケアの分野に投資をしています。
※引用:販売資料
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。
純資産総額が多いほうが、ファンドマネージャーが資金を投資する際に有利であったり、他の投資家の解約の際の影響が小さくなりますので、優れた投資信託と言えます。
投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』は、一時は1000億円を超えていましたが、現在では500億円程度になっています。規模の大きさとしては全く問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』はニューバーガー・バーマン・グループに運用を委託し、ファンド・オブ・ファンズ形式で運用されていることもあり、信託報酬がかなり高めの設定になっています。
実質コストはまだわかりませんが、購入時手数料が3%、信託報酬も1.913%/年なので、投資する際は確信がないと投資しづらいですね。
購入時手数料 | 3.3%(税込) |
信託報酬 | 1.903%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.913% |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
グローバルDX関連株式『The DX』の評価分析
基準価額をどう見る?
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』は設定したタイミングが良かったこともあり、2021年は好調でした。しかし、2022年はかなり大きく下落しており、すでに10,000円を割り込んでいます。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、グローバルDX関連株式『愛称:The DX』の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは30%を超えるマイナスです。あまり単年の利回りを気にしても仕方がないのですが、このくらいの下落になるとさすがに気にせずにはいられないですね。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲31.33% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』は北米株式カテゴリーに属しています。
パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』は、ほぼ最下位となっており、さすがにこれでは投資をしようという気に慣れません。
上位●% | |
1年 | 96% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
年別のパフォーマンスは?
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』の年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。2022年の影響が大きすぎですね。
年間利回り | |
2022年 | ▲32.51%(1-9月) |
2021年 | +6.02% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』に投資をするのであれば、最低限、低コストのインデックスファンドよりパフォーマンスが優れていなければ、投資をする価値がありません。
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』は米国株の比率が約70%で、先進国株式が中心なので、同程度の投資配分となっているeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと比較をしました。
※引用:モーニングスター
2021年末までは、グローバルDX関連株式『愛称:The DX』がリードしていましたが、2022年に入ってからは大きく差をつけられています。
まだ運用期間が短いとはいえ、今の時点であえて高いコストを支払って投資をしようとは思いませんね。
The DX | slim 先進国 | |
1年 | ▲31.33% | +5.43% |
3年 | - | +16.65% |
5年 | - | +11.72% |
10年 | - | - |
※2022年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドへ投資をするのであれば、アクティブファンドの中でも優秀なファンドに投資をしたいものです。
そこで、今回は先進国株式を投資対象にアクティブ運用している大和住銀DC海外株式アクティブファンドを比較をしました。
※引用:モーニングスター
こちらも2021年末までは、グローバルDX関連株式『愛称:The DX』がかなり優れたパフォーマンスとなっていましたが、2022年以降はかなり悲惨な状態です。
大和住銀DC海外株式アクティブファンドは相当優れたファンドですので、このファンドに競るくらいのパフォーマンスを継続できると、グローバルDX関連株式『愛称:The DX』にも投資する価値がありそうです。
The DX | 大和住銀DC | |
1年 | ▲31.33% | ▲14.29% |
3年 | - | +17.00% |
5年 | - | +12.98% |
10年 | - | +17.63% |
※2022年10月時点
最大下落率は?
投資をするにあたって、気になるのが「このファンドはどの程度下落することがあるのか」という点でしょう。標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際の下落幅をみたほうが心構えができます。
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』の最大下落率は2021年12月~2022年5月の半年間で34.73%となっています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲19.91% |
3カ月 | ▲27.45% |
6カ月 | ▲34.73% |
12カ月 | ▲33.88% |
※2022年10月時点
まだ運用期間が3年も経たずして、この下落幅は今後どうなるかが不安が残ります。ただ、投資信託は長期保有を続けていれば、プラスになっていきますので、決して手放さないようにしてください。
評判はどう?
それでは、グローバルDX関連株式『愛称:The DX』の評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。
評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。
グローバルDX関連株式『愛称:The DX』は2021年後半以降、資金の流出が止まりません。このパフォーマンスなら仕方ないですね。
※引用:モーニングスター
グローバルDX関連株式『The DX』の今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、非接触へのニーズが急拡大しました。あなたもテレワークや、オンライン・フィットネス、オンライン学習、オンライン食品配達、オンライン診療などのサービスを利用したのではないでしょうか。
このデジタル・トランスフォーメーションの流れは不可逆的な流れであり、コロナ感染が終息したからといって、元に戻ることはありません。
各企業がDXを推進する部署を作ってまで取り組んでいますので、今後、更なるイノベーションが起こるでしょう。
私も以前に投資をしていたAIや5G、セキュリティ関連のファンドもまさにDXと大きく関連しているテーマですので、DX関連のファンドは今後数年、期待が持てると思っています。
ただ、2022年はこれまでの急騰の反動を受けて、大きく下落することになりました。まだ運用期間が短いので、今後に期待ではありますが、インデックスファンドにパフォーマンスで勝てるくらいにならないと厳しいですね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点