2019年以降、三菱UFJ国際投信が力を入れているのが、テーマ型のインデックスファンドであるeMAXIS Neoシリーズです。その中でも、一時期圧倒的なパフォーマンスで注目を集めたのが、eMAXIS Neo 自動運転です。
「eMAXIS Neo 自動運転って投資対象としてどうなの?」
「eMAXIS Neo 自動運転って持ってて大丈夫なの?」
「eMAXIS Neo 自動運転より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば悩みは解消すると思います。
eMAXIS Neo 自動運転の基本情報
eMAXIS Neoシリーズとは?
eMAXISにも、SlimシリーズやNeoシリーズなどがあります。eMAXIS Neoシリーズというのは、革新的なテーマを対象とする様々な特徴ある指数に連動することを目指すインデックスファンドシリーズです。
今までは、ロボット、AI、自動運転などテーマ型ファンドと言えば、アクティブファンドが基本でした。そのため、購入時手数料も高く、信託報酬も割高なのが当たり前でした。
一方、eMAXIS Neoシリーズは、ロボット、バイオテクノロジー、AI、自動運転といったテーマ株で指数を作り、それに連動するような運用がされます。そのため、購入時手数料がなく、信託報酬も割安で、テーマ型ファンドに投資ができるようになりました。
今後、テーマ型ファンドに投資をする場合、テーマ型のインデックスファンドに投資をする流れが強くなりそうです。
投資対象は?
eMAXIS Neo 自動運転の投資対象は、日本を含む世界の株式で、自動運転に関する製品やサービスを提供する企業です。
S&P500 Kensho Autonomous Vehicles Index(配当込み、円)に連動するように運用をしていきます。ちなみにこの指数は、AIを活用して企業の開示情報等から膨大な文献を自動的に処理して、自動運転関連企業の銘柄を選定します。
eMAXIS Neo 自動運転の国別の構成比をみてみると、約65%が米国で、次いで、ケイマン、オランダと続きます。ケイマン諸島というのは、実質、中国の銘柄だと思っていただいて問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
eMAXIS Neo 自動運転は現在、33銘柄に投資をしています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。
純資産総額が多いほうが、ファンドマネージャーが資金を投資する際に有利であったり、他の投資家の解約の際の影響が小さくなりますので、優れた投資信託と言えます。
投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
eMAXIS Neo 自動運転は2020年に入り、純資産総額が大きく増加しましたが、2021年以降は減少傾向が続いており、現在では133億円程度になっています。それでも規模としては問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
eMAXIS Neo 自動運転の実質コストは0.888%となっています。インデックスに連動している割に思ったより実質コストが高くなっています。テーマ型ファンドで購入時手数料がかからないというのは、投資家からするとやはりうれしいですね。
購入時手数料 | なし |
信託報酬 | 0.792%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 0.888%※概算値 |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
eMAXIS Neo 自動運転の評価分析
基準価額をどう見る?
eMAXIS Neo 自動運転は、2021年にかなり大きく上昇しましたが、2022年以降はその反動もあり、かなり大きく下落しています。
基本、大きすぎる上昇をしたファンドは長続きしませんので、注意してください。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
つづいて、eMAXIS Neo 自動運転の運用実績を見ていきます。
直近1年間の運用利回りは約3%となっていますが、3年平均利回りで見ると、約11%のプラスということで、悪くないように思えます。
ただ、まだ投資判断をしてはいけません。投資をするのであれば、他のアクティブファンドと比較をしてから投資をしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +2.97% |
3年 | +10.84% |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
eMAXIS Neo 自動運転は日本株を含む国際株式カテゴリーに属しています。せっかく投資をするのであれば、誰しも優れたパフォーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、カテゴリー内でのランキングを調べました。
eMAXIS Neo 自動運転は直近1年のパフォーマンスは下位10%に入っていますが、3年平均利回りも下位30%に入っています。他にもっと優れたファンドがあることがわかりますので、あえて投資をする理由はないですね。
上位●% | |
1年 | 94% |
3年 | 71% |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
eMAXIS Neo 自動運転はの年別の利回りを見ていきます。
年別の利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2020年だけでも100%以上のパフォーマンスとなっており、2021年も引き続き、好調を維持していました。
しかし、2022年はかなり大きく下落しており、普通の人がパフォーマンスだけを見て、投資をすると基準価額の変動の大きさについていけないでしょう。
年間利回り | |
2023年 | +27.73%(1-9月) |
2022年 | ▲48.46% |
2021年 | +31.64% |
2020年 | +112.59% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
eMAXIS Neo 自動運転はテーマ型のアクティブファンドと比べれば、コストはかなり下がっていますが、それでも、最低水準とはいえません。
最低限、超低コストのインデックスファンドよりパフォーマンスで上回っていなければ、投資をする価値がありませんので、人気のインデックスファンドであるeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、2022年の後半以降は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が大きく差を拡げました。4倍近く差がついているので、このパフォーマンスの差を見て、あえてeMAXIS Neo 自動運転に投資をしようと思う人はいないと思います。
また基準価額の変動の大きさと言う観点でもeMAXIS Slim S&P500も安定的に利益を積み上げていることが分かります。
neo 自動運転 | slim S&P500 | |
1年 | +2.97% | +23.68% |
3年 | +10.84% | +23.72% |
5年 | - | +15.80% |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
eMAXIS Neo 自動運転へ投資をするのであれば、同じテーマ型のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してから投資をしても遅くはありません。
そこで、今回はeMAXIS Neo 自動運転と同じく自動運転のテーマ型アクティブファンドであるグローバル自動運転関連株式ファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近、3年間では、2022年以降は、グローバル自動運転関連株式ファンドが大きく差を広げています。
この結果だけを見ると、自動運転関連の銘柄のインデックス投資より、少し高いコストを支払ってでもアクティブファンドに投資をするほうがまだ良いということがわかりますね。
neo 自動運転 | グローバル自動運転 | |
1年 | +2.97% | +26.30% |
3年 | +10.84% | +22.06% |
5年 | - | +15.06% |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託の運用において、一番やってはいけないことは、大きな急落相場で、大きな含み損を抱えたときに、慌てて保有していた投資信託を売却してしまうことです。これをやってしまうと、あなたの運用パフォーマンスは相当悪くなってしまいます。
そのため、事前にeMAXIS Neo 自動運転がどの程度、下落するかを把握しておけば、少しは気持ちに余裕を持てます。
標準偏差からもどの程度、下落する可能性があるのかを計算することはできますが、やはり過去にどの程度下落したことがあるのかを調べると一番イメージがわきます。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲23.13% |
3カ月 | ▲24.96% |
6カ月 | ▲31.52% |
12カ月 | ▲48.46% |
※2023年10月時点
eMAXIS Neo 自動運転の最大下落率を調べてみると、1か月間で約48%となっています。
まだ運用期間が短いので、もう少し大きな下落は経験することなると思いますが、この程度の下落はまた来るものと思って心構えをしておきましょう。
評判はどう?
それでは、eMAXIS Neo 自動運転の評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。
eMAXIS Neo 自動運転は2021年以降、毎月資金が流出超過となっており、評判はお世辞にもいいとは言えません。eMAXIS Neo 自動運転のように1年でドカンと利益を出して、その後、パフォーマンスが奮わないファンドというのは、得てして、このように資金が継続的に入ってこない場合が多いですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
eMAXIS Neo 自動運転の今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
まず、今までテーマ型ファンドに投資をするとなると、高い購入時手数料と信託報酬を支払わなければならなかったので、購入時手数料ゼロ、信託報酬も割安になったのは、大きな評価ポイントになります。
ただ、直近のパフォーマンスを比較した限りでは、自動運転をテーマにしたアクティブファンドのほうがパフォーマンスが優れていることもあり、これでは投資する理由になりません。
また、インデックスファンドと比較をしても、かなりパフォーマンスで劣っていることから、その点を考えても、あえてeMAXIS Neo 自動運転に投資をするメリットはないと言えますね。
とはいえ、今までより低コストでテーマ型ファンドに投資ができるようになったのは、個人投資家にとって大きなメリットですので、今後に期待したいと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点