2017年に非常に高いパフォーマンスを出して注目を集めたMHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』。
過去に何度もモーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーを受賞しており、優秀なファンドであることは一部の投資家の間では知られていましたが、そこまで純資産が増えることはありませんでした。
しかし、近年、注目を集め始め、純資産が急激に伸びています。
今日は、そんなMHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』について、徹底分析していきます。
「J-フロンティアって投資対象としてどうなの?」
「J-フロンティアって持ってて大丈夫なの?」
「J-フロンティアより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』を保有している人、購入を検討している人はぜひ参考にしてください。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の基本情報
投資対象は?
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の投資対象は、高成長が期待できる新興企業の株式です。
新興企業の基準は、創業25年以下または上場後10年以下の企業を目安としています。イメージとしては、下図のような企業になります。
※引用:交付目論見書
現在の組入銘柄数は104銘柄となっており、中型株、小型株が中心となっています。
※引用:マンスリーレポート
組入上位銘柄を見てみると、電気機器系とサービス系の銘柄が多く組入れられています。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
MHAM 新興成長株オープンのつみたてNISAとiDeCoの対応状況ですが、残念ながら、どちらも対応していません。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2022年10月時点
運用体制は?
ファンドマネジャーは1997年から一貫して中小型株に携わっている岩本誠一郎さんです。調査対象企業を素材、生産財、ハイテク、消費財、サービスの5種類に分類し、30の成長テーマについてチーム内で議論しています。
チームのメンバー同士で良好な関係が築けているので、活発な意見交換が行われていることも強みの一つとなっています。
また運用哲学として、「マネジメントの質」を重視するという考えが浸透しています。具体的には、企業経営者の考えが従業員まで浸透しているか、従業員のモチベーションが高く保たれているかと言った点です。
従業員のモチベーションが低いようでは、当然会社が大きく成長するイメージは持てませんが、経営者の考えを従業員がしっかりと理解し、意思決定していける組織というのは強い組織のイメージはありますね。
スパークスもそうですが、やはり圧倒的なパフォーマンスを出しているファンドというのは、一貫した運用哲学がファンドチーム全体に根付いていますね。
純資産総額は?
続いて、MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、ファンドの運用で必ず発生する運営コストが相対的に高くなるので、ファンドのパフォーマンスを悪化させる原因になります。
そのため、純資産総額も事前に確認すべきポイントの1つです。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 は2016年ごろから急激に純資産を伸ばし、一時は1000億円に迫る勢いでしたが、その後、パフォーマンスが悪化したことで、現在は360億円程度になっています。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが、通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の実質コストは1.92%です。しかし、購入時手数料と合わせると初年度は手数料だけで5%を超えており、依然、割高なのは変わりありません。ですので、慎重にファンドを選定する必要があります。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.87%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.92%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の評価分析
基準価額をどう見る?
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の基準価額は、コロナショック以降も大きく伸びていましたが、2022年に入ってからは下落しています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは▲24.32%となっています。3年、5年、10年平均利回りは6%以上のプラスとなっており、中長期で見れば、6%程度の利回りは期待できそうです。
基本、投資信託は中長期で投資をするものですので、短期のパフォーマンスよりも長期のパフォーマンスを参考にするようにしてください。
ただ、この利回りだけを見て判断してはいけません。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較したうえで、投資するようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲24.32% |
3年 | +7.77% |
5年 | +6.50% |
10年 | +20.03% |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』は、国内の小型グロース株カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』は、直近3年程度は平均くらいの水準ですが、5年、10年利回りは上位30%に入っており、優れたパフォーマンスとなっています。
投資するのであれば、最低限このくらいの順位には入っていてほしいものです。
上位●% | |
1年 | 89% |
3年 | 37% |
5年 | 24% |
10年 | 18% |
※2022年10月時点
年別のパフォーマンスは?
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』の年別の運用パフォーマンスも見てみます。
2018年、2022年は2桁のマイナスとなっていますが、それ以外の年では、マイナス分を大きく取り戻すほどの大きなプラスとなっています。
リスクはかなり大きいのですが、リスクを取る価値があるほどのリターンを得ることができています。
年間利回り | |
2022年 | ▲22.29%(1-9月) |
2021年 | +8.08% |
2020年 | +32.26% |
2019年 | +20.31% |
2018年 | ▲10.99% |
2017年 | +62.51% |
2016年 | +5.26% |
2015年 | +36.51% |
2014年 | +6.64% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとの利回り比較
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』への投資を検討する上でインデックスファンドとのパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、日経225に連動するニッセイ 日経225インデックスファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
大きくMHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』がリードしていた時期もありましたが、直近ではほぼ互角といった状況です。
では、より長期のパフォーマンスはどうなっているでしょうか?
MHAM新成長株オープン | ニッセイ 日経225インデックス | |
1年利回り | ▲24.32% | ▲10.29% |
3年平均 | +7.77% | +7.77% |
5年平均 | +6.50% | +6.77% |
10年平均 | +20.03% | +13.08% |
※2022年10月時点
5年平均利回りでも拮抗していますが、10年平均利回りを見てみると、MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』が大きくパフォーマンスで上回る結果となりました。
小型株ファンドというのは値動きが大きいため、一時的にインデックスファンドを下回ることがありますが、我慢して保有を続けられれば、大きなリターンが期待できることがわかります。
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたいと思うもの。
今回は、J-フロンティアと同じく小型株カテゴリーで非常に優秀な運用を行っている東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンと比較をしました。
※引用:モーニングスター
直近3年間の運用では、MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』のほうが大きく差をつけていることが分かります。
ただ、5年平均利回りでみると、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンがはるかに高いパフォーマンスとなっており、優劣つけるのは難しいですね。
MHAM新成長株オープン | 東京海上ジャパン | |
1年 | ▲24.32% | ▲16.84% |
3年 | +7.77% | +7.65% |
5年 | +6.50% | +13.80% |
10年 | +20.03% | – |
※2022年10月時点
どちらも優れたファンドですので、日本株ファンドに投資をするのであれば、こういったファンドに投資をしていきましょう。
最大下落率は?
投資を検討するうえで、標準偏差などから、価格変動の範囲をある程度は予想できますが、やはり実際に下落した度合いをみたほうがイメージがわきます。
そこでMHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』の最大下落率を調べてみました。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲18.66% |
3カ月 | ▲28.44% |
6カ月 | ▲32.98% |
12カ月 | ▲44.74% |
※2022年10月時点
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 は2007年11月~2008年10月までに最大▲44.74%下落しました。小型株式であれば、これくらいの下落が起こり得ると思っておいたほうがいいですね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配金の推移は?
私が唯一残念に思っているのは、年1回分配金を出していると言う点です。2016年からは毎年1000円の分配をしていましたが、2019年からは毎年500円の分配に下げられました。
分配金利回りは数%程度なので、ファンドのパフォーマンスに大きな影響があるわけではありませんが、分配金は受け取らずに再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2022年 | 500円 |
2021年 | 500円 |
2020年 | 500円 |
2019年 | 500円 |
2018年 | 1,000円 |
2017年 | 1,000円 |
2016年 | 1,000円 |
※2022年10月時点
評判はどう?
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけMHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』を購入している人が多いということなので、評判がよくなっているということです。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』は2019、2020、2021年と資金が流出超過となっており、評判はよくありませんでした。
しかし、2022年に入り、また資金が流入超過し始めており、投資家が少しずつ戻ってきていることがわかります。変動の大きな小型株ファンドは、ボラティリティが大きい相場では嫌われる傾向にあるので、資金の出入りが多くなるのは仕方ないですね。
※引用:モーニングスター
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
直近、パフォーマンスが優れない時期もありましたが、10年という長い単位でみると、高いパフォーマンスを出し続けていますので、今後の運用にも非常に期待が持てると思います。
日経225に連動するインデックスファンドと比べると、直近3年くらいはトントンのパフォーマンスですが、長期で見ると、大きくアウトパフォームしています。
ただ、標準偏差が通常の株式ファンドよりも高いので、大きく上下に値動きするということは事前にしっかり理解しておかないと、途中で怖くなって、解約してしまいます。
多くの投資家からすると、ファンドマネジャーが表に出てきて、ファンドの選定に対する考え方を話してくれるのは、安心感や信頼感に繋がります。
何かと注目を集めているひふみ投信も悪くないファンドではありますが、本当に資産を増やしたいのであれば、10年以上しっかり実績を残しているファンドに投資をしたほうが、間違いないく将来に期待ができます。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点