2017年に非常に高いパフォーマンスを出して注目を集めた
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』。
モーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤー2013と
2015を受賞しており、優秀なファンドであることは一部
の投資家の間では知られていましたが、そこまで純資産が
増えることはありませんでした。
しかし、近年、注目を集め始め、純資産が急激に伸びて
います。
今日は、そんなMHAM 新興成長株オープン『J-フロン
ティア』について、徹底分析していきます。
「J-フロンティアって投資対象としてどうなの?」
「J-フロンティアって持ってて大丈夫なの?」
「J-フロンティアより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』を保有
している人、購入を検討している人はぜひ参考にして
ください。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の基本情報
投資対象は?
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の投資
対象は、高成長が期待できる新興企業の株式です。
新興企業の基準は、創業25年以下または上場後10年以下
の企業を目安としています。イメージとしては、下図の
ような企業になります。
※引用:交付目論見書
現在の組入銘柄数は97銘柄となっており、中型株、小型株
が中心となっています。
※引用:マンスリーレポート
組入上位銘柄を見てみると、情報・通信系とサービス系の
銘柄が多く組入れられています。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
MHAM 新興成長株オープンのつみたてNISAとiDeCoの対応状況を
確認しておきましょう。
残念ながら、どちらも対応していません。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2021年9月時点
運用体制は?
ファンドマネジャーは1997年から一貫して中小型株に
携わっている岩本誠一郎さんです。
調査対象企業を素材、生産財、ハイテク、消費財、サービス
の5種類に分類し、30の成長テーマについてチーム内で議論
しています。
チームのメンバー同士で良好な関係が築けているので、
活発な意見交換が行われていることも強みの一つと
なっています。
また運用哲学として、「マネジメントの質」を重視するという
考えが浸透しています。具体的には、企業経営者の考えが従業員
まで浸透しているか、従業員のモチベーションが高く保たれているか
と言った点です。
従業員のモチベーションが低いようでは、当然会社が大きく成長する
イメージは持てませんが、経営者の考えを従業員がしっかりと理解し、
意思決定していける組織というのは強い組織のイメージはありますね。
スパークスもそうですが、やはり圧倒的なパフォーマンスを出している
ファンドというのは、一貫した運用哲学がファンドチーム全体に
根付いていますね。
純資産総額は?
続いて、MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の
純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、ファンドの運用で必ず発生する
運営コストが相対的に高くなるので、ファンドのパフォーマンスを
悪化させる原因になります。
そのため、純資産総額も事前に確認すべきポイントの1つです。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 は2016年ごろ
から急激に純資産を伸ばし、一時は1000億円に迫る勢いでしたが、
その後、パフォーマンスが悪化したことで、現在は380億円程度
になっています。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが、通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の実質
コストは1.95%です。しかし、購入時手数料と合わせると
初年度は手数料だけで5%を超えており、依然、割高なのは
変わりありません。
ですので、慎重にファンドを選定する必要があります。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.87%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.95%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の評価分析
基準価額をどう見る?
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の基準
価額は、2018年以降下落が続いていましたが、コロナ
ショック以降、大きく基準価額を伸ばしています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』の
運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは29.70%となっています。
3年、5年、10年平均利回りは10%以上のプラスとなって
おり、非常に優秀の一言です。
ただ、この利回りだけを見て判断してはいけません。
他の類似ファンドとパフォーマンスを比較したうえで、
投資するようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +29.70% |
3年 | +10.61% |
5年 | +23.04% |
10年 | +23.18% |
※2021年9月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』は、国内の
小型グロース株カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』は、3年、5年、10年と
上位30%に入っており、非常に優れたパフォーマンスとなっています。
投資をするのであれば、こういったファンドに投資を
したいものです。
上位●% | |
1年 | 33% |
3年 | 24% |
5年 | 14% |
10年 | 12% |
※2021年9月時点
年別のパフォーマンスは?
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』の年別の
運用パフォーマンスも見てみます。
2018年は2桁のマイナスとなっていますが、それ以外の
年では、マイナス分を大きく取り戻すほどの大きなプラス
となっています。
前述のとおり、リスクはかなり大きいのですが、リスクを
取る価値があるほどのリターンを得ることができています。
年間利回り | |
2021年 | +8.78%(1-6月) |
2020年 | +32.26% |
2019年 | +20.31% |
2018年 | ▲10.99% |
2017年 | +62.51% |
2016年 | +5.26% |
2015年 | +36.51% |
2014年 | +6.64% |
※2021年9月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
インデックスファンドとの利回り比較
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』への投資
を検討する上でインデックスファンドとのパフォーマンス
を比較しておいて損はありません。
今回は、日経225に連動するニッセイ 日経225インデックス
ファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
直近3年間では、かなり接戦が続いています。この期間だけでは、
どちらが優れているかは判断できません。
では、より長期のパフォーマンスはどうなっているでしょうか?
MHAM新成長株オープン | ニッセイ 日経225インデックス | |
1年利回り | +29.70% | +22.93% |
3年平均 | +10.61% | +8.90% |
5年平均 | +23.04% | +12.55% |
10年平均 | +23.18% | +13.90% |
※2021年9月時点
5年平均、10年平均利回りを見てみると、MHAM 新興成長株オープン
『J-フロンティア』が大きくパフォーマンスで上回る結果となりました。
小型株ファンドというのは値動きが大きいため、一時的にインデックス
ファンドを下回ることがありますが、我慢して保有を続けられれば、
大きなリターンが期待できることがわかります。
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、
同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたい
と思うもの。
今回は、J-フロンティアと同じく小型株カテゴリーで
非常に優秀な運用を行っている東京海上・ジャパン・
オーナーズ株式オープンと比較をしました。
※引用:モーニングスター
直近3年間の運用では、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式
オープンが大きく差をつけていることがわかります。
J-フロンティアも決して悪くない運用ができているのですが、
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンが好調すぎる
ということです。
さらに長い期間のパフォーマンスで比較をすると、
どうでしょうか?
MHAM新成長株オープン | 東京海上ジャパン | |
1年 | +29.70% | +16.50% |
3年 | +10.61% | +13.17% |
5年 | +23.04% | +28.17% |
10年 | +23.18% | – |
※2021年9月時点
5年平均利回りでも、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式
オープンが上回っています。
どちらも優れたファンドですので、日本株ファンドに
投資をするのであれば、こういったファンドに投資を
していきましょう。
最大下落率は?
投資を検討するうえで、標準偏差などから、価格変動の範囲
をある程度は予想できますが、やはり実際に下落した度合い
をみたほうがイメージがわきます。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 は2007年
11月~2008年10月までに最大▲44.74%下落しました。
小型株式であれば、これくらいの下落が起こり得ると思って
おいたほうがいいですね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかも
しれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの
可能性を限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲17.33% |
3カ月 | ▲28.44% |
6カ月 | ▲32.98% |
12カ月 | ▲44.74% |
※2021年9月時点
分配金の推移は?
続いて、分配金の推移を見ていきましょう。
私が唯一残念に思っているのは、年1回分配金を出している
と言う点です。
2016年からは毎年1000円の分配をしていましたが、2019年
からは毎年500円の分配に下げられました。
分配金利回りは数%程度なので、ファンドのパフォーマンス
に大きな影響があるわけではありませんが、分配金は受け取
らずに再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2021年 | 500円 |
2020年 | 500円 |
2019年 | 500円 |
2018年 | 1,000円 |
2017年 | 1,000円 |
2016年 | 1,000円 |
※2021年9月時点
評判はどう?
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の評判は
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判
を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけMHAM 新興
成長株オープン『J-フロンティア』を購入している人が多い
ということなので、評判がよくなっているということです。
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』は2017年
以降、毎年資金が流入していましたが、2019年に入り、
ついに流出超過となってしまいました。
直近でパフォーマンスはかなり改善しているのですが、
変動の大きな小型株ファンドは、ボラティリティが大きい
相場では嫌われる傾向にあります。
※引用:モーニングスター
MHAM 新興成長株オープン『J-フロンティア』 の今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
直近、パフォーマンスが優れない時期もありましたが、
10年という長い単位でみると、高いパフォーマンスを
出し続けていますので、今後の運用にも非常に期待が
持てると思います。
日経225に連動するインデックスファンドと比べると、
直近3年くらいはトントンのパフォーマンスですが、
長期で見ると、大きくアウトパフォームしています。
ただ、標準偏差が通常の株式ファンドよりも高いので、
大きく上下に値動きするということは事前にしっかり
理解しておかないと、途中で怖くなって、解約して
しまいます。
多くの投資家からすると、ファンドマネジャーが表に
出てきて、ファンドの選定に対する考え方を話して
くれるのは、安心感や信頼感に繋がります。
何かと注目を集めているひふみ投信も悪くないファンド
ではありますが、本当に資産を増やしたいのであれば、
10年以上しっかり実績を残しているファンドに投資を
したほうが、間違いないく将来に期待ができます。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点