ESGをテーマにしたファンドは各運用会社から登場していますが、ほとんどが株式100%のファンドの中で、株式、債券、REITのバランス型となっているのが、野村アセットのグローバルESGバランスファンドです。
グローバルESGバランスファンドには年2回決算型と隔月分配型、為替ヘッジ有と無の組み合わせで4パターンのファンドがありますが、今日は、最も人気の高い年2回決算型(ヘッジ無)を分析していきます。
「グローバルESGバランスファンドって投資対象としてどうなの?」
「グローバルESGバランスファンドって持ってて大丈夫なの?」
「グローバルESGバランスファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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グローバルESGバランスファンド『ブルー・アース』の基本情報
投資対象は?
グローバルESGバランスファンドの投資対象は新興国を含む世界各国の株式と、先進国の米ドル建社債、新興国の米ドル建国債、世界各国のREITになります。
基本のポートフォリオは以下のようになっており、4つのファンドで構成されています。株式、REITを25%ずつ、債券で50%というのは、比較的よく見かける投資配分です。
※引用:交付目論見書
現在の組入れ比率を見てみると、ほとんど、基本投資比率に沿った形で運用されていることがわかります。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなり、パフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
グローバルESGバランスファンドの純資産は約759億円となっており、規模としては十分ですね。このファンドはESGと名前をつけただけのようなファンドですが、やはり昨今のESG人気が大きく影響しているようです。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
グローバルESGバランスファンドの実質コストは1.801%とかなり割高な水準です。購入時手数料も3%しっかり取られますので、投資をする際は慎重に判断してください。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.705(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 1.801%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
グローバルESGバランスファンド『ブルー・アース』の評価分析
基準価額をどう見る?
グローバルESGバランスファンドの基準価額を見てみましょう。2021年末までは順調に推移していましたが、2022年以降は大きく上下に変動しながらも少し下落しています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
続いて、グローバルESGバランスファンドの利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは▲0.68%となっています。投資信託は長期保有が前提ですので、あまり短期のマイナスは気にしないでください。
ただ、この時点でいいか悪いか判断しないようにしてください。他のファンドと比較をしてから投資判断するようにしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲0.68% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
グローバルESGバランスファンドはバランスファンドの中でも安定成長カテゴリーに属しています。
パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。
グローバルESGバランスファンドは、上位20%程度にいますので、マイナスの利回りですが、悪くないパフォーマンスであることがわかります。
上位●% | |
1年 | 22% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
年別の運用利回りは?
グローバルESGバランスファンドの年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。
2021年は2桁プラス、2022年はマイナスとなっていますが、同カテゴリー内ではかなり優秀なパフォーマンスでしたね。
年間利回り | |
2022年 | ▲6.76%(1-9月) |
2021年 | +22.28% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとの利回り比較
グローバルESGバランスファンドに投資を検討しているのであれば、より低コストのインデックスファンドとのパフォーマンスは比較しておいて損はありません。
グローバルESGバランスファンドは株式、債券、REITのバランスファンドなので、同じく株式、債券、RIETに分散投資ができるインデックスファンドとして非常に人気の高いeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)と比較をしてみました。
※引用:モーニングスター
終始、かなり競ってはいますが、グローバルESGバランスファンドのほうがパフォーマンスで上回っています。
コストが5倍以上違うのですが、このパフォーマンスなら、グローバルESGバランスファンドも選択肢に入れてもいいと言えますね。
グローバル・ESG | Slimバランス | |
1年 | ▲0.68% | ▲0.84% |
3年 | - | +5.75% |
5年 | - | +4.84% |
10年 | - | - |
※2022年10月時点
アクティブファンドとの利回り比較
グローバルESGバランスファンドに投資を検討しているのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
そこで、今回はグローバルESGファンドと組み入れ比率がかなり近いセゾン投信のセゾン・グローバルバランスとパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
直近の直近までは、グローバルESGバランスファンドがリードしていましたが、セゾン・グローバルバランスに逆転されてしまいました。
グローバルESGバランスファンドはまだ運用期間が短いので、長期で安定した運用が期待できるセゾン・グローバルバランスのほうが安心して投資できると思います。
グローバル・ESG | セゾン・グロバラ | |
1年 | ▲0.68% | +3.40% |
3年 | - | +9.07% |
5年 | - | +6.20% |
10年 | - | +9.47% |
※2022年10月時点
グローバルESGファンドの他コースとの利回り比較
グローバルESGファンドへ投資をするのであれば、為替ヘッジ有と無、年2回決算型と隔月分配型のどれを選ぶかで迷う人もいると思います。
そこで、4つのファンドのパフォーマンスを比較しました。
まず、為替ヘッジ有と無で見ると、為替ヘッジ無のほうがパフォーマンスが高くなっています。
このブログでは常々言っていますが、為替の将来を予測することは不可能に近いので、為替ヘッジコストのことを考えると、ヘッジ無を選択しておけばよいと思います。どうしても為替リスクを抑えたいという人は為替ヘッジ有を選択しても全く問題ありません。
最大下落率は?
投資をするにあたって、気になるのが「このファンドはどの程度下落することがあるのか」という点でしょう。標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際の下落幅をみたほうが心構えができます。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲6.90% |
3カ月 | ▲5.60% |
6カ月 | ▲5.62% |
12カ月 | ▲0.68% |
※2022年10月時点
グローバルESGファンドへ投資はまだ運用期間が短いこともあり、10%近い下落は経験していません。いくらバランスファンドと言えば、10~20%の下落はどこかで経験することになるので、そのつもりでいてください。
評判はどう?
続いて、グローバルESGバランスファンドの評判を見てみましょう。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。
まだ運用を開始したばかりですが、毎月の資金流入額もどんどん大きくなっており、評判は上がってきているということです。
※引用:モーニングスター
グローバルESGバランスファンド『ブルー・アース』の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
最近は、銘柄のスクリーニングする段階でESGの観点も考慮していれば、ESGファンドと呼ばれたりしていますが、どの程度、考慮されているのか目論見書を見るだけでは全くわかりません。
何よりも問題なのは、バランスファンドであるにも関わらず、信託報酬が1.7%以上となっており、異常に高いコスト構造のファンドとなっています。
ただでさえ、債券を50%も入れていますので、パフォーマンスはそこまで高いものにはならないにもかかわらず、この手数料はパフォーマンスに多大な影響を与えることは間違いありません。
最近流行りにのったテーマ型ファンドではありますが、積極的に投資をするようなファンドかというと、そうではないと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点