10年以上前から、「健康」をテーマに運用を続けているニッセイ 健康応援ファンド。
毎年、分配金利回りも10%近く出ており、下手にタコ足配当のREITファンドに投資をするよりよほど健全と言えます。
- ニッセイ 健康応援ファンドって投資対象としてどうなの?
- ニッセイ 健康応援ファンドって持ってて大丈夫なの?
- ニッセイ 健康応援ファンドより良いファンドってある?
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
今日はニッセイアセットマネジメントのニッセイ 健康応援ファンドを独自の目線で徹底分析していきます。
ニッセイ 健康応援ファンドの基本情報
投資対象は?
ニッセイ 健康応援ファンドの投資対象は、国内の株式です。
独自の視点で健康にかかわる産業を分類し、健康増進、医療、福祉介護、その他の4分類に分けて、投資していきます。健康増進分野では、生活習慣病や健康意識の高まりに伴い、サプリやトクホ市場の拡大が見込まれています。
医療の分野では、医療財政悪化に伴う医療費抑制の流れを受けて、ジェネリック医薬品の使用や、予防医療のニーズ、電子カルテの導入などが進んでいます。
そして福祉介護の分野では、高齢化の進展に伴い、シニア住宅や介護付きマンション等が拡大しています。
※引用:交付目論見書
ニッセイ 健康応援ファンドは現在58銘柄ほどに投資していますが、組入上位を見てみると、以下のようになっています。医療・治療機器分野への投資に注目していることがわかります。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、ニッセイ 健康応援ファンドの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額が小さいと運用が効率的に行えず、余計なコストが発生したり、運用会社も運用に力を入れないため、パフォーマンスが優れないといったデメリットが発生します。
ニッセイ 健康応援ファンドは、2018年以降、ほぼ横ばいで推移しており、現在は219億円となっています。規模はかなり大きいというわけではありませんが、ファンドの規模としては十分です。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ニッセイ 健康応援ファンドの実質コストは1.87%となっており、コストはかなり高くなっています。パフォーマンスが高くなければ、まず手を出してはいけないファンドです。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.6115%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.87%(概算値) |
※引用;最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
ニッセイ 健康応援ファンドの独自評価と分析
基準価額をどう見る?
ニッセイ 健康応援ファンドの基準価額(黄線)は2021年をピークに下落を続けています。
分配金を受け取らずに再投資した場合の基準価額(青線)を見ると、日経平均株価が40,000円を突破する中、ほぼ横ばいとなっており、運用がまったくうまく行ってないことがわかります。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
ニッセイ 健康応援ファンドの直近1年間の利回りを見てみましょう。
平均利回り | |
1年 | +3.37% |
3年 | ▲2.72% |
5年 | +4.96% |
10年 | +7.89% |
※2024年9月時点
10年平均利回りは7%程度で悪くないように見えますが、他の日本株ファンドの利回りは2桁はありますので、この時点であまりパフォーマンスはよくなさそうだとわかります。ただし、他のファンドと比較をした上で最終判断しましょう。
同カテゴリー内での利回りランキングは?
せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、優れたファンドに投資をするべきです。
ニッセイ 健康応援ファンドは国内中型株のカテゴリーに属しています。
パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。
ニッセイ 健康応援ファンドはは、ほぼ全期間において、最下位のパフォーマンスとなっており、これでは誰も投資しませんね。
上位●% | |
1年 | 98% |
3年 | 100% |
5年 | 100% |
10年 | 95% |
※2024年9月時点
年別の運用利回りは?
ニッセイ 健康応援ファンドの年別の運用利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
ぱっと見ると、そこまで悪い利回りには見えませんが、同カテゴリーのランキングで見たようにほぼ最下位のパフォーマンスですので、ご注意ください。
年間利回り | |
2024年 | 7.29%(1-6月) |
2023年 | 6.44% |
2022年 | ▲12.85% |
2021年 | 0.13% |
2020年 | 14.04% |
2019年 | 20.87% |
2018年 | ▲12.58% |
2017年 | 29.67% |
2016年 | ▲0.24% |
2015年 | 27.96% |
2014年 | 22.06% |
※2024年9月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
ニッセイ 健康応援ファンドに投資するのであれば、低コストのインデックスファンドとのパフォーマンス比較はしておいて損はありません。
インデックスファンドのほうがパフォーマンスで優れているのであれば、わざわざ高いコストのアクティブファンドに投資をするメリットがないからです。
今回は、日経225に連動する代表的なインデックスファンドであるニッセイ 日経225インデックスファンドと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、ニッセイ日経225インデックスファンドがパフォーマンスで上回っています。
より長期のパフォーマンスも比較してみましょう。
年平均利回り | ニッセイ健康応援ファンド | ニッセイ 日経225 |
1年 | +3.37% | +20.41% |
3年 | ▲2.72% | +13.16% |
5年 | +4.96% | +15.19% |
10年 | +7.89% | +11.42% |
※2024年9月時点
全ての期間でニッセイ日経225インデックスファンドに負けています。
長期のパフォーマンスでも負けてしまっているので、ニッセイ 健康応援ファンドに投資をするメリットはありませんね。
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
ニッセイ 健康応援ファンドに投資するのであれば、他のアクティブファンドと比較をしてから投資をしても損はありません。
今回は、国内大型株カテゴリーで非常に優秀なパフォーマンスを残しているスパークスの厳選投資と比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
こちらも直近3年間では、ほぼ全期間において、厳選投資のほうが一歩リードしていることがわかります。より長期のパフォーマンスで比較をしても、やはり厳選投資が一枚上手ですね。
年平均利回り | ニッセイ健康応援ファンド | 厳選投資 |
1年利回り | +3.37% | +32.12% |
3年平均 | ▲2.72% | +11.43% |
5年平均 | +4.96% | +15.94% |
10年平均 | +7.89% | +14.39% |
※2024年9月時点
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。
それでは、ニッセイ 健康応援ファンドの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲15.27% |
3カ月 | ▲24.29% |
6カ月 | ▲30.07% |
12カ月 | ▲27.37% |
※2024年9月時点
ニッセイ 健康応援ファンドは2008年9月~2009年2月までに最大▲30.07%下落しました。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配金の推移は?
続いて、分配金の推移を見ていきましょう。
2021年までは高い分配金を払い出していましたが、2022年以降はパフォーマンスが優れない関係で、分配金がどんどん減ってしまっています。
分配金がもらえることは嬉しいですが、インデックスファンドに大きくパフォーマンスで負けているようなファンドでは、インデックスファンドに投資をしたほうが賢明です。
分配金 | |
2024年 | 0円 |
2023年 | 200円 |
2022年 | 300円 |
2021年 | 1,500円 |
2020年 | 1,000円 |
2019年 | 1,000円 |
2018年 | 2,000円 |
2017年 | 2,000円 |
2016年 | 1,500円 |
2015年 | 4,500円 |
2014年 | 3,300円 |
※2024年9月時点
評判はどう?
ニッセイ 健康応援ファンドの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけニッセイ 健康応援ファンドを購入している人が多いということなので、評判がよくなっているということです。
ニッセイ 健康応援ファンドは、2022年までは人気を取り戻しつつありましたが、2023年以降は資金の流出が続いています。もともと分配金狙いの投資家が多かったと思いますが、分配金が0となったことで、投資家が見放したのでしょう。
※引用:ウエルスアドバイザー
ニッセイ 健康応援ファンドの個人的評価まとめと今後の見通し
いかがでしたでしょうか?
医療や健康といった分野というのは比較的株価の下落に強いとされている分野で、コロナショックでもその下落幅はある程度抑えられていました。
下落幅を小さく抑えることは長期で見るとパフォーマンスに大きな影響を与えますので、とても重要な観点なのですが、コロナショックではテクノロジー系の株が急伸したこともあり、逆にニッセイ 健康応援ファンドのようなファンドは出遅れることになりました。
ニッセイ 健康応援ファンドは、インデックスファンドと比べても、パフォーマンスで劣後しており、長期での運用をしていく上で、あえて健康関連の銘柄に絞るメリットがどこまであるかは甚だ疑問が残ります。
インデックスファンドに投資をしても、健康関連銘柄を組み入れられているので、あえて健康関連銘柄に絞り込んだテーマ型ファンドに投資せずとも、よりパフォーマンスの優れたインデックスファンドに投資をしておけば十分と言えます。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点