グローバルに分散投資をしたいというと、eMAXIS Slim
全世界株式や楽天・全世界インデックスファンドなどが
ありますが、
世界中の成長著しい中小企業に投資をしたいというときに
最適なインデックスファンドというのはほとんどありません
でした。
そんな中、SBIアセットのEXE-i グローバル中小型株式ファンドが
出てきましたので、今日は徹底的に分析したいと思います。
EXE-i グローバル中小型株式ファンドの基本情報
投資対象は?
投資対象は、ETFへの投資を通じて、世界(日本を含む)の
中小型株式に投資を行います。
そして、FTSEグローバル スモール・キャップ インデックスに
連動する投資成果を目指します。
このベンチマークはあまり聞いたことがないかもしれませんが、
世界の中小型株式市場全体の動きを示す指数で、日本を含む
先進国・新興国47か国で、約4400銘柄で構成されています。
国別で組み入れ上位比率を見ると、下図のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
EXE-i グローバル中小型株式ファンドは、ファンド・オブ・
ファンズ方式で世界の中小型株式に投資をします。
実質は、米国の中小型株式に投資するために、シュワブ U.S.
スモールキャップ ETFを、米国を除く世界の中小型株式に
投資するために、バンガード・FTSE・オールワールド・
スモールキャップETFに投資をします。
※引用:交付目論見書
純資産総額は?
続いて、EXE-i グローバル中小型株式ファンドの純資産総額は
どうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。インデックスファンドの運用において、
純資産総額というのも見るべきポイントです。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を
入れ替えることができず、インデックスから乖離してしまう
リスクがあります。
また純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えが
うまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性があります。
EXE-i グローバル中小型株式ファンドは下図のように2013年の新規
設定以来、着実に純資産総額を伸ばしており、現在の純資産総額は
約64億円となっています。
ファンドの規模としては全く問題ありません。類似のインデックス
ファンドもありませんので、今後まだまだ伸びそうです。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなけれ
ばなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
インデックスファンドにおいて、実質コストというのは何よりも
重要な項目です。
FTSEグローバル スモール・キャップ インデックス連動型の
ファンドは現在、他にありませんのでライバルはいませんが、
今後同じベンチマークのインデックスファンドが設定されると、
実質コストの部分で良し悪しを決めることになります。
EXE-i グローバル中小型株式ファンドの実質コストは約0.355%と
なっており、十分低水準のコストとなっています。
購入時手数料 | 0 |
信託報酬 | 0.331%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 0.355%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
類似ファンドの信託報酬比較
EXE-i グローバル中小型株式ファンドには類似のファンドが
ないと先ほど説明しました。
ただ、多くの方が、投資をする際に全世界の株式に分散投資
ができるeMAXIS Slim 全世界株式や楽天・全世界インデックス
ファンドと比べてどうなのかという点は気になっていると
思います。
比較をしてみると、EXE-i グローバル中小型株式ファンドが
コスト面ではかなり割高となっていることがわかります。
ファンド・オブ・ファンズで投資をしているのが、大きな
要因です。
とは言っても、ファンド全体からみれば、かなり割安な水準
ではあります。
信託報酬(税込) | |
EXE-i グローバル中小型株式ファンド | 0.331% |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 0.132% |
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 0.1144% |
※2020年7月時点
EXE-i グローバル中小型株式ファンドの評価分析
基準価額の推移は?
EXE-i グローバル中小型株式ファンドの基準価額は、直近
3年ほどはあまりパフォーマンスが優れていません。
コロナショックでは30%以上下落しましたが、その後すぐに
戻してきたので、そこまで大きな痛手にはなりませんでした
※引用:モーニングスター
利回りはどう?
つづいて、EXE-i グローバル中小型株式ファンドの運用実績を
見てみましょう。直近1年間の利回りは▲6.14%となっています。
3年平均、5年平均も半年前の利回りからするとかなり低下して
おり、苦戦をしています。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | 2020年1月 | 2020年7月 |
1年 | 23.98% | ▲6.14% |
3年 | 6.19% | ▲0.54% |
5年 | 4.97% | 0.41% |
10年 | – | – |
※2020年7月時点
同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化
EXE-i グローバル中小型株式ファンドは、日本を含む
国際株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォ
ーマンスのファンドに投資すべきですので、同カテゴリー
内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
EXE-i グローバル中小型株式ファンドは、もともと平均
以下のランキングでしたが、コロナ前と後で大きな順位
変動はなかったようです。
平均利回り(上位●%) | 2020年1月 | 2020年7月 |
1年 | 67% | 74% |
3年 | 72% | 67% |
5年 | 30% | 53% |
10年 | – | – |
※2020年7月時点
年別のパフォーマンスは?
EXE-i グローバル中小型株式ファンドの年別のパフォーマンスも
見てみましょう。
2018年、2020年と苦戦していますが、トータルで見ると、
プラスのリターンになっていますので、あまり短期的な
パフォーマンスだけを参考にしすぎないようにしてください。
少なくとも5~10年の長期のパフォーマンスで分析していく
のがよいでしょう。
年間利回り | |
2020年 | ▲7.91%(1-6月) |
2019年 | 23.98% |
2018年 | ▲17.41% |
2017年 | 16.92% |
2016年 | 7.72% |
2015年 | ▲1.18% |
2014年 | 16.78% |
※引用:2020年7月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
類似ファンドとのパフォーマンス比較
EXE-i グローバル中小型株式ファンドの投資にするのであれば、
グローバルに投資ができるインデックスファンドと比較をして
おいたほうがよいでしょう。
今回は、グローバル株式に投資できるインデックスファンドである
楽天・全世界株式インデックス・ファンドとeMAXIS Slim 全世界株式
(オールカントリー)と比較をしてみました。
終始、EXE-i グローバル中小型株式ファンドだけがパフォーマンス
で劣っており、コロナショック以降はさらにその差が広がりました。
これだけ差がつくと、あえてEXE-i グローバル中小型株式ファンドを
選択する理由がなくなりますね。
※引用:モーニングスター
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が
気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性がある
のかという点かと思います。
下記に、ファンド設定来の最大下落率を期間別に集計した
ものを載せます。
EXE-i グローバル中小型株式ファンドは2020年1月~3月で
最大29.75%も下落しました。
今回は、かなり急回復したのでよかったのですが、30%
台の下落は今後もあることを念頭において投資をするように
してください。
一番、最悪なのは、大きく下落しているときに売却して
しまうことです。
長期で保有をすれば、基本は回復してきますので、我慢して
保有できるだけの精神力を身に付けていきましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲22.05% |
3カ月 | ▲29.75% |
6カ月 | ▲22.00% |
12カ月 | ▲23.82% |
※引用:2020年7月時点
積立NISAとiDeCoの対応状況は?
EXE-i グローバル中小型株式ファンド積立NISAとiDeCoの
対応状況を確認しておきましょう。
つみたてNISAもiDeCoも対応していますので、もし購入を
するのであれば、これらを使わない手はないですね。
積立NISA | iDeCo |
〇 | SBI証券(セレクトプラン)、SBI証券(オリジナルプラン) |
※2020年7月時点
評判はどう?
続いて、EXE-i グローバル中小型株式ファンドの評判を見て
いきたいと思います。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを
購入しているということなので、評判がいいということになります。
EXE-i グローバル中小型株式ファンドは2013年の新規設定以来、
ほぼ毎月資金が流入しており、人気のファンドとなっています。
同類のファンドがないというのもひとつ大きなポイントですね。
※引用:モーニングスター
EXE-i グローバル中小型株式ファンドの評価まとめと今後の見通し
EXE-i グローバル中小型株式ファンドは今まで投資家が
投資をしたいと思ってもできていなかった世界の中小型
株式にだけ絞って投資ができるインデックスファンドです。
たいていの人は、楽天・バンガード・世界株ファンドのように
大型株~小型株まで含んだ全世界の7000銘柄以上に分散投資が
できるファンドを好みます。
しかし、中には、リスクを取って、中小型株に投資をし、大きな
リターンを狙いたいという人もいると思います。
そうなったときに、EXE-i グローバル中小型株式ファンドが出る
までは、高コストのアクティブファンドに投資するか、もしくは、
海外ETFを利用するしかありませんでした。
海外ETFは購入したことがある人はわかりますが、購入手数料が高い、
定期買付が面倒など、色々と手間がかかるため、まだあまり浸透して
いません。
そういう意味では、世界中の中小型株に絞って投資ができる
インデックスファンドというのは、このファンドのみであり、
とても魅力的だと思います。
ただ、もう少しパフォーマンスが奮ってくれないと今のままでは、
eMAXIS Slim 全世界株式や楽天・バンガード・全世界株式インデックス
ファンドに投資をするほうが良いと判断せざるを得ません。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点