銘柄を20銘柄程度に厳選して運用しているファンドというと、スパークスの厳選投資が有名ですが、アセマネOneからも銘柄を厳選して運用するファンドが登場しました。その名も厳選ジャパン。
優れた運用チームが運用に携わっているので、期待はしていたのですが、直近でかなり高いパフォーマンスとなっており、注目が集まっています。
「厳選ジャパンって投資対象としてどうなの?」
「厳選ジャパンって持ってて大丈夫なの?」
「厳選ジャパンより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
厳選ジャパンの基本情報
投資対象は?
厳選ジャパンは、日本国内の株式を投資対象とし、今後高い利益成長率が期待できる20社程度を厳選し、投資をしていきます。
銘柄を絞りこむというのは、一般的に分散効果が薄れてリスクが高くなると思われがちですが、しっかり考え抜かれて選ばれた23銘柄であれば、それだけでも十分分散効果を発揮できます。
20銘柄程度に絞り込むには、各銘柄についてしっかり分析して、相当の自信がないとできないことですので、私個人としては、厳選ジャパンのように銘柄を絞り込んでいるファンドは高評価です。
具体的に、厳選ジャパンが組入れている銘柄を見てみましょう。
※引用:マンスリーレポート
1位のコメ兵ホールディングス日本最大級のリサイクルショップ(コメ兵、KOMEHYO)を運営する企業です。2位の楽天銀行は楽天グループ株式会社を親会社に持つ、新たな形態の銀行に分類される日本のネット銀行です。3位のロート製薬は一般医薬品の目薬で有名です。最近では「肌研」が急成長しスキンケアが主力になっています。
純資産総額は?
続いて、厳選ジャパンの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買できなかったり、コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
厳選ジャパンの純資産総額は、現在50億円程度です。厳選ジャパンのように小型株へ投資するファンドというのは、資金が集まりすぎると、運用に支障が出るので、あまり大きすぎない純資産が理想なのですが、少し心もとない水準ではあります。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
厳選ジャパンの実質コストは1.74%となっており、かなり割高です。購入時手数料も3.3%かかりますので、普通であれば、まず投資をしてはいけないファンドです。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.694%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 1.74%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
厳選ジャパンの評価分析
基準価額をどう見る?
厳選ジャパンの基準価額は2021年以降、大きく下落していますが、2022年、2023年は全くと言っていいほど、上昇していません。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
続いて、厳選ジャパンの利回りを見てみましょう。直近1年間の利回りは+6.85%程度となっています。
3年平均利回りはマイナス、5年平均利回りは9%のプラスということで、かなりパフォーマンスに波があるようです。
ただし、この利回りだけで投資判断をしてはいけません。他にも優れたファンドがないか類似ファンドとの利回りを比較してから投資をするようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +6.85% |
3年 | ▲1.71% |
5年 | +8.78% |
10年 | - |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
厳選ジャパンは、国内小型グロースカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、誰しも優秀なパフォーマンスのファンドに投資したいと思うので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
厳選ジャパンは直近1年は平均的な水準ですが、5年平均では上位5%に入る優秀なパフォーマンスとなっています。
銘柄を絞り込んでいるため、パフォーマンスが良いときと悪いときでムラがありますが、総じて悪くないと言えますね。
上位●% | |
1年 | 51% |
3年 | 78% |
5年 | 5% |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別の利回りは?
厳選ジャパンの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2019年、2020年のパフォーマンスは非常に好調だったこともあり、トータルで見ると、大きくプラスになっています。
ただ、2021年、2022年とマイナスが続いており、他の株式ファンドが優れた成果を出しているときに追随できていないというのは大きなマイナスです。
年間利回り | |
2023年 | +8.17%(1-9月) |
2022年 | ▲13.32% |
2021年 | ▲7.30% |
2020年 | +75.65% |
2019年 | +22.98% |
2018年 | ▲1.60% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとの利回り比較
厳選ジャパンに投資を検討する上で、より低コストで運用ができるインデックスファンドとの利回りを比較しておいて損はありません。
今回は日経225に連動するニッセイ 日経225インデックスファンドと利回りを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間においては、ほぼ全期間において、ニッセイ 日経225インデックスファンドが大きくパフォーマンスで圧倒しています。
5年平均利回りで比較をすると、厳選ジャパンが優位となっていますが、1年、3年平均利回りも合わせて比較をすると、厳選ジャパンは長期で保有をすれば高いリターンが期待できるものの、変動はかなり大きいということがわかります。
厳選ジャパン | ニッセイ日経 225F | |
1年 | +6.85% | +25.03% |
3年 | ▲1.71% | +13.02% |
5年 | +8.78% | +7.56% |
10年 | - | +9.99% |
※2023年10月時点
アクティブファンドとの利回り比較
厳選ジャパンのようなアクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドと利回りを比較してから投資をしても遅くはありません。
今回は、国内のアクティブファンドで有名な東京海上のジャパン・オーナーズ株式オープンと比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
こちらも直近3年間においては、ほぼ全期間において、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンがパフォーマンスで上回っています。
5年平均利回りで見ると、厳選ジャパンが上回っていますが、安定性と言う意味で、やはり厳選ジャパンは恐いところがあります。
厳選ジャパン | ジャパン・オーナーズ | |
1年 | +6.85% | +6.88% |
3年 | ▲1.71% | +1.77% |
5年 | +8.78% | +6.18% |
10年 | - | +15.63% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
厳選ジャパンに投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
それでは厳選ジャパンの最大下落率を見てみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲15.35% |
3カ月 | ▲27.75% |
6カ月 | ▲20.04% |
12カ月 | ▲26.66% |
※2023年10月時点
最大下落率は2020年1月~2020年3月の3カ月間で▲27.75%となっています。まだ運用期間が短いこともあり、大して大きな下落は経験していません。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
厳選ジャパンの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけ厳選ジャパンを購入している人が多いということなので、評判が良くなっているということです。
厳選ジャパンは、パフォーマンスが好調だった2020年~2022年にかけては資金が流入していましたが、2023年にはパフォーマンスが奮わないことを背景に流出超過となっています。
インデックスファンドにパフォーマンスで負けてしまっている点からもこの評判は当然の結果と言えますね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
厳選ジャパンのNISAとiDeCoの対応状況を確認しておきましょう。
NISAのみ対応しているので、投資をする際は、うまくこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | - |
※2023年10月時点
厳選ジャパンの評価まとめと今後の見通し
いかがでしたでしょうか?
厳選ジャパンはDIAM新興市場日本株ファンドという非常に優れたファンドがあるのですが、その運用チームが厳選ジャパンも担当しています。そのため、新規設定当初から、期待ができるのではと言ってきましたが、やはり高い結果を出しています。
2020年のパフォーマンスが良すぎたため、2021年以降の運用が伸び悩んでいますが、引き続き期待をしたいファンドの1本ではあります。
直近のパフォーマンスだけを見ると、インデックスファンドにも負けてしまっており、投資しづらいと思う人も多いと思いますが、アクティブファンドはインデックスファンドよりもパフォーマンスが良い時と悪い時が必ずあるので、これを乗り切れると、また大きなリターンが期待できる時期が来る可能性が高いです。
もともと優れた運用チームが運用しているファンドだからこそですが、あえて今のパフォーマンスの良くない時期に仕込んでおくのも1つだと思いますね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点