日興アセットマネジメントから出ているファイン・ブレンド。
最近流行りの6資産や8資産でもなく、日本国債、海外債券、
海外株式、海外REIT、金の5つの資産に分散するファンドと
なっています。
日本国債だけ切り出されているので、ここでリスクの調整を
していることが想像できますが、日本国債の比率が高くなり
すぎて、高いコストを支払っているだけになっていないかが
心配です。
ファイン・ブレンドには、毎月分配型と資産成長型の2種類が
ありますが、今日はより人気の高い毎月分配型を詳しく分析
していきます。
資産成長型を保有しているもしくは、検討している人にも
参考になるように書いていますので、参考にしてください。
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の基本情報
投資対象は?
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の投資対象は、日本を含む
世界の債券、株式、REIT、金などに分散投資をしていきます。
もう少し具体的に見てみると、日本国債は、超長期国債(残存期間
が10年以上の国債)が中心となります。
リスクは低いですが、その分、リターンが低いので、日本国債の
割合が高いと手数料がだけ取られ続けることになります。
海外債券はG20構成国の中から、金利水準の高いソブリン債に
投資するので、日本国債より安定的な収益が期待できます。
金は、金価格に連動するETFに投資をしていきます。
金を組み込んでいるのは、他の4資産と異なる値動きをするため、
分散効果が高いと見越してのことでしょう。
※引用:交付目論見書
ファイン・ブレンド(毎月分配型)は、定期的な資産配分の
見直しにより、魅力的な収益の獲得を目指すとあります。
状況変化に応じて、資産配分を適切に変更するというわけですが、
バランスファンドの場合、リスクを取らなさ過ぎて、収益の
チャンスを逃していることが往々にあります。
アセットアロケーションが固定されている場合はよいですが、
固定されていない場合は、現在の構成比率は必ず確認する必要が
あります。
※引用:交付目論見書
下図が、ファイン・ブレンド(毎月分配型)の現在のアセット
アロケーションです。
パッと見てわかるとおり、日本国債の比率が約50%とかなり高く
なっています。
また現状、中長期国債を購入する価値がほとんどないため、利回りが
総体的に高い超長期国債に注目が集まってはいますが、中長期国債の
利回りが回復してこれば、超長期国債の基準価額は大きく下落します。
実質利回りは0.36%しかない長期国債を買うのに1%以上の手数料を
支払っているという事実をしっかりと理解しておかなければいけません。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、ファイン・ブレンド(毎月分配型)の純資産総額は
どうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性
がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の純資産総額は440億円程度と
なっています。
毎月分配型ファンドにも関わらず、純資産総額が減っていないと
いうのは驚きです。規模の大きさとしては全く問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが
通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の実質コストは1.49%と
高めの設定になっています。
先ほども指摘しましたが、全体の50%を占める日本国債部分は
いまは一時的に利益を出していますが、金利が上昇すれば、
一気に基準価額が下落します。
そのような危うい状況の中で、わざわざ1.5%近くの手数料を
支払ってまで、投資する価値があるのかは甚だ疑問です。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.47%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.49%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。
無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の評価分析
基準価額をどう見る?
ファイン・ブレンド(毎月決算型)は直近3年間で8%ほど
下落をしています。
分配金を受け取らずに運用をした場合の基準価額(青線)は
3年間で5%ほど上昇していますので、ファンドの収益以上の
分配が行われていることがわかります。
ただ、基準価額の下落は小さく、健全な範囲内で分配が
行われているといえます。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
続いて、利回りを見てみましょう。
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の年間利回りは0.64%と
なっています。
3年平均利回りは1.88%、5年平均利回りが2.15%となっており、
コロナショックで下落したものの、安定的にプラスの利回りで
運用ができています。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | 2020年1月 | 2020年7月 |
1年 | 8.96% | 0.64% |
3年 | 2.97% | 1.88% |
5年 | 2.27% | 2.15% |
10年 | – |
※2020年7月時点
同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化
ファイン・ブレンド(毎月分配型)は、バランス型ファンドの安定
カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
ファイン・ブレンド(毎月分配型)は半年前から上位10%~20%
にランクインしており、コロナショック後もかなり上位に
ランクインしています。
こういった下落相場でもランキングがあがるというのは、
評価できるポイントです。
平均利回り(上位●%) | 2020年1月 | 2020年7月 |
1年 | 16% | 30% |
3年 | 10% | 7% |
5年 | 10% | 6% |
10年 | – |
※2020年7月時点
年別の運用パフォーマンスは?
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の年別のパフォーマンスを
見てみると、2015年、2018年、2020年はマイナスとなって
おり、総じてそこまで高い利回りとはなっていません。
ただ、ファイン・ブレンド(毎月分配型)に投資をしている
ような投資家の方の場合は、期待利回りがそこまで高くは
ないので、堅実に運用ができていれば、十分かもしれません。
あまりリスクを取りたくない投資家にとっては、これくらいの
リターン幅のほうが投資をしやすいかもしれませんね。
年間利回り | |
2020年 | ▲6.39%(1-6月) |
2019年 | 8.96% |
2018年 | ▲3.90% |
2017年 | 4.27% |
2016年 | 6.60% |
2015年 | ▲3.85% |
2014年 | 12.24% |
※2020年7月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
類似ファンドとのパフォーマンス比較
ファイン・ブレンド(毎月分配型)に投資をするのであれば、
他のバランス型のアクティブファンドとパフォーマンスを
比較しておいて損はありません。
今回は、株、債券、RIETにリスクを抑えた分散投資をする
投資のソムリエとパフォーマンスを比較してみます。
コロナショック前までは、パフォーマンスは拮抗していましたが、
コロナショック後は大きくパフォーマンスに差がつきました。
投資のソムリエもファイン・ブレンド(毎月分配型)と同じように
機動的にポートフォリオを組み替えるファンドですが、運用チームの
差が見事に表れた結果ですね。
※引用:モーニングスター
ちなみに5年平均利回りで2つのファンドを比較してみても、
投資のソムリエのほうが利回りは高くなっています。
ファイン・ブレンド | 投資のソムリエ | |
1年 | 0.64% | 4.85% |
3年 | 1.88% | 3.50% |
5年 | 2.15% | 2.48% |
10年 | – | – |
※2020年7月時点
分配健全度はどれくらい?
分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。
そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。
分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。
基準価額の変動幅 | 1年間の分配合計額 | 分配健全度 |
▲344円 | 480円 | 28.3% |
※2019/8/1~2020/7/31
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の直近1年間の
分配健全度は28.3%となっています。
分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味します。
28.3%となると、直近1年間の大半はファンドの収益以外
から分配金が支払われているということです。
今までは比較的健全に運用していたファンドですが、
基準価額がコロナショックで下落し始めたことで、
分配健全度が大きく悪化をし始めていますので、
今後注意が必要です。
分配金利回りはどれくらい?
毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。
ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。
そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の分配利回りは5%程度
なので、健全な水準ではあります。
ただ、ファンドの運用利回り自体が低いので、あなたが
受け取っている分配金のほとんどはファンドの収益では
ないということがわかります。
運用利回り | 分配利回り | |
1年 | 0.64% | 5.3% |
3年 | 1.88% | |
5年 | 2.15% | |
10年 | – |
※2020年7月時点
分配金余力はどれくらい?
毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。
そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。
分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。
明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の分配金余力は、
33カ月程度ありますので、当分減配の心配はなさそうです。
分配金 | 繰越対象額 | 分配金余力 | |
73期 | 40円 | 1,331円 | 34.2カ月 |
74期 | 40円 | 1,322円 | 34.0カ月 |
75期 | 40円 | 1,321円 | 34.0カ月 |
76期 | 40円 | 1,317円 | 33.9カ月 |
77期 | 40円 | 1,310円 | 33.7カ月 |
78期 | 40円 | 1,311円 | 33.7カ月 |
79期 | 40円 | 1,306円 | 33.6カ月 |
80期 | 40円 | 1,303円 | 33.5カ月 |
81期 | 40円 | 1,300円 | 33.5カ月 |
82期 | 40円 | 1,303円 | 33.5カ月 |
83期 | 40円 | 1,308円 | 33.7カ月 |
84期 | 40円 | 1,307円 | 33.6カ月 |
積立NISAとiDeCoの対応状況は?
積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。
そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
積立NISA | iDeCo |
× | × |
※2020年7月時点
評判はどう?
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の評判はネットでの書き込みで
調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが
月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけファイン・ブレンドを
購入している人が多いということなので、評判が良いということです。
ファイン・ブレンドは設定来、毎月資金が流入しており、非常に評判の
良い商品となっています。やはりリスクを嫌う投資家から人気が高い
ようですね。
コロナショックで評価損が急激に増える経験をした投資家からの
資金が流入しているのかもしれません。
どちらにしても評判は上々のようです。
※引用:モーニングスター
ファイン・ブレンド(毎月分配型)の今後の見通し
ファイン・ブレンド(毎月分配型)は、今後も日本国債で
ガチガチに守りを固めながら、すこしずつ資産を増やし
ていくというスタンスなので、今後もゆっくりゆっくりと
資産を増やすには役立つと思います。
しかし、前述のように日本国債部分は、今はまだ大丈夫
かもしれませんが、金利が上昇すれば、一気に下落します。。
その事実を知ったうえでも、ファイン・ブレンドがよいと言う人は
そのまま投資するとよいと思いますが、私からすると、リスクを
恐れすぎて、リターンを得る機会を逃しているように感じます。
機動的にアセットアロケーションを変更することで、追加の
収益を狙っていくファンドはいくつもありますが、少なくとも
急落相場では投資のソムリエのほうがうまく運用ができていました。
ですので、リスクを抑えて運用がしたいのであれば、投資のソムリエ
に乗り換えることを検討してもよいかもしれません。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点