10年以上、投資信託の運用をしている僕ですが、長年運用しているからこそ、投資信託のアドバイスをしていて、少し違和感を覚えることがあります。
それは多くの人がファンドの銘柄選定を一番大事にしているということです。
長年、投資信託の運用をしてきたからこそわかりますが、ファンドのパフォーマンスに最も影響を与えるのは、実は銘柄選定ではありません。
それよりもはるかに大事なのが、「下落相場でも平常心で投資信託を保有し続けられる力」です。
投資信託で大きなリターンを得るためには、10年以上の長期保有がとにかく絶対条件になります。
そのため、どれだけ良い銘柄を選んでいたとしても、下落相場に直面したとき、自分の判断で投資信託を売却してしまうと、パフォーマンスに大きな影響が出てしまうのです。
厄介なことに、「下落相場で投資信託を売却しないことが大事」と頭ではわかっていても、ほとんどの人は保有を続けられません。
大暴落が起きているようなときは、相場に悪いニュースばかりが目に入ってきます。
そうすると、「もっと下落してしまうのではないか」「もっと損失が膨らむんじゃないか」と、仕事が手につかなかったり、寝れない日も出てきます。
その結果、不安から解放されたい一心で、せっかく優れたファンドを選定できていたとしても、たいした利益も出ないうちに売却してしまうのです。
何か対策方法はないのか?と聞かれることも多いですが、残念なことに、「下落相場でも平常心で投資信託を保有し続けられる力」を鍛えるのは、簡単なことではありません。
そのため、現実的には、次のような方法が一番簡単かつ即効性があります。
大暴落が来たら、相場もニュースも何も見ない
過去の株価チャートを見たり、保有している投資信託の最大下落率を調べたりすることも意味がないとは言いませんが、感情を抑え込むだけの力にはなりません。
なので、この方法が一番効き目があります。
このようにして下落相場でもしっかりと保有を継続できれば、先進国株式だろうが、オールカントリーだろうが、S&P500だろうが、たいていの株式ファンドであればプラスのリターンは出ます。
パフォーマンスにある程度の差は尽きますが、どれかを選ぶとマイナスになり、どれかを選ぶと大きなプラスになるといったレベルの開きはまずつきません。
一方で、下落相場でも平常心のまま長期保有を続けた人と、精神的にまいってしまい途中で売却してしまった人を比較すると、同じ投資信託を保有していたとしても、パフォーマンスに雲泥の差がつきます。
ぜひこの事実をしっかり頭に刻み込んだうえで投資信託の運用を始めてください。