さて、2019年以降、全自動型の資産運用サービスの
THEOが一躍注目を集めました。
すでに預かり資産が1000億円を突破しており、それだけ
注目を集めていることがわかります。
一方で、鋭い投資家の中には、「THEOの手数料は高すぎ
る。自分で運用するほうがいい」という意見も出てきて
います。
そこで、実際のところTHEOの手数料は自分で運用する
場合と比べて高いのか、高くないのかを今日は徹底比較
していきたいと思います。
テオ(THEO)の手数料が高いと言う人は実際多い
まず、1つの事実として、THEOの手数料は高いと
いうことで、ブログでもtwitter等でも騒がれています。
※ただし、直近ではTHEOの手数料体系が見直されており、
特定の条件を満たす場合、手数料が最大35%OFFになります。
詳しい条件はこちらをご確認ください。
確かに直接、海外ETFやインデックスファンドを購入した
ほうが手数料は安く抑えられるので、
手数料負けする可能性は下がると思っていますが、はたして
どの程度差があるのかはあまり語られることがありません。
そこで、今回は、THEOの手数料は本当に高いのか、高い
のならどの程度高いのか、海外ETFを購入した場合と
インデックスファンドを購入した場合で徹底検証して
いきます。
テオ(THEO)の運用にかかる手数料の一覧はこちら
まずはTHEOで運用した場合の手数料を見てみましょう。
なお、キャンペーンや長期割などの割引制度は使って
いない前提で計算していきます。
入金 | クイック入金 | 無料 |
自動積立 | 無料 | |
金融機関振込 | 金融機関による | |
出金 | 出金手数料 | 無料 |
取引 | ETF売買手数料 | 無料 |
為替手数料 | 無料 | |
管理手数料 | 年1.0%※1 | |
ETF信託報酬 | 年0.1%前後※2 | |
口座開設 | 無料 | |
口座維持手数料 | 無料 |
※引用:THEO HP
※1 投資資金に応じた手数料の割引キャンペーンを適用すると最大35%OFFになります。
※2 組入られるETFによって信託報酬が異なる。
このように、実際にTHEOを使って運用する場合、実際に
かかるコストとしては、年0.8%の管理手数料と購入した
ETFの信託報酬のみになります。
とてもシンプルでわかりやすい手数料体系になっているのは
ありがたいですね。
ETFの信託報酬が変動するのはリスク許容度に応じて、
以下の資産を保有している比率が異なるからです。
基本的に株式の比率が高いほうが安くなりますね。
資産クラス | 海外ETF名 | 経費率 |
アジア先進国株 | VPL | 0.08% |
新興国株 | VWO | 0.10% |
米国割安株 | SPYV | 0.07% |
米国成長株 | SPYG | 0.04% |
ユーロ株 | FEZ | 0.29% |
米ドル建債券 | SPAB | 0.04% |
ハイイールド債券 | SJNK | 0.40% |
先進国債券 | BWX | 0.50% |
金 | IAU | 0.25% |
米国REIT | XLRE | 0.13% |
エネルギー株 | IXC | 0.48% |
ちなみに手数料はいつ発生するの?と疑問に思っている方も
いるかもしれませんが、手数料は毎月差し引かれます。
厳密には、1日ごとに手数料へ計算されており、1カ月分が
まとめて月初に請求されるイメージです。
さて、ここからが本題ですが、この手数料体系のTHEOに
対して、果たして自分で銘柄を選定し運用した場合、
どれくらいコストを抑えられるか比較してみましょう。
つみたて投資を利用されている方も多数いると思いますが、
つみたて投資の場合、手数料計算が複雑になるので、今回は
100万円を一括投資した場合、どうなるのか検証していきます。
一括投資した場合の手数料比較
テオ(THEO)で1年間100万円運用したときの手数料
手数料名 | 計算式 | 手数料 |
売買手数料 | 無料 | - |
為替手数料 | 無料 | - |
管理手数料 | 100万円×1.1% | 1.1万円 |
ETF信託報酬無料 | 100万円×約0.1% | 0.1万円 |
リバランス | 無料 | - |
合計 | - | 1.2万円 |
※ETF信託報酬は概算値
THEOで1年間100万円運用したときの手数料は年間で
1.2%程度です。
つまり年1.2%以上の利回りで運用されれば手数料負け
する心配はないということです。
またこの手数料水準であればアクティブファンドで
よく見かける水準ですので際立って高いというわけでは
ありません。
海外ETFを自分で買って1年間100万円運用したときの手数料
では、THEOのロボアドバイザーが購入しているETFを
証券会社で自分で購入した場合はどの程度の手数料が
かかるでしょうか。
今回は住信SBIネット銀行で円をドルに転換し、SBI証券で
海外ETFを買付した場合のシミュレーションをしてみます。
手数料名 | 計算式 | 手数料 |
売買手数料 | 100万円×0.45% | 0.45万円 |
為替手数料 | 片道4銭 | 0.08万円※1 |
管理手数料 | 無料 | - |
ETF信託報酬無料 | 100万円×約0.1% | 0.1万円 |
リバランス | 100万円×0.45%×0.1% | 0.02万円※2 |
合計 | - | 0.65万円 |
※ETFは1口当たりの金額が決まっているので、厳密には同じポートフォリオにはなりません。
※1 ETFを購入するとき円→ドルに転換し、ETFを現金に戻すときにドル→円で為替手数料が発生するとして計算
※2 全体の資産の10%ほどに対してリバランスが行われると仮定
海外ETFを自分で買い付けた場合は、THEOと比較をして
初年度は約半分のコストで運用ができます。
またTHEOの管理手数料とETF信託報酬は毎年発生しますが、
海外ETFを自分で購入する場合、売買手数料と為替手数料は
初年度しかかかりません。
ですので、2年目以降は、大幅に手数料を抑えることができます。
自分で運用する場合、0.2%以上の利回りで運用ができれば、
手数料負けする心配はありませんので、保有している安心感が
違います。
テオ(THEO)の手数料が高いのか問題の結論
このように実際にTHEOの手数料と自分で海外ETFを
購入する場合の手数料を比較すると明確に差がある
ことがわかります。
運用資金が小さいうちは大した差を感じないかもしれませんが、
運用金額が大きくなればなるほど、1%の手数料は重く
のしかかっていきます。
ですので、手数料だけを見ると、自分でETFを買うほうが
間違いなくお買い得でしょう。
とは言え、投資を始めたばかりの人がETFを自分で買い付ける
というのも難易度が高いと思います。
ですので、ドルに両替したり、ETFを買い付けたりするのが
面倒という人は少し手数料は高いですが、THEOを使うと
いうのもよいでしょう。
また、THEOとまったく同じポートフォリオにはなりませんが、
超低コストのインデックスファンドであれば、比較的簡単に
購入することも可能です。
「コストが高いのは嫌だ!」という人は、eMAXIS Slim バランス
(8資産均等型)等の購入を検討してもよいと思います。