先進国株式に投資ができるインデックスファンドと言えば、MSCI KOKUSAIをベンチマークとするファンドが多い中、FTSE Kaigai・インデックスを参考指標として、優れた運用ができているのが、SBIアセット・マネジメントのEXE-i 先進国株式ファンドです。
果たして、EXE-i 先進国株式ファンドとはどのようなファンドなのか、徹底分析していきます。
「EXE-i 先進国株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「EXE-i 先進国株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「EXE-i 先進国株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
EXE-i 先進国株式ファンドの基本情報
投資対象は?
EXE-i 先進国株式ファンドは、ETFへの投資を通じて、日本を除く先進国株式を投資対象としています。
またMSCI KOKUSAIではなく、FTSE Kaigai・インデックス(円ベース)を参考指標としています。FTSE Kaigaiインデックスとは、FTSE社が開発した指数で、日本を除く世界の主要国の株式全体の動きを表す指数です。
国別の構成比率を見てみると、アメリカが約70%、次いでイギリス、フランスとなっています。
※引用:マンスリーレポート
EXE-i 先進国株式ファンドの現在の組入銘柄数は約1600銘柄で構成されており、組入上位5銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、EXE-i 先進国株式ファンドの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
EXE-i 先進国株式ファンドの純資産総額は、現在約250億円です。資産規模はそこまで大きくはないですが、毎年着実に純資産総額を増やしています。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
EXE-i 先進国株式ファンドの実質コストは0.338%となっており、他のインデックスファンドと比べると割高な水準です。
購入時手数料 | なし |
信託報酬 | 0.309%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 0.338%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
EXE-i 先進国株式ファンドの評価分析
基準価額をどう見る?
EXE-i 先進国株式ファンドの基準価額を見てみましょう。2022年は伸び悩んでいますが、2023年以降に大きく上昇しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、EXE-i 先進国株式ファンドの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは10.58%となっています。どの期間においても、平均利回りは10%を超えているので、パフォーマンスは良さそうです。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +10.58% |
3年 | +22.93% |
5年 | +15.01% |
10年 | +12.03% |
※2023年11月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
EXE-i 先進国株式ファンドは、国際株式・グローバル・除く日本カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
EXE-i 先進国株式ファンドは、全期間上位30%以内にランクインしており、インデックスファンドにしては、かなり優秀です。
上位●% | |
1年 | 17% |
3年 | 9% |
5年 | 26% |
10年 | 26% |
※2023年11月時点
年別のパフォーマンスは?
EXE-i 先進国株式ファンドの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
10%近いマイナスの年もありますが、マイナス幅も小さく、10%を超えるプラスの年も複数年あるので、投資家としても比較的安心して投資ができますね。
年間利回り | |
2023年 | +22.90%(1-9月) |
2022年 | ▲4.84% |
2021年 | +38.98% |
2020年 | +8.57% |
2019年 | +26.77% |
2018年 | ▲12.14% |
2017年 | +19.85% |
2016年 | +2.34% |
2015年 | ▲1.21% |
2014年 | +21.85% |
※2023年11月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
EXE-i 先進国株式ファンドに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、MSCIコクサイ・インデックスを採用しているeMAXIS Slim 先進国株式インデックスとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、終始、EXE-i 先進国株式ファンドのパフォーマンスが上回っています。先進国株式と一言で言っても、ベンチマークとする指数が違えば、これくらいの差はつきます。
ただ、5年平均利回りで比較をすると、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスのほうが優れているので、優劣はつけづらいですね。
年平均利回り | EXE-i 先進国株式 | slim 先進国株式 |
1年 | +10.58% | +9.96% |
3年 | +22.93% | +21.91% |
5年 | +15.01% | +15.25% |
10年 | +12.03% | ー |
※2023年11月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
EXE-i 先進国株式ファンドに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、先進国株式に投資をするアクティブファンドで非常に優れた成果を残している大和住銀DC海外アクティブファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、EXE-i 先進国株式ファンドが大和住銀 DC海外株式アクティブファンドを大きく引き離す展開となりました。
ただ、5年、10年平均利回りで比較をすると、大和住銀 DC海外株式アクティブファンドのほうが上回っており、長期で高いリターンを狙っていくのであれば、大和住銀 DC海外株式アクティブファンドという選択肢も悪くないです。
年平均利回り | EXE-i 先進国株式 | 大和住銀DC海外アクティブファンド |
1年 | +10.58% | +13.18% |
3年 | +22.93% | +12.17% |
5年 | +15.01% | +16.14% |
10年 | +12.03% | +14.20% |
※2023年11月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、EXE-i 先進国株式ファンドの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲15.64% |
3カ月 | ▲22.92% |
6カ月 | ▲16.54% |
12カ月 | ▲19.60% |
※2023年11月時点
EXE-i 先進国株式ファンドの最大下落率は2020年1月~2020年3月で▲22.92%となっています。これくらいの下落であれば数年に一度は起きる覚悟はしておいたほうがいいですね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
EXE-i 先進国株式ファンドの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、EXE-i 先進国株式ファンドの評判を見てみましょう。
ほぼ全期間、流入超過となっており、評判も良いようです。eMAXIS Slim先進国株式インデックスと比べてもパフォーマンスで見劣りしていないので、納得ですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
EXE-i 先進国株式ファンドはNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年11月時点
EXE-i 先進国株式ファンドの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
インデックスファンドに投資をする場合、ベンチマークとする指数と実質コストでパフォーマンスがほぼ決まってきます。
同じベンチマークの場合は、実質コストが安いファンドほど、パフォーマンスは当然良くなります。
一方、今回のように参考指標が違う場合というのは、コスト以上にパフォーマンスに影響が出る場合が多いです。
少なくとも直近3年間では、FTSE Kaigai・インデックスをベンチマークとしているEXE-i 先進国株式ファンドのほうが優れています。
ただし、5年平均利回りで比較をすると、MSCI KOKUSAIをベンチマークとするeMAXIS Slim先進国株式インデックスのほうが優れているので、どちらかしか取り扱いのない証券会社であれば、取り扱いのあるファンドを選びましょう。
両方とも取り扱いがあるのであれば、無難にコストが安いeMAXIS Slim先進国株式インデックスのほうがおすすめです。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点