大手運用会社が競って出している低コスト・インデックスファンド。
三井住友・225オープンも、一昔前は低コストインデックスファンドの最前線で競っていましたが、今では影を潜めています。
果たして、近年の超低コストファンドと比べてパフォーマンスにどの程度差が出てくるのか、今日は三井DSアセットの三井住友・225オープンを徹底分析したいと思います。
「三井住友・225オープンって投資対象としてどうなの?」
「三井住友・225オープンって持ってて大丈夫なの?」
「三井住友・225オープンより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
三井住友・225オープンの基本情報
投資対象は?
三井住友・225オープンは、国内株式のうち日経225採用銘柄を主要投資対象とし、原則として等株数投資することで同株価に連動する投資成果を目指します。
直近の組入上位業種と銘柄は以下の通りです。組入銘柄数は225銘柄なので、完全に日経平均株価と連動させるような組入れ方をしていることがわかります。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
純資産総額は投資信託を見極める際に大切なポイントとなります。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額が多いほうが、ファンドマネージャーが資金を投資する際に有利であったり、他の投資家の解約の際の影響が小さくなりますので、優れた投資信託と言えます。
投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
三井住友・225オープンは1998年に設定されて以来、20年近く運用されています。直近では1300億円規模となっており、インデックスファンドとしては規模は大きいほうですね。
ただ、後述しますが、コスト面等を考慮すると、他のファンドへの乗り換えを検討したほうがよいと思います。
※引用:三井DSアセットマネジメント HP
実質コストは?
投資信託には、目論見書に書かれている購入時手数料や信託報酬以外にも費用がかかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言います。
実質コストには、株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれており、信託報酬だけを頼りに投資判断をしていると、あとから痛い目を見ることがあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
三井住友・225オープンの実質コストは0.665%です。
近年の低コストのインデックスファンドだとこのコストの3分の1、4分の1で投資ができますので、この実質コストの高さでは戦えません。
購入時手数料がかかるのも今時のファンドではありえないので、評価が下がりますね。
購入時手数料 | 1.1%(税込)※上限 |
信託報酬 | 0.66%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 0.665%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
三井住友・225オープンの評価分析
基準価額をどう見る?
それでは、三井住友・225オープンの基準価額の推移を見てみましょう。
2021年、2022年は下落をしていましたが、2023年に入り、日経平均が30,000円を突破したことでその恩恵を受けています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
三井住友・225オープンの利回りを見てみましょう。
直近の1年間は+18.21%となっており、3年、5年、10年平均利回りでは約10%以上のリターンを安定的に出しています。
一見すると、十分なパフォーマンスに感じますが、やはり他のファンドと比較をしてからでも投資は遅くありません。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +18.21% |
3年 | +13.75% |
5年 | +9.02% |
10年 | +10.95% |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内大型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
三井住友・225オープンは、国内大型グロースカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
三井住友・225オープンは10年のパフォーマンスこそ上位40%程度ですが、それ以外は平均水準となっていますので、まだまだ上がいることがわかります。
上位●% | |
1年 | 45% |
3年 | 43% |
5年 | 44% |
10年 | 34% |
※2023年10月時点
年別の運用利回りは?
三井住友・225オープンの年間パフォーマンスを見てみると、2018年・2022年は優れませんでしたが、それ以外の年ではしっかりとプラスのリターンを維持することができています。
このパフォーマンスであれば、文句を言う人はいないでしょう。
年間利回り | |
2023年 | +23.55%(1-9月) |
2022年 | ▲7.99% |
2021年 | +6.07% |
2020年 | +17.86% |
2019年 | +20.20% |
2018年 | ▲10.75% |
2017年 | +20.86% |
2016年 | +1.93% |
2015年 | +10.64% |
2014年 | +8.69% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略類似ファンドとの利回り比較
三井住友・225オープンへ投資をするのであれば、他のインデックスファンドとパフォーマンスを比較してからでも遅くはありません。
実質コストを込みで考えると、信託報酬が安くても、パフォーマンスが優れないといったことが時々起こります。
今回は、日経225に連動するインデックスファンドの中でも、信託報酬が最安値のeMAXIS Slim 国内株式(日経平均)と利回りを比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
結果は信託報酬分、eMAXIS Slim国内株式(日経平均)のほうが勝ちました。
長期運用を前提とした場合、年間数%の差が大きな差を生むことになりますので、できる限りコストは安いファンドを選ぶようにしてください。
三井住友225 | slim 国内株式 | |
1年 | +18.21% | +18.55% |
3年 | +13.75% | +14.09% |
5年 | +9.02% | +9.36% |
10年 | +10.95% | - |
※2023年10月時点
アクティブファンドとの利回り比較
三井住友・225オープンのようなインデックスファンドに投資をするのであれば、コストは高くなるものの高い利回りが期待できるアクティブファンドと利回りを比較してから投資をしても遅くはありません。
今回は、国内のアクティブファンドで有名なスパークスの新・国際優良日本株ファンド『厳選投資』と比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
かなり競った時期もありましたが、2022年以降は、三井住友・225オープンがリードしています。
10年平均利回りでみると、厳選投資のほうがパフォーマンスで差をつけていますので、こういうファンドであれば、インデックスファンド以外へも投資を検討してみてもよいと思います。
三井住友225 | 厳選投資 | |
1年 | +18.21% | +19.03% |
3年 | +13.75% | +8.78% |
5年 | +9.02% | +7.50% |
10年 | +10.95% | +14.63% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
三井住友・225オープンへの投資を検討しているのであれば、過去に最大でどの程度下落したことがあるのかを知ったうえで投資をしたほうが、大きな急落時にも同様せずに投資をすることができます。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲24.04% |
3カ月 | ▲35.65% |
6カ月 | ▲41.93% |
12カ月 | ▲48.29% |
※2023年10月時点
三井住友・225オープンの最大下落率は、2007年11月~2008年10月の1年間で▲48.29%です。
この時期国内株式に投資するファンドは、だいたい50%ほど下落していましたので、回避することのほうが難しかったですが、その後長期で保有すればしっかりプラスのリターンとなっていますので、くれぐれもすぐ売却しないようにしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
それでは、三井住友・225オープンの評価はどうでしょうか?
資金の流出入を見れば、投資信託の評判がわかります。解約が増えているということは、この投資信託の魅力が減っているということです。
それでは、三井住友・225オープンはどうでしょうか?
以下のグラフを見てみると、資金が流入している月もあれば流出している月もあります。
ただ、総じて、流出超過になっている月のほうが多いので、やはり低コストのインデックスファンドに資金が流れているということでしょう。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
三井住友・225オープンのNISAとiDeCoの対応状況を確認しておきましょう。
NISAのみ対応しています。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
三井住友・225オープン の評価まとめと今後の見通し
今までは証券マンや銀行員に勧められて投資信託を買っていた時代でしたが、今後は投資家が投資対象・運用実績などに加えコストなども自分で比較して、投資する時代になってきています。
少し前であれば、三井住友・225オープンも低コストのファンドに含まれていましたが、今では高コストの部類に入ります。
それでも、中長期で年5%程度のリターンは期待できると思いますが、せっかく投資をするのであれば、より低コストのインデックスファンドに投資をするに越したことはありません。
また低コストではなくても運用利回りが高いアクティブファンドというものが、数はかなり少ないですが、存在しています。ですので、高い利回りを求めるのであれば、アクティブファンドに投資をするというのお決して悪い選択肢ではありません。
ぜひいろいろな視点からファンドを分析、比較してみてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点