ここ数年、圧倒的にパフォーマンスが優れている米国株の代表的な指数であるNYダウ。
10年前から設定されているインデックスファンドはかなり珍しいのですが、eMAXIS NYダウインデックスはその数少ないインデックスファンドのうちの1本です。
果たして、eMAXIS NYダウインデックスとはどのようなファンドなのか、今日は徹底分析していきます。
- eMAXIS NYダウインデックスって投資対象としてどうなの?
- eMAXIS NYダウインデックスって持ってて大丈夫なの?
- eMAXIS NYダウインデックスより良いファンドってある?
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
eMAXIS NYダウインデックスの基本情報
投資対象は?
eMAXIS NYダウインデックスの投資対象は、株式です。
業種別の構成比率をみると、資本財の比率が高くなっていますね。
※引用:マンスリーレポート
eMAXIS NYダウインデックスの現在の組入銘柄数は30銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。常にその時代を反映した30銘柄で構成されるので、これだけ高いパフォーマンスを残せているわけですね。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、eMAXIS NYダウインデックスの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。早期償還のリスクもありますね。
また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
一方、純資産総額が大きく、直近も純資産が増え続けているファンドは、多くの投資家が継続的に投資をしていることになるので、ファンドの評判をはかる指標の1つになります。
500~1000億=人気、1000億円以上=かなり人気と考えていいです。
eMAXIS NYダウインデックスの純資産総額は、現在約610億円です。
積み立て投資で利用されることが多いため、毎年着実に純資産総額を増やしています。規模としては十分ですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
eMAXIS NYダウインデックスの実質コストは0.674%となっています。10年以上前に設定されたファンドということもあり、昨今のインデックスファンドのコストと比べるとかなり割高ですね。
購入時手数料 | なし |
信託報酬 | 0.66%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 0.674%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
eMAXIS NYダウインデックスの独自評価と分析
基準価額をどう見る?
eMAXIS NYダウインデックスの基準価額を見てみましょう。
2021年以降は、きれいな右肩あがりになっており、NYダウの堅調さがよくわかります。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、eMAXIS NYダウインデックスの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは18.50%となっています。どの期間で見ても、14%の利回りとなっており、これだけ安定していると安心して投資できそうです。
ただ、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +18.50% |
3年 | +16.72% |
5年 | +17.66% |
10年 | +14.36% |
※2024年9月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
eMAXIS NYダウインデックスは、国際株式・北米カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
eMAXIS NYダウインデックスは、期間によってかなりばらつきがあり、1年・5年は平均的水準、3年・10年は上位30%以内にランクインしています。
インデックスファンドとしては十分なパフォーマンスでしょう。
上位●% | |
1年 | 52% |
3年 | 34% |
5年 | 43% |
10年 | 27% |
※2024年9月時点
年別のパフォーマンスは?
eMAXIS NYダウインデックスの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2015年、2018年にマイナスになった程度で、この10年間は異常な成果を出していますね。
年間利回り | |
2024年 | +17.88%(1-6月) |
2023年 | +22.82% |
2022年 | +6.27% |
2021年 | +34.91% |
2020年 | +1.26% |
2019年 | +23.90% |
2018年 | ▲7.29% |
2017年 | +23.22% |
2016年 | +9.83% |
2015年 | ▲0.32% |
2014年 | +26.45% |
※2024年9月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
eMAXIS NYダウインデックスに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
今回は、北米株で構成されているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
かなり競っていますが、直近ではeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の方がパフォーマンスで上回っています。
5年平均利回りでみても、eMAXIS NYダウインデックスは負けてしまっており、安定性と言う意味で、S&P500には勝てないようです。
年平均利回り | eMAXIS NYダウ | slim S&P500 |
1年 | +18.50% | +24.15% |
3年 | +16.72% | +19.11% |
5年 | +17.66% | +22.66% |
10年 | +14.36% | ー |
※2024年9月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
eMAXIS NYダウインデックスに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、北米ファンドで何度も優秀ファンド賞を受賞をしたことがあるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
全期間、eMAXIS NYダウインデックスがパフォーマンスで上回っています。
しかし、長期パフォーマンスと比較すると、米国成長株投信Bコースがパフォーマンスで上回っていますので、こういった優れたアクティブファンドであれば、投資をする価値があると言えます。
年平均利回り | eMAXIS NYダウ | 米国成長株投信 |
1年 | +18.50% | +24.04% |
3年 | +16.72% | +14.36% |
5年 | +17.66% | +22.51% |
10年 | +14.36% | +18.35% |
※2024年9月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、eMAXIS NYダウインデックスの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲13.73% |
3カ月 | ▲22.34% |
6カ月 | ▲15.49% |
12カ月 | ▲14.05% |
※2024年9月時点
eMAXIS NYダウインデックスの最大下落率は2020年1月~2020年3月で▲22.34%となっています。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
eMAXIS NYダウインデックスの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、eMAXIS NYダウインデックスの評判を見てみましょう。
流出超過の月もありますが、流入超過の月の方が多くなっています。総じて、評判は悪くないですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
eMAXIS NYダウインデックスはNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2024年9月時点
eMAXIS NYダウインデックスの個人的評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
10年以上前から運用されているeMAXIS NYダウインデックスに10年前から投資をしていたら、かなり大きな利益になっていましたね。
NYダウとS&P500のどちらに投資をするか悩む人もいるかもしれませんが、両者を比較した場合、NYダウは30銘柄、S&P500は500銘柄で構成されるため、値動きがNYダウのほうが荒くなりがちです。
そのため、気楽に長く投資を続けたいのであれば、S&P500を選択するほうが無難です。
ただ、NYダウもかなり優秀な指数であり、eMAXIS NYダウインデックスに投資をするのも決して悪い選択肢ではありません。
コストは少し割高ですが、メインで使っている証券口座で取り扱いがあるのであれば、投資を検討する価値がある一本と言えますね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点