新興国株式というと先進国株式と比べて価格の変動が
大きいため、リスク選好型の投資家から人気を集めて
います。

新興国株式のインデックスファンドで特に人気が高いのが
低コスト競争において、最前線で戦っている三菱UFJ国際
投信のeMAXIS Slimシリーズです。

今日は、三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slim新興国株式イン
デックスについて徹底的に分析したいと思います。


eMAXIS Slim新興国株式インデックスの基本情報

投資対象は?

投資対象は、新興国の株式に投資し、MSCIエマージング・
マーケット・インデックス(円換算ベース)に連動する
投資成果を目指します。

MSCIエマージング・マーケット・インデックスとは、
MSCI inc.が開発した世界の新興国株式市場の動きを表す
株式指数です。

地域構成比は下図のようになっており、構成国は24か国、
約1400銘柄からなるインデックスです。


※引用:交付目論見書

つづいて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの値動き
のイメージがつきやすいようにベンチマークの推移を見て
みましょう。

リーマンショック以降、大きく上下しながらも、右肩上がり
に上昇はしています。が、10年間で約50%ですので、他の
先進国のインデックス等と比較すると、大した成長率では
ありません。


※引用:交付目論見書

続いて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの国別の
資産構成比を見てみましょう。

ケイマン諸島の比率が一番高くなっていますが、これは
大部分が中国の企業ですので、中国と置き換えてもよい
と思います。

ケイマン諸島はオフショアと言って、税制優遇制度があり、
登記場所をケイマンにすることで、合法的に税金の支払い
を減らせるというわけです。

大企業になると、叩かれることもありますが、中国の大手
企業はまったく気にしていないようです。

中国、台湾、韓国、インドとアジアの新興国の比率が高く
なっているのが特徴ですね。


※引用:マンスリーレポート

純資産総額は?

続いて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの純資産
総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。

インデックスファンドの運用において、純資産総額という
のも見るべきポイントです。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで
銘柄を入れ替えることができず、インデックスから乖離
してしまうリスクがあります。

また純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み
替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性が
あります。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

eMAXIS Slim新興国株式インデックスは下図のように
2017年の新規設定以来、純資産総額を伸ばしており、
現在の純資産総額は約245億円となっています。

ファンドの規模としては全く問題ありません。低コスト
戦争で首位争いをしているうちは、流入が続きそうです。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

特にMSCIエマージング・マーケット・インデックス連動型の
ファンドは運用会社各社が作っていますので、運用リターンは
ほとんど変わりません。

そうすると、ファンドのパフォーマンスは実質コストの部分で
良し悪しを決めることになるわけです。

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの実質コストは約0.390%
となっており、同カテゴリーの中では、トップクラスの低コスト
ではありますが、信託報酬の1.8倍くらいになっていますね。

純資産総額が大きくなれば、運用が効率化されてコストは下がって
きますが、思った以上に実質コストは高くなっていました。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 0
信託報酬 0.2079%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 0.390%(概算値)

※引用:最新運用報告書

実質コストも加味して、私がオススメする最強のインデックスファンド

類似ファンドの実質コスト比較

類似ファンドの実質コストを比較をしてみましょう。

MSCIエマージング・マーケット・インデックスをベンチ
マークとして採用しているファンドはどれも信託報酬と
実質コストにかなり大きな乖離があることがわかります。

これは、純資産総額が小さいことにより、効率的な運用が
できていない側面もあるため、純資産総額が大きくなれば、
もっと下がってきます。

信託報酬だけ見ていると、いつの間にか差し引かれてしまい
ますので、こうやって比較をしておいて損はありません。

こう比較をしてみても、eMAXIS slim 新興国株式インデックス
が明らかに優位にたっていることがわかります。

ファンド 実質コスト(概算値)
eMAXIS Slim新興国株式インデックス 0.390%
iシェアーズ 新興国株式インデックス 0.650%
Smart-i 新興国株式インデックス 0.874%
たわらノーロード新興国株式 0.826%
ニッセイ 新興国株式インデックスファンド 0.693%
i-SMT 新興国株式インデックス 0.446%

※2020年4月時点

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの評価分析

基準価額の推移は?

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの基準価額は、コロナ
ショックの影響で、30%ほど下落しており、10,000円を大き
く下回ってしまっています。

もともと、ここ数年は大したパフォーマンスにもなっていな
かったので、基準価額8000円というのはかなりダメージが
大きいですね。


※引用:モーニングスター

利回りは?

つづいて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの運用
実績を見てみましょう。

直近1年間の平均利回りは▲20.35%となっており、かなり
厳しい結果となっています。

とは言っても、新興国株式カテゴリー内では上位30%程度
にいますので、他の新興国ファンドがいかにパフォーマンス
がひどいのかよくわかります。

積立投資でeMAXIS Slim 新興国株式インデックスに投資を
している人が多いので、あまり意識していないのかもしれ
ませんが、あえて新興国株式に投資をするメリットがある
のかは甚だ疑問です。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 ▲20.35% 34%
3年
5年
10年

※2020年4月時点

標準偏差は?

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの標準偏差を見て
みると、27程度となっており、平常時の国内小型株より
はるかに高い振れ幅となっています。

コロナショックのような起きた年はあまり標準偏差は
参考にならなくなりますので、こんなものかと思って
おけば十分です。

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのは
ご存じでしょうか?

まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えて
おいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 27.39 59%
3年
5年
10年

※2020年4月時点

年別のパフォーマンスは?

つづいて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの年別の
パフォーマンスを見てみましょう。

2018年のマイナス分を2019年にようやく取り戻した矢先に
2020年はまた大きな下落となってしまいました。

コロナショックの影響が今後どこまで続くか次第ですが、
あえて新興国株式にも分散投資をするメリットを感じま
せん。

年間利回り
2020年 ▲26.01%(1-3月)
2019年 +18.35%
2018年 ▲17.24%
2017年

※2020年4月時点

類似ファンドとのパフォーマンスの差は?

インデックスファンドに投資をするのであれば、同じベンチ
マークを採用しているファンドとのパフォーマンスを比較
しておくことは重要です。

実質コストを込みで考えると、信託報酬が安くても、パフォ
ーマンスが優れないといったことが時々起こります。

今回は、eMAXIS Slim新興国株式インデックス(黄線)と
同じ、エマージング・マーケット・インデックスを採用
しているファンドと比較してみました。

マイナスリターンではありますが、ほぼ最上位のパフォー
マンスを維持できていることがわかります。


※引用:モーニングスター

最大下落率は?

投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が
気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性が
あるのかという点です。

まだ設定来の期間が短くデータが少ないですが、最大下落
率を見てみましょう。

eMAXIS 新興国株式インデックスはコロナショックの影響
で、3カ月で26%の下落を記録しています。

下落が続いているとすぐに手放したくなる衝動に駆られる人
もいるかもしれませんが、マイナスの時に感情的になり手放
すのは最も悪手です。

一度保有を決めたのであれば、もう少し中長期視点で考え、
保有を続けましょう。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかも
しれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、
元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲19.56%
3カ月 ▲26.01%
6カ月 ▲15.82%
12カ月 ▲20.35%

※2020年4月時点

評判はどう?

続いて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの評判を
見ていきましょう。

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判
を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流入しているということは多くの投資家がファンド
を購入しているということなので、評判がいいということ
になります。

2017年の新規設定以来、毎月資金流入しており、2018年の
積立NISA開始と同時に純資産総額を大きく伸ばしています。

同カテゴリーでほぼ最安値の低コスト戦略が見事に人気に
火をつけていますね。

ただ、そこまで人気が出るほどパフォーマンスではないので、
とりあえず低コストなので、投資をしている投資家が多いように
思います。


※引用:モーニングスター

積立NISAとiDeCoの対応状況は?

eMAXIS 新興国株式インデックスの積立NISAとiDeCoの
対応状況を確認しておきましょう。

iDeCoでも徐々に取り扱い会社が増えてきています。実質
コストは最安値なので、新興国株式を自分のポートフォリオ
に組入れたい人はこのファンドがおすすめです。

積立NISA iDeCo
SBI証券(セレクトプラン)
松井証券
マネックス証券

※2018年12月時点

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの評価まとめ

インデックスファンドに投資をする投資家は、長期保有で
手堅く資産が増えることを望んでいる人がおおいと思います。

そのため、低コストであることも重要ですが、ベンチマークが
しっかり右肩上がりに成長していることが何より重要になります。

さきほどMSCIエマージング・マーケット・インデックスの
過去推移を示しましたが、正直そこまで優れたインデックス
ではありません。

感覚的には新興国株式にも分散投資をしておいたほうがよい
気もしますが、それは幻想だと思ったほうがよいでしょう。

あえて、パフォーマンスが優れないインデックスに分散投資
をするメリットがあるとは私は思いません。

たぶん、積立投資でeMAXIS Slim 新興国株式インデックス
に投資をしている人が多いので、あまり意識していないの
だと思いますが、自分が投資をしているファンドはしっかり
とモニタリングして判断していくべきだと思います。

分散投資は別に新興国株式に投資をしなければいけない
わけではありません。

本当に投資する価値があるのかしっかり考えた上で投資を
してください。