新興国株式というと先進国株式と比べて価格の変動が大きいため、
リスク選好型の投資家から人気を集めています。

新興国株式のインデックスファンドで特に人気が高いのが低コスト
競争において、最前線で戦っている三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slim
シリーズです。

今日は、三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slim新興国株式インデックスに
ついて徹底的に分析したいと思います。

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの基本情報

投資対象は?

投資対象は、新興国の株式に投資し、MSCIエマージング・マーケット
・インデックス(円換算ベース)に連動する投資成果を目指します。

MSCIエマージング・マーケット・インデックスとは、MSCI inc.が
開発した世界の新興国株式市場の動きを表す株式指数です。

地域構成比は下図のようになっており、構成国は24か国、約800銘柄
からなるインデックスです。


※引用:交付目論見書

つづいて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの値動きのイメージ
がつきやすいようにベンチマークの推移を見てみましょう。

2007年~2008年のリーマンショックで大きく下落をして、10年経った
現在でも当時の最高値近辺までしか戻せていません。

この時点で、他のベンチマークと比べると、劣ってしまいますね。


※引用:交付目論見書

続いて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの国別の資産構成比
を見てみましょう。

ケイマン諸島の比率が一番高くなっていますが、これは大部分が
中国の企業ですので、中国と置き換えてもよいと思います。

ケイマン諸島はオフショアと言って、税制優遇制度があり、登記場所
をケイマンにすることで、合法的に税金の支払いを減らせるというわけです。

大企業になると、叩かれることもありますが、中国の大手企業は
まったく気にしていないようです。

中国、韓国、台湾、インドとアジアの新興国の比率が高くなっている
のが特徴ですね。


※引用:マンスリーレポート(2018年11月時点)

純資産総額は?

続いて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの純資産総額は
どうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

インデックスファンドの運用において、純資産総額というのも
見るべきポイントです。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を
入れ替えることができず、インデックスから乖離してしまう
リスクがあります。

また純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えが
うまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性があります。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

eMAXIS Slim新興国株式インデックスは下図のように2017年の
新規設定以来、純資産総額を伸ばしており、現在の純資産総額は
約90億円となっています。

ファンドの規模としては全く問題ありません。低コスト戦争で
首位争いをしているうちは、流入が続きそうです。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

特にMSCIエマージング・マーケット・インデックス連動型の
ファンドは運用会社各社が作っていますので、運用リターンは
ほとんど変わりません。

そうすると、ファンドのパフォーマンスは実質コストの部分で
良し悪しを決めることになるわけです。

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの実質コストは約0.363%と
なっており、同カテゴリーの中では、トップクラスの低コストでは
ありますが、信託報酬の1.8倍くらいになっていますね。

純資産総額が大きくなれば、運用が効率化されてコストは下がって
きますが、思った以上に実質コストは高くなっていました。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 0
信託報酬 0.2052%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 0.363%(概算値)

※引用:第1期運用報告書(2018年4月25日)

類似ファンドの実質コスト比較

類似ファンドの実質コストを比較をしてみましょう。

MSCIエマージング・マーケット・インデックスをベンチマークとして
採用しているファンドはどれも信託報酬と実質コストにかなり大きな
乖離がることがわかります。

これは、純資産総額が小さいことにより、効率的な運用ができていない
側面もあるため、純資産総額が大きくなれば、もっと下がってきます。

信託報酬だけ見ていると、いつの間にか差し引かれてしまいますので、
こうやって比較をしておいて損はありません。

ファンド 実質コスト(概算値)
eMAXIS Slim新興国株式インデックス 0.363%
iシェアーズ 新興国株式インデックス 0.466%
Smart-i 新興国株式インデックス 1.102%
たわらノーロード新興国株式 0.647%
ニッセイ 新興国株式インデックスファンド まだなし
i-SMT 新興国株式インデックス 0.572%

※2018年12月時点

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの評価分析

基準価額の推移は?

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの基準価額は、2018年1月末
までは、右肩上がりに推移していましたが、2月以降は完全に
下落トレンドとなっており、復調の兆しが見えない状況です。

先進国株式以上に2018年は苦しんでいるのが新興国株式ですね。


※引用:モーニングスター

利回りは?

つづいて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの運用実績を
見てみましょう。

直近1年間の平均利回りは▲9.50となっており、かなり厳しい結果
となっています。

インデックスファンドで低コストとはいえ、このパフォーマンスの
ファンドでは投資する気になれません。

逆に毎月一定の資金が流入しつづけていることに驚きます。
あまりパフォーマンスを確認せずに投資をしている人も多いのでしょう。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 ▲9.50% 44%
3年
5年
10年

※2018年12月時点

標準偏差は?

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの標準偏差を見てみると、
同カテゴリー内では平均よりわずかに後ろに位置しています。

インデックスファンドなので、平均的な水準になるのは仕方
ありませんが、何よりパフォーマンスが残念ですね。

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのは
ご存じでしょうか?

まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 17.43 63%
3年
5年
10年

※2018年12月時点

年別のパフォーマンスは?

つづいて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの年別の
パフォーマンスを見てみましょう。

以下のように2018年はかなり厳しい結果となっています。

やはり中国株の比率が高いため、米中の貿易問題がいつ再燃するか
わからない現状では、積極的な投資は控えられてしまうといった
現状もあるように思います。

年間利回り
2018年 ▲6.82%(9月末時点)
2017年
2016年
2015年
2014年

※2018年12月時点

「インデックスファンドのほうが儲かる!」は嘘!私のファンド運用実績を㊙公開

類似ファンドとのパフォーマンスの差は?

インデックスファンドに投資をするのであれば、同じベンチマーク
を採用しているファンドとのパフォーマンスを比較しておくことは
重要です。

実質コストを込みで考えると、信託報酬が安くても、パフォーマンス
が優れないといったことが時々起こります。

今回は、eMAXIS Slim新興国株式インデックス(赤線)と同じ、
エマージング・マーケット・インデックスを採用しているファンド
と比較してみました。

マイナスリターンではありますが、ほぼ最上位のパフォーマンスを
維持できていることがわかります。


※引用:モーニングスター

最大下落率は?

投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になる
のが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点です。

まだ設定来の期間が短くデータが少ないですが、最大下落率を
見てみましょう。

eMAXIS 新興国株式インデックスは2017年11月~2018年10月までの
間に▲14.12%下落しています。

下落が続いているとすぐに手放したくなる衝動に駆られる人もいる
かもしれませんが、マイナスの時に感情的になり手放すのは最も悪手です。

一度保有を決めたのであれば、もう少し中長期視点で考え、保有を
続けましょう。

ただし、何も考えず保有し続けるのも厳禁です。

考えなしの長期保有が自分の首を絞める理由とは?

期間 下落率
1カ月 ▲10.97%
3カ月 ▲11.88%
6カ月 ▲14.11%
12カ月 ▲14.12%

※2018年12月時点

ベンチマークとの乖離率は?

インデックスファンドの運用においては、ベンチマークとの乖離率
というのが運用の巧拙を見極める一つのポイントとなります。

ベンチマークと差がついているのは、ベンチマークには配当収入分
が含まれていないためです。

その分を差し引きすれば、銘柄選択や組入によるマイナス要因は
ほぼゼロです。

ファンド ベンチマーク
7.1% 5.8%

 

評判はどう?

続いて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの評判を
見ていきましょう。

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知る
うえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入
しているということなので、評判がいいということになります。

2017年の新規設定以来、毎月資金流入しており、2018年の
積立NISA開始と同時に純資産総額を大きく伸ばしています。

同カテゴリーでほぼ最安値の低コスト戦略が見事に人気に火を
つけていますね。

ただ、そこまで人気が出るほどパフォーマンスではないので、
とりあえず低コストなので、投資をしている投資家が多いように
思います。


※引用:モーニングスター

積立NISAとiDeCoの対応状況は?

eMAXIS 新興国株式インデックスの積立NISAとiDeCoの対応状況を
確認しておきましょう。

iDeCoでも徐々に取り扱い会社が増えてきています。実質コストは
最安値なので、新興国株式を自分のポートフォリオに組入れたい
人はこのファンドがおすすめです。

積立NISA iDeCo
SBI証券(セレクトプラン)
松井証券
マネックス証券

※2018年12月時点

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの評価まとめ

インデックスファンドに投資をする投資家は、長期保有で手堅く
資産が増えることを望んでいる人がおおいと思います。

そのため、低コストであることも重要ですが、ベンチマークが
しっかり右肩上がりに成長していることが何より重要になります。

さきほどMSCIエマージング・マーケット・インデックスの過去推移
を示しましたがリーマンショック時には指数が70%ほど下落しており、
現在になってようやくその水準まで戻ってきたような状況です。

今後、リーマンショック級の下落相場が来ないとも限りませんし、
そうなったときに、10年経っても元の水準まで戻せていないという
のはいまいちだと思います。

分散投資という意味で、新興国株式インデックスを保有している人
もいるかと思いますが、本当に自分が納得したベンチマークに連動した
インデックスファンドでなければ、投資するメリットはありません。

それであれば、投資をせずにキャッシュで持っていたほうがよほど安心です。

本当に投資する価値があるのかしっかり考えた上で投資をしてください。

本当に自分で調べてみた?eMAXIS Slim新興国株式インデックスをはるかに上回る圧倒的パフォーマンスを出すアクティブファンド特集