日興アセットマネジメントが運用する、「高金利先進国債券オープン(毎月分配型)」
(愛称:「月桂樹」)

2003年8月設定と比較的古いファンドで、毎月分配型ファンドの中でも
比較的知名度があるファンドです。

なお、同じ「月桂樹」のシリーズとして、年1回決算型の
「高金利先進国債券オープン(資産成長型)」がありますが、
今日は毎月決算型について分析していきます。

投資信託「月桂樹」の基本情報

投資対象は?

投資対象は、主要先進国のソブリン債を中心に分散投資を行います。

ソブリン債というのは、各国の政府や政府機関が発行する債券の総称です。

債券は信用度合いにより、下記のようにランク付けされていますが、
今回はソブリン債の中でも信用度が高い、AA以上、もしくはAa以上の債券のみを
対象としています。

ちなみにどういった国の債券の信用度が高いかというと、
下図のようになっています。

日本の格付は高くないので、今回の投資対象からは外されていますね。

格付の高い国の債券というのは、そこそこ金利が高い債券がありますので、
相対的に金利水準の高いソブリン債に投資をしていくというわけです。

現在の組み入れ銘柄は72銘柄となっており、アメリカ国債や
ノルウェー国債が上位にランクインしています。

運用の特徴は?

このファンドコンセプトをみると、「月桂樹」は設定当時国内最大の資産額を
誇った「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」のブームに乗ることを
企図していたのではないかと思われます。

「月桂樹」は下図のようにファンド・オブ・ファンズ方式で運用しており、
先述の投資対象には日興アセットマネジメントが設定するケイマン籍投資信託を
通じて投資を行っています。

このため、間接的に外国籍投資信託の運営にもコストが生じている点に注意が必要です。

また、敢えてケイマン籍投資信託を通じて投資している理由は、
日本の投資信託と違って分配の自由度が高いケイマン籍投資信託の
特性を活用し、タコ足配当を可能とするためです。

他にも「マネー・オープン・マザーファンド」というファンドに
投資していますが、これは性質がMRFに近いマネープールファンドであり、
明らかに「公募のファンド・オブ・ファンズは複数以上の投資信託に
投資しなければならない」という規制をすり抜けるためです。

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を
入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性が
ありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

投資信託「月桂樹」の現在の純資産総額は、約1,600億円程度です。

ピーク時は4700億を超える純資産総額だったのですが、近年は
他の毎月分配型ファンド同様に受益者からの解約が進んだことと
過剰分配を続けた結果、ここまで落ち込んだと言えます。

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

投資信託「月桂樹」の実質コストは1.33%となっており、同カテゴリーの中では、
平均的な水準です。ただ、運用利回りが優れないのにこのコストは高すぎますね。

購入時手数料 21.6%(税込)
信託報酬 1.3294%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.33%(概算値)

※第177期 運用報告書(決算日2018年7月10日)より

投資信託「月桂樹」の評価分析

基準価格をどう見る?

つづいて、月桂樹の基準価額を見てみましょう。
直近3年間の推移を見てみると、約30%ほど基準価額が下落しています。

これは、明らかに他の類似ファンドと比較しても過剰な分配により、
ファンドの資産を「タコ足」していたことによります。

現在でも分配利回りが10%近くとなっておりますので、
まだまだ基準価額の下落は続きそうです。

直近の利回りはどう?

月桂樹の直近のパフォーマンスを見てみましょう。
直近1年間の利回りは▲3.22%、3年平均利回りは▲2.30%となっています。

5年、10年の平均利回りは2%を超えていることから、
直近で運用がうまくいかなくなる原因が何かあったのでしょう。

※2018年9月時点

四半期別運用パフォーマンス

毎年のパフォーマンスがどうだったのかも気になるところだと思いますので、
載せておきます。参考にしてください。

分配金の推移と分配金余力は?

2014年頃には毎月70円あった分配金ですが、2015年には、
毎月55円になり、2016年後半には、40円まで下落しています。

分配金余力が現在6.8か月しかなくなっていますので、
数カ月以内に再度、分配金の減額が行われることが想定されます。

配当金目当てで購入を検討しているのであれば、注意したほうがいいでしょう。

評判はどう?

先述したとおり、「月桂樹」は典型的な毎月分配型ファンドです。

また、古いファンドということも有り外国債券投資ファンドとしては
信託報酬も高めです。

このため、この類のファンドに共通することですが、ネット上には
全くと言っていいほどポジティブな口コミ・評価が見当たりません。

毎月の純資産流出入額の推移を見ても、2016年から毎月流出が続いています。
これは、つまりファンドを解約している人がかなり出てきているということです。
早く売ってしまってしまったほうがよいでしょう。

投資信託「月桂樹」の今後の見通し

組入対象国の金利や為替動向は、当面横ばいの動向が続くと考えられます。

その前提で考えると、運用利回りは2~3%で推移するでしょう。

しかし、分配金利回りは10%程度となっており、基準価額の下落に
歯止めがかかりません。

そして、分配金余力が1年を切ってしまっており、再度、分配金が
減額される可能性もあります。

少なくとも分配金利回りが高いからという理由で、今から購入するのは
一番悪手なので、くれぐれも購入するのはやめてください。

総合的にみて、「月桂樹」は「既に終わったタイプのファンド」で
あることから、新規の投資はおすすめできません。

もし外国債券ファンドへの投資を検討しているのであれば、
信託報酬が安く、適切に運用されているたわらノーロード先進国債券
を購入したほうが賢明と言えるでしょう。