アクティブファンド分析

グローバルAIファンドの評価や評判は?今後の見通しは?

AIファンドの代表格として注目を集めているのが、三井住友DSアセットのグローバルAIファンドです。

ただ各運用会社がこぞって、AI関連のファンドを設定しており、あなたもどのファンドに投資をすればよいか迷うと思います。

今日は、私も投資をしているグローバルAIファンドについて独自の視点で分析していきたいと思います。

「グローバルAIファンドって投資対象としてどうなの?」

「グローバルAIファンドって持ってて大丈夫なの?」

「グローバルAIファンドより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

グローバルAIファンドの基本情報

投資対象は?

まずグローバルAIファンドの投資対象は、AI(人口知能)の進化、応用により高い成長が期待される企業の株式です。もう少し具体的な分野で見てみると、ロボティクス、IoT、フィンテックの各分野でAIとの連携により大きな発展が見込まれています。

注意しておいてほしいのは、AIが銘柄選定や運用を行うわけではなく、AI関連銘柄に投資をしていくファンドであるという点です。


※引用:交付目論見書

グローバルAIファンドは地域別で見てみると、85%近くがアメリカとなっており、これは運用を委託しているアリアンツ・グローバル・インベスターズがサンフランシスコに本拠を置いており、アメリカの事情に精通しているからでしょう。


※引用:マンスリーレポート

セクター別の投資比率を見ると、情報技術分野が圧倒的に高くなっています。

続いて、具体的にどのような銘柄が上位にランクインしているか見ていきます。

現在は68銘柄に投資をしており、1位のエヌビディアは画像処理装置の世界最大手で、設計・開発・販売を手掛けています。2位のテスラは電気自動車メーカーで、電気自動車と関連製品の開発・製造・販売を行っています。3位のアドビは米国のソフトフェア企業で、生成AI搭載の「Adobe Firefly」が組み込まれたデザインツールの一般提供を開始しました。


※引用:マンスリーレポート

純資産総額は?

続いて、グローバルAIファンドの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。

また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

グローバルAIファンドの純資産総額は現在、約4,000億円となっており、直近少し純資産総額は減っていますが、それでもかなり巨大なファンドであることには変わりありません。


※引用:三井住友DSアセット HP

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

グローバルAIファンドの実質コストは2.00%となっています。購入時手数料と併せると、初年度は5%以上取られてしまいますので、パフォーマンスが悪ければ、絶対買わないファンドですね。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.925%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 2.00%

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

グローバルAIファンドの評価分析

基準価額をどう見る?

グローバルAIファンドの現在の基準価額はコロナショック以降、2021年後半までは堅調に推移していましたが、2022年に入り急落し、2023年はある程度取り戻していますが、まだ高値を更新できていません。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

グローバルAIファンドの利回りを見ていきます。

直近1年間の利回りは17.61%のプラスです。3年平均、5年平均利回りは10%前後あり、これも悪くないように見えます。

ただ、この利回りだけを見て、投資判断をしてはいけません。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較したうえで、投資判断をしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +17.61%
3年 +12.78%
5年 +17.08%
10年 -

※2023年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している米国株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

グローバルAIファンドは北米株式カテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同カテゴリー内でもパフォーマンスが高いファンドに投資をしたほうがあなたが得るリターンの期待値も大きくなります。そこで、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。

グローバルAIファンドは、直近3年程度の利回りは平均以下となっていますが、競合ひしめく米国株カテゴリーにおいて、5年平均利回りで上位10%に入る好成績を残しています。

上位●%
1年 65%
3年 79%
5年 7%
10年 -

※2023年10月時点

年別の運用利回りは?

グローバルAIファンドの年別のパフォーマンスを見てみると、2018年、2022年はマイナスになっていますが、それ以外の年はかなり大きなプラスを出しています。

このくらい大きなリターンが期待できるのであれば、少しの下落は我慢できそうです。

年間利回り
2023年 +39.63%(1-9月)
2022年 ▲35.60%
2021年 +21.00%
2020年 +86.90%
2019年 +30.14%
2018年 ▲7.04%
2017年 +28.79%

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

グローバルAIファンドへの投資を検討するのであれば、少なくとも低コストのインデックスファンドよりはパフォーマンスが優れていなければ投資する価値がありません。

グローバルAIファンドは、大半を米国株に投資をしていきますので、米国の代表的な指数であるS&P500に連動するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と比較をしました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、2021年までは、グローバルAIファンドが勝っていましたが、2022年からは、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が大きく差をつけています。

これでは、高いコストを支払って、投資をするメリットがないように感じますが、5年平均利回りを見ると、グローバルAIファンドのほうが利回りは高いです。

ですので、長期保有前提なのであれば、高いリターンを狙って、グローバルAIファンドに投資をするのも悪くないですね。

グローバルAI Slim 米国株式
1年 +17.61% +23.68%
3年 +12.78% +23.72%
5年 +17.08% +15.80%
10年 - -

※2023年10月時点

類似ファンドとのパフォーマンス比較

アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。

今回は、グローバルAIファンドと同じように米国株に投資をしているアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースとパフォーマンスを比較しました。


※引用:ウエルスアドバイザー

こちらも直近3年間においては、2022年以降、グローバルAIファンドが大きく負けてしまっています。

5年平均利回りでは、グローバルAIファンドのほうが優位となっており、優劣をつけるのは難しいですね。どちらのファンドも素晴らしいパフォーマンスなので、どちらも投資対象になりえます。

グローバルAI 米国成長株B
1年 +17.61% +25.71%
3年 +12.78% +18.31%
5年 +17.08% +16.72%
10年 - +18.21%

※2023年10月時点

為替ヘッジあり、為替ヘッジなしどちらがいい?

グローバルAIファンドに投資をする上で悩むので、為替ヘッジ有か無かどちらを選ぶかという問題です。

直近のパフォーマンスを見ると、為替リスクをとったほうが有利に働いていたので、大きく差をつけて為替ヘッジ無がパフォーマンスで勝っています。


※引用:ウエルスアドバイザー

しかし、将来的に為替がどうなるのかを予測することは非常に難しく、どちらがおすすめというのは正直難しいです。

ですので、為替の変動の影響を受けるのがどうしても嫌という人は為替ヘッジ有を選択し、わからないという人は為替ヘッジ無しを選んでおけばよいでしょう。

ちなみに私は原則ヘッジ無しか購入しません。

最大下落率は?

投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。

どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。

標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。

それでは、グローバルAIファンドの最大下落率を調べてみましょう。

期間 下落率
1カ月 ▲17.71%
3カ月 ▲22.28%
6カ月 ▲26.32%
12カ月 ▲35.60%

※2023年10月時点

グローバルAIファンドの最大下落率は、2022年01月~2022年12月で▲35.60%となっています。こう見ると、コロナショックよりも2018年末のほうがダメージが大きかったことがわかります。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流入しているということは、それだけグローバルAIファンドを購入している人が多いということなので、評判がいいということです。

これだけのパフォーマンスをだしているグローバルAIファンドですが、思った以上に資金が流出超過となっている月が多くなっています。

2022年以降はインデックスファンドに負けてしまっているので、その影響だと思います。


※引用:ウエルスアドバイザー

NISAとiDeCoの対応状況は?

投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。

グローバルAIファンドはNISAでの取り扱いがありますので、この制度をうまく使っていきましょう。

NISA iDeCo
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※2023年10月時点

グローバルAIファンドの今後の見通しと評価まとめ

いかがでしょうか?

アクティブファンド全体に言えることですが、グローバルAIファンドの運用チームがどの程度能力があるかを見極めるのは非常に重要なことです。

もちろん直接ファンドマネージャーにお会いして話が聞ける人はいいですが、そうでない人が大半です。

そのようなときに、どういった点を見るべきかというと、長期の運用実績があるファンドについては、長期の運用実績が参考になります。(ファンドマネジャーが変わっていない場合)

一方で、そこまで長期の運用実績がない場合は別の方法で確認できます。

それは相場が大きく下落したときに、下落幅を抑えられているかと、そのあとどれくらい早く下落前の水準まで戻せているかです。

そういう点で見ると、コロナショックでは大きく下落しましたが、低コストのインデックスファンドよりも戻りが早く、うまく運用ができていると言えます。

これは、銘柄選定がうまく行っている証拠であり、今後似たような相場が来たときでも、また同じように数か月で回復できる可能性が高いということです。

グローバルAIファンドは直近数年に関しては、インデックスファンドよりもパフォーマンスが悪いため、多くの投資家から見放され始めていますが、それでも、優れたファンドの多い北米カテゴリーの中で、上位にランクインしています。

ですので、長期投資を前提に投資をするのであれば、十分に検討する価値があると言えるでしょう。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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