キャピタル・インターナショナルが運用しているキャピタル世界株式ファンド。
名前を聞いたことがある人のほうが少ないと思いますが、全世界に分散投資ができるアクティブファンドとして、一時期、非常に人気がありました。
今日は、キャピタル 世界株式ファンドについて独自目線で分析していきます。
「キャピタル 世界株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「キャピタル 世界株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「キャピタル 世界株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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キャピタル 世界株式ファンド の基本情報
投資対象は?
キャピタル 世界株式ファンド の投資対象は、受益証券への投資を通じて、世界各国の株式に投資をしていきます。
下図のように、ルクセンブルク籍円建外国投資信託証券「ニューパースペクティブ・ファンド(LUX)」への投資を通じて、新興国を含む世界の株式に投資します。
※引用:交付目論見書
キャピタル 世界株式ファンドは現在285銘柄で構成されており、国別の構成比率を見てみると、約55%がアメリカで、次にフランス、英国と続きます。
業種別の比率でみると、情報技術系の企業が高くなっていることがわかります。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、キャピタル 世界株式ファンドの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
キャピタル 世界株式ファンド は2016年ごろから急激に、純資産総額を伸ばしており、現在は3030億円の巨大ファンドとなっています。規模としては、まったく問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
キャピタル 世界株式ファンド の実質コストは1.702%と割高になっています。さらに購入時手数料と合わせると、初年度は5%近くコストがかかりますので、慎重に選ばなければいけません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.701%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.702%(概算値) |
※引用:最新の運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
基準価額をどう見る?
キャピタル 世界株式ファンド の基準価額は、コロナショックで大きく下落しましたが、その後、コロナショックが何だったのかと思うくらいに上昇しました。
しかし2022年になると、その勢いも止まり、下落基調となっています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、キャピタル 世界株式ファンド の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは▲6.76%です。しかし、3年・5年・10年平均は10%以上の利回りを維持しており、かなり優秀なパフォーマンスのように見えます。
ただし、優秀かどうかは同カテゴリー内のファンドで比較をしてみないと判断がつきませんので、しっかり比較をするようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲6.76% |
3年 | +15.69% |
5年 | +11.12% |
10年 | +13.80% |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
キャピタル 世界株式ファンド は、日本を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
キャピタル 世界株式ファンド は、1年平均は平均程度ですが、その他の期間は上位30%にはランクインしており、安定して高い利回りの運用ができていることがわかります。
このように単に利回りだけを見ていると、気づけないことが色々見えてきますので、カテゴリー内での比較や類似ファンドとの比較は必ずするようにしてください。
上位●% | |
1年 | 57% |
3年 | 23% |
5年 | 14% |
10年 | 26% |
※2022年10月時点
年別の運用パフォーマンスは?
キャピタル 世界株式ファンドの年別のパフォーマンスを見てみると、マイナスの年も多いですが、それをカバーするかのように2桁プラスの年も多くあり、総じて、高いパフォーマンスになっています。
年間利回り | |
2022年 | ▲14.90%(1-9月) |
2021年 | +30.56% |
2020年 | +23.39% |
2019年 | +29.23% |
2018年 | ▲10.04% |
2017年 | +22.44% |
2016年 | ▲3.52% |
2015年 | ▲1.06% |
2014年 | 15.02% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは類似ファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、類似のインデックスファンドとパフォーマンスの比較をしたうえで投資判断をしても損はありません。
今回は、キャピタル 世界株式ファンドが参考指標として採用しているMSCIオールカントリーワールドインデックスをベンチマークとしているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)とパフォーマンスの比較をしてみました。
※引用:モーニングスター
2022年からはかなり競っていますが、終始、キャピタル 世界株式ファンドのパフォー
マンスが上回っていることが分かります。
より長期のパフォーマンスは比較できませんが、これであれば、高いコストを支払ってでも投資をする価値があると言えますね。
平均利回り | キャピタル世界株式 | slim 全世界 |
1年 | ▲6.76% | 3.04% |
3年 | 15.69% | 14.91% |
5年 | 11.12% | - |
10年 | 13.80% | - |
※2022年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
インデックスファンドへの投資もよいですが、優れたアクティブファンドへの投資も選択肢として悪くありません。
そこで、今回は先進国株式を投資対象にアクティブ運用している大和住銀DC海外株式アクティブファンドを比較をしました。
※引用:モーニングスター
キャピタル 世界株式ファンドも悪くないファンドですが、大和住銀DC海外株式アクティブファンドと比較すると、どうしても劣って見えてしまいます。
アクティブファンドもこういった長期で高い利回りで運用できているファンドに投資をしていきたいですね。
平均利回り | キャピタル世界株式 | 大和住銀DC |
1年 | ▲6.76% | ▲14.29% |
3年 | 15.69% | 17.00% |
5年 | 11.12% | 12.98% |
10年 | 13.80% | 17.63% |
※2022年10月時点
最大下落率は?
投資を検討するうえで、標準偏差などから、価格変動の範囲をある程度は予想できますが、やはり実際に下落した度合いをみたほうがイメージがわきます。
キャピタル 世界株式ファンド は2008年1月~2008年12月の間に最大▲53.35%と大幅下落しています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲22.60% |
3カ月 | ▲41.60% |
6カ月 | ▲46.93% |
12カ月 | ▲53.35% |
※2022年10月時点
リーマンショック並みの下落相場がすぐにくるとは思いませんが、これくらい下落する可能性はあると思っておいたほうがよいでしょう。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
キャピタル 世界株式ファンド の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流出しているということは、それだけキャピタル 世界株式ファンドを解約している人が多いということなので、評判が悪くなっているということです。
キャピタル 世界株式ファンド は2020年以降、毎月資金流入が続いており、直近になるにつれて流入額が増えています。ですので、評判がどんどん良くなっており、資金が流入を続けていることが分かりますね。
※引用:モーニングスター
キャピタル 世界株式ファンドの今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
全世界に分散投資ができるファンドというのは、最近は当たり前のように各社から登場していますが、ひと昔前はあまり設定されていませんでした。
そのため、当時は人気があったキャピタル世界株式ファンドですが、近年は低コストのインデックスファンドにその地位を取られ始めています。特にパフォーマンスがインデックスファンドを下回るような事態になると、資金の流出が止まらなくなります。
とはいえ、現状、eMAXIS Slim 全世界株式とパフォーマンスを比較しても、はるかにアウトパフォームしていますので、高いコストを支払ってでも投資をする価値があると言えます。
あとは、アクティブファンドの中は大和住銀DC海外株式ファンドのような異常に優れたパフォーマンスのファンドが他にもありますので、慎重に選択されることをおすすめします。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点