毎月分配型ファンドの草分けである「グローバル・ソブリン
・オープン」には及ばないものの、未だ多くの投資家が投資
をしているワールド・リート・オープン(毎月決算型)。

これだけ、毎月分配型のファンドに対する風当たりが強い中
でも、いまだに1,000億円以上の残高があります。

今日は、三菱UFJ国際投信のワールド・リート・オープン
(毎月決算型)について徹底的に分析します。

「ワールド・リート・オープン(毎月決算型)って持ってて大丈夫なの?」

「ワールド・リート・オープン(毎月決算型)って投資対象としてどうなの?」

「ワールド・リート・オープン(毎月決算型)より良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。


ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の基本情報

投資対象は?

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の投資対象は
世界各国の様々なリートに分散投資をしていきます。

リートは複数の投資家から集めた資金で様々な不動産に
投資をし、その投資先の不動産から生じる賃料や売却益等
を配当金として投資家に分配する仕組みです。

リートのメリットは、何と言っても、少額で不動産に投資
ができる点と、様々な不動産に分散投資ができることですね。


※引用:交付目論見書

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の現在の投資先は、
下図のように主要な先進国リートが大半を占めており、日本を含め
13か国に分散しています。


※引用:マンスリーレポート

業種別の投資比率で見ると、小売りやオフィスへの投資が
多くなっています。

しかし、「ワールド・リート」と謳っている割にはポート
フォリオの半分以上をアメリカのリートに投資しており、
カントリーアロケーション上はやや偏ったポートフォリオ
と言わざるを得ません。

この理由は、運用委託先であるMSIMがアメリカ以外の国
のリートの低流動性とリスクの高さを嫌気していること、
リートにおける同社のもっとも得意とするカントリータイプ
がアメリカであることによります。


※引用:交付目論見書

運用の特徴は?

国内籍投資信託の設定・運用は三菱UFJ国際投信ですが、
運用は実質的にアメリカの大手運用会社であるモルガン・
スタンレー・インベストメント・マネジメント(MSIM)
の世界各国拠点に全面委託しています。

したがって、運用パフォーマンスはMSIMの手腕次第と
いうことになります。

ファンドの形態はファミリーファンド方式であり、MSIM
の指図によりマザーファンドから世界各国のリートに投資
しています。


※引用:交付目論見書

純資産総額は?

続いて、ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の
純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。

純資産総額が少なければ、効率よく運用ができないため、
コストが嵩みますし、運用会社としても運用に力を入れないため、
パフォーマンスに影響が出てきます。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

現在のワールド・リート・オープン(毎月決算型)の純資産
総額は1,200億円程度と、ピーク時の5分の1以下の数値まで落ち
込みましたが、未だ規模としてはかなり大型です。

ファンドのコンセプトから高い信託報酬に至るまで、金融庁
や各メディアからの批判の的となっている典型的なタイプの
投資信託であるため、残念ながら今後の運用残高の伸びは
期待できないでしょう。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の実質コストは
1.86%となっており、前期とくらべると、わずかに値上がり
しました。

とは言っても、利回りの割に実質コストがかなり割高となって
おり、正直投資しようとは思えないレベルです。

購入時手数料 2.75%(税込)※上限
信託報酬 1.705%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.86%(概算値)

※引用:最新運用報告書

ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?
と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の評価分析

基準価格をどう見る?

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の基準価額は
ここ3年で50%ほど下落しています。

ただでさえ、パフォーマンスが良くなかったにもかかわら
ず、コロナショックでさらに40%ほど下落しており、まさに
悲惨な状況です。

株式ファンドの場合は、コロナショック前の水準をはるかに
上回る勢いで上昇していますが、オフィス需要が戻ってこない
RIETはかなり苦戦を強いられています。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

つづいて、ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の
運用実績を見てみましょう。

直近1年間の利回りは▲21.98とかなり大きくマイナスとなって
います。

3年、5年平均利回りもマイナスで、直近5年の間にこのファンドを
保有した人はほぼ漏れなく元本割れしています。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 ▲21.98%
3年 ▲7.12%
5年 ▲4.40%
10年 +5.37%

※2020年12月時点

同カテゴリー内での利回りランキングは?

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)は、日本を含む
海外RIETカテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)はどの期間に
おいても下位10%に入っており、早急にファンドの見直しを
検討するべきだと言えますね。

上位●%
1年 90%
3年 97%
5年 99%
10年 90%

※2020年12月時点

年別のパフォーマンスは?

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の年別のパフォ
ーマンスも見てみましょう。

2014年は大きくプラスとなっていますが、それ以外の年は
パッとしないパフォーマンスでおさまっています。

2019年は久々に10%を超えるプラスを出しましたが、2020年
は3月時点ですでにマイナス33%となっており、5~6年かけて
積み上げてきた利益が一瞬でなくなりました。

年間利回り
2020年 ▲28.12%(1-9月)
2019年 +13.29%
2018年 ▲11.76%
2017年 +2.60%
2016年 +0.11%
2015年 ▲1.37%
2014年 +37.73%

※2020年12月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

類似ファンドとのパフォーマンス比較

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)への投資を
検討するのであれば、類似のインデックスファンドより
パフォーマンスが高くなければ、投資する価値がありません。

今回は、S&Pグローバルリートインデックスに連動する
ニッセイ Gリートインデックスファンドとパフォーマンス
を比較してみました。


※引用:モーニングスター

結果は、一瞬でわかりますが、ワールド・リート・オープン
(毎月決算型)の惨敗です。

ここまでパフォーマンスに差があると、ワールド・リート・
オープンをあえて選択する理由が全くありません。

平均利回り ワールド・リート ニッセイGリート
1年 ▲21.98% ▲15.68%
3年 ▲7.12% ▲1.52%
5年 ▲4.40% ▲0.43%
10年 +5.37%

※2020年12月時点

最大下落率は?

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)に投資をする
前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知って
おくことは非常に重要です。

どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく
下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。

それではここでワールド・リート・オープン(毎月決算型)の
最大下落率を見てみましょう。

最大下落率はリーマンショック時で▲60.26%となっています。
コロナショックもかなりのインパクトでしたが、まだリーマン
ショックレベルの下落には至っていませんね。

ただ、肝に銘じておいてほしいのは、REITも株式と同じ
くらい下落するときは下落するということです。

それを理解しておかないと慌てふためいて、最悪なタイミング
でファンドを売却することになりかねません。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかも
しれません。

しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの
可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲35.84%
3カ月 ▲50.84%
6カ月 ▲59.75%
12カ月 ▲60.26%

※2020年12月時点

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲566円 130円 ▲335%

※2019/12/13~2020/12/12

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の直近1年間の
分配健全度は▲355%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

分配健全度が0を下回っているファンドには基本手を出さない
ほうがよいのですが、ワールド・リート・オープン(毎月決算型)は
かなり大きく0を下回っています。

ここからも不健全過ぎるファンドと言えます。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の分配金利回りは、
約9%です。

一方で、ファンドの運用利回りは大きくマイナスですので、当然
ですが、あなたが受け取っている分配金のほとんどがあなたの
投資元本が戻ってきているだけということですね。

運用利回り 分配利回り
1年 ▲21.98% 8.7%
3年 ▲7.12%
5年 ▲4.40%
10年 +5.37%

※2020年12月時点

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の分配金余力は、
まだ140カ月程度あるので、余裕はありますが、あなたの
受け取っている分配金がタコ足配当であることには変わりが
ありません。

分配金 繰越対象額 分配金余力
178期 20円 2,880円 145カ月
179期 20円 2,860円 144カ月
180期 20円 2,849円 143カ月
181期 20円 2,835円 142カ月
182期 20円 2,820円 142カ月
183期 20円 2,805円 141カ月
184期 20円 2,797円 140カ月
185期 20円 2,790円 140カ月
186期 20円 2,785円 140カ月
187期 20円 2,780円 139カ月
188期 20円 2,770円 139カ月
189期 20円 2,763円 139カ月

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。

そこで、つみたてNISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2020年12月時点

評判はどう?

当然ながら、ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の
評判は、総じて良くありません。

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)は、単純に銀行
で勧められたから購入したという人が多いようです。

そのため、基準価額や分配金額が下がったことに対する不満
が多く見受けられますが、これはファンドの性質上やむをえ
ない話です。

実際に月別の資金流出入額を見ても、毎月流出が続いています。
つまり、解約が増えているということですね。


※引用:モーニングスター

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の評価まとめと今後の分配金の見通し

いかがでしょうか?

今回のコロナショックの影響で、REITだけでなく、株式、
債券すべてのファンドが大きく下落しています。

正直、コロナショックの影響が今後、どこまで出てくるのか
は読めない部分ではありますが、少なくとも2020年は、
かなり厳しい結果となりました。

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の一番の問題は
ファンド自体の運用が大きくマイナスになっていることでは
あるのですが、分配金を10円にまで下げても、ファンドの収益
で分配金を賄えないことです。

10円に下げたことで、分配金余力には余裕ができましたが、
タコ足配当ファンドであることには変わりありません。

ですので、ここから分配金がさらに減らされる心配は当分
ありませんが、ファンドの運用がマイナスである限り、
あなたが受け取る分配金はあなたが投資したお金がもどって
きているだけということになります。

世界のREITに投資をしたいのであれば、インデックスファンド
で十分ですし、毎月分配型ファンドに投資をしたいのであれば、
アライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Dコースのような
健全な分配がなされているファンドを選択すべきです。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点