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チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの評価や評判は?投資価値はあるのか?

ヘルスケア関連のテーマ型ファンドというのは、すでに各運用会社から何本も設定されていますが、中国株に絞ったヘルスケアのテーマ型ファンドはありませんでした。

中国自体が注目されている国ですが、さらに今後成長が期待できるヘルスケア関連企業の株式へ投資ができるということで、期待がされています。

今日は、この大和投信のチャイナ・ヘルスケア・フォーカスを徹底分析していきます。

「チャイナ・ヘルスケア・フォーカスって投資対象としてどうなの?」

「チャイナ・ヘルスケア・フォーカスって持ってて大丈夫なの?」

「チャイナ・ヘルスケア・フォーカスより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの基本情報

投資対象は?

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの投資対象は中国のヘルスケア関連企業の株式です。

ここでいうヘルスケア関連企業というのは、中国で事業活動の大半を行っているか、収益の大部分を中国から得ている企業のうち、医薬品・バイオテクノロジー、ヘルスケア、医療技術に関連する企業を指します。

実質的な運用は、香港に拠点を置く、香港最大級の独立系運用会社であるバリュー・パートナーズ香港リミテッドが行います。実質的な運用を外部に委託すると、コストが割高になる傾向が強いので、コスト面は十分に注意しましょう。


※引用:マンスリーレポート

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスは現在、42銘柄で構成されており、上位の銘柄は以下のようになっています。医薬品メーカーが上位にランクインしているようですね。


※引用:マンスリーレポート

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。

また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの純資産は約146億円です。一時期よりは減っていますが、それでも大きさとしては十分です。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの実質コストは1.94%とかなり割高になっており、かなり割高となっています。購入時手数料も合わせると5%を超えてきますので、これでは手軽に投資できませんね。普通であれば、まず投資をしてはいけない水準です。

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.9285%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.94%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの評価分析

基準価額をどう見る?

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの基準価額を見てみましょう。2021年以降は下落基調が続いており、10,000円を大きく割り込んでいます。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

続いて、チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの利回りを見ていきます。

直近1年間の利回りは16.75%と一見すると非常に良い利回りに見えます。しかし、投資信託は長期保有が前提ですので、短期の利回りはあまりアテになりません。

ただ、この時点でいいか悪いか判断しないようにしてください。他のファンドと比較をしてから投資判断するようにしましょう。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +16.75%
3年 -
5年 -
10年 -

※2023年10月時点

同カテゴリー内での利回りランキングは?

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスは中国株式カテゴリーに属しています。

利回りが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内での利回りは必ず比較するようにしてください。

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの直近1年間の利回りは上位2%と非常に優れた結果を残しています。

上位●%
1年 2%
3年 -
5年 -
10年 -

※2023年10月時点

年別の運用利回りは?

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。

年別の運用利回りを見ることで、平均利回りでは見えてこなかった毎年のファンドの値動きが良く見えるようになります。

直近の利回りは非常に好調でしたが、実態を見ると、2021年、2022年とマイナスが続いており、お世辞にも優れたパフォーマンスとは言えませんんね。

年間利回り
2023年 +4.17%(1-9月)
2022年 ▲1.93%
2021年 ▲6.74%

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとの利回り比較

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスに投資を検討しているのであれば、より低コストのインデックスファンドとのパフォーマンスは比較しておいて損はありません。

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスは中国の株式に投資をするので、新興国株式に幅広く分散投資ができる三菱UFJ国際のeMAXIS Slim 新興国株式インデックスとパフォーマンスを比較してみました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、ほぼ全期間において、チャイナ・ヘルスケア・フォーカスがパフォーマンスで負けてしまっていることが分かります。これでは高いコストを支払って投資をしようという気になれませんね。

チャイナ・ヘルスケア Slim 新興国
1年 +16.75% +14.15%
3年 - +10.01%
5年 - +5.60%
10年 - -

※2023年10月時点

アクティブファンドとの利回り比較

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスに投資を検討しているのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。

そもそも中国株ファンドは投資に値するのかを比較する意味で、今回は米国株のアクティブファンドであるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信と比較をしました。


※引用:ウエルスアドバイザー

こちらも直近3年間では、ほぼ全期間において、チャイナ・ヘルスケア・フォーカスはパフォーマンスで負けてしまっています。アクティブファンドに投資をするにしても、米国成長株投信のようなファンドのほうがおすすめです。

チャイナ・ヘルスケア 米国成長株投信
1年 +16.75% +25.71%
3年 - +18.31%
5年 - +16.72%
10年 - +18.21%

※2023年10月時点

最大下落率は?

投資をするにあたって、気になるのが「このファンドはどの程度下落することがあるのか」という点でしょう。標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際の下落幅をみたほうが心構えができます。

それでは、チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの最大下落率を見てみましょう。

期間 下落率
1カ月 ▲11.76%
3カ月 ▲20.95%
6カ月 ▲22.35%
12カ月 ▲35.44%

※2023年10月時点

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスは、2021年6月~2022年5月の1年間で最大35.44%下落しています。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

評判はどう?

続いて、チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの評判を見てみましょう。

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスは2021年の中頃以降、資金の流出が続いており、評判は良くないようですね。


※引用:ウエルスアドバイザー

チャイナ・ヘルスケア・フォーカスの評価まとめと今後の見通し

いかがでしょうか?

中国のヘルスケア関連銘柄に絞ったテーマ型のファンドは今までになかったという意味では、新たな投資機会ができたと言えます。

ただ、このブログでは常々言っていますが、医薬品メーカーは薬の開発の成否で大きく株価が動くので、臨床試験中に大きな副作用が見つかったりすると、株価が大きく値下がりします。

事前に副作用がわかればよいですが、臨床試験をやってみなければ、当然わかるものでもなく、社会的な意味は大きいですが、急な値下がりリスクを考えると、あえてヘルスケア関連銘柄だけに絞るメリットを感じません。

また中国株は先進国株と比べると、値動きが大きく、リスクは高めです。

パフォーマンスも現状は新興国株式インデックスと比べても大きく劣後しており、あえて高いコストを支払って投資をするメリットがありません。運用期間が短いので、最低でも3年程度は運用状況を見たうえで投資をするようにしてください。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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