キャッシュレス、テレワーク、オンライン診療、クリーンエネルギーなど、構造的な変化により大きな成長が見込まれる分野に集中投資をしていく世界新時代株式ファンド『愛称:World Change』。
今回は、このファンドを徹底分析していきます。
「世界新時代株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「世界新時代株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「世界新時代株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
世界新時代株式ファンド(資産成長型)『愛称:World Change』の基本情報
投資対象は?
世界新時代株式ファンドの投資対象は構造的な変化により成長が見込まれる分野で、高い競争優位性を有する世界の企業の株式です。
構造的な変化により成長が見込まれる有望な分野は以下のように、ライフスタイル、企業戦略、医療・健康、グリーンテックの4つの分野に分類されています。
※引用:交付目論見書
テーマ別の投資比率を見てみると、企業戦略が約30%と一番高くなっており、次いで、ライフスタイル、グリーンテックと続きます。
※引用:マンスリーレポート
国別の投資比率で見てみると、アメリカの比率が約70%で、ついでフランス、スイスと続きます。現在の組入れ銘柄は42銘柄となっており、銘柄数はかなり絞られているので、ファンドの値動きが大きくなるので、注意が必要です。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
世界新時代株式ファンドの純資産は約120億円となっており、そこまで大きくはないですが、着実に純資産を積み上げています。少し物足りないですが、この規模であれば、問題ないでしょう。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
世界新時代株式ファンドの実質コストは1.66%です。初年度は5%近く手数料がとられますので、気軽に投資をできるコスト構造にはなっていないですね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.584%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.66% |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
世界新時代株式ファンド(資産成長型)『愛称:World Change』の評価分析
基準価額をどう見る?
世界新時代株式ファンドの基準価額を見てみましょう。
2021年までは大きく上昇していましたが、2022年には基準価額10,000円を割り込み、2023年にはまた上昇しています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
続いて、世界新時代株式ファンドの利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは+18.46%となっています。3年平均利回りは6%ですので、悪くはないですが、そこまで良くもなさそうです。
ただ、この時点でいいか悪いか判断しないようにしてください。他のファンドと比較をしてから投資判断するようにしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +18.46% |
3年 | +6.10% |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
世界新時代株式ファンドは日本を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。
パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。
世界新時代株式ファンドは、平均以下のランキングとなっており、これでは積極的に投資はしづらいですね。
上位●% | |
1年 | 63% |
3年 | 91% |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別の運用利回りは?
世界新時代株式ファンドの年別の運用利回りも見てみましょう。
年別の利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない、毎年の基準価額の変動の大きさなどがわかります。
+20%、▲20%は当たり前なので、これくらいの変動は日常的に起きるものだと思っておいてください。
年間利回り | |
2023年 | +22.60%(1-9月) |
2022年 | ▲24.90% |
2021年 | +15.52% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとの利回り比較
世界新時代株式ファンドに投資を検討しているのであれば、より低コストのインデックスファンドとのパフォーマンスは比較しておいて損はありません。
世界新時代株式ファンドは日本を含む全世界の株式に幅広く投資をしていることから、超低コストで全世界の株式に投資ができるeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)とパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、一時的に世界新時代株式ファンドがパフォーマンスで上回る時期もありましたが、ほぼ全期間において、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)が高いパフォーマンスとなっています。
インデックスファンドにここまで差をつけられると、さすがに投資をしようとは思えません。
世界新時代 | Slim全世界株式 | |
1年 | +18.46% | +23.71% |
3年 | +6.10% | +20.23% |
5年 | - | - |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
アクティブファンドとの利回り比較
世界新時代株式ファンドに投資を検討しているのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
そこで、今回は全世界の株式を投資対象として非常に人気も高いセゾン投信の資産形成の達人ファンドと比較をしてみます。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、資産形成の達人ファンドが大きくリードした形となりました。
アクティブファンドに投資をするにしても、資産形成の達人ファンドを選択するほうがいいですね。
世界新時代 | 資産形成の達人 | |
1年 | +18.46% | +20.46% |
3年 | +6.10% | +15.09% |
5年 | - | +9.75% |
10年 | - | +11.73% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資をするにあたって、気になるのが「このファンドはどの程度下落することがあるのか」という点でしょう。標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際の下落幅をみたほうが心構えができます。
それでは世界新時代株式ファンドの最大下落率を見ていきましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲15.63% |
3カ月 | ▲18.44% |
6カ月 | ▲21.06% |
12カ月 | ▲24.90% |
※2023年10月時点
世界新時代株式ファンドの最大下落率は2022年1月~2022年12月の半年間で24.90%です。
まだ運用期間が短いこともあり、そこまで大きな下落を経験していないようですね。ただ、世界新時代株式ファンドのように銘柄を絞り込んで運用しているファンドは、大きく値下がりすることもあるので、今後は30~40%の下落も想定しておいたほうがいいと思います。
評判はどう?
続いて、世界新時代株式ファンドの評判を見てみましょう。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。
運用を開始からしばらくは、毎月資金が流入していましたが、2021年以降は、流出超過の月がほとんどで、評判もよくありません。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
世界新時代株式ファンドはNISAでの取り扱いがありますので、この制度をうまく使っていきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
世界新時代株式ファンド(資産成長型)『愛称:World Change』の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
近年出てきたアクティブファンドの中では、テーマ性があるわけでもなく、いまいち特徴にかけるファンドです。
まだ運用期間も短いのでこれからのファンドですが、超低コストのインデックスファンドにも大きく差をつけられており、現状、投資をする理由がありません。
またアクティブファンドであれば、もっと長期間で高いパフォーマンスを出している株式ファンドがありますので、あえて世界新時代株式ファンドを選択する理由もありません。
ですので、世界新時代株式ファンドについては、今購入する理由はないファンドという評価になります。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点