米国成長株投信で圧倒的な人気を見せているアライアンス・バーンスタインですが、ついにSDGsに注目したアクティブファンドを新規設定しました。
果たして、アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドとはどのようなファンドなのか、徹底分析していきます。
「アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンド(資産成長型)の基本情報
投資対象は?
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの投資対象は、SDGs達成への貢献が期待される日本を含む世界の企業の株式です。
一応、MSCIオールカントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円ベース)を参考指数としています。
現在の国別の組入れ構成比率を見てみると、米国が70%程度で、次いでイギリス、スイスと続きます。
※引用:マンスリーレポート
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの現在の組入銘柄数は56銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの純資産総額は、現在約514億円です。一時は1000億円規模まで純資産が増えましたが、パフォーマンスが思わしくないので、半分近くまで減ってしまっています。それでも十分な規模のファンドですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの実質コストは1.627%となっており、インデックスファンドと比べると割高です。購入時手数料も3.3%しっかり取られるので、慎重に検討してください。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.6164%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.627%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンド(資産成長型)の評価分析
基準価額をどう見る?
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの基準価額を見てみましょう。
2021年に高値をつけていこう、2022年、2023年と伸び悩んでいることがわかります。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは16.81%となっています。単年のパフォーマンスは悪くないように見えますが、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。
他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +16.81% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年11月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドは、国際株式・グローバル・含む日本カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドは、悪くないように見えましたが、平均以下のランキングとなっています。
上位●% | |
1年 | 62% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年11月時点
年別のパフォーマンスは?
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2桁のプラスと2桁のマイナスを交互に出しており、これくらいの変動はあるファンドだと思っておいてください。
年間利回り | |
2023年 | +15.33%(1-9月) |
2022年 | ▲15.63% |
2021年 | +22.46%(4-12月) |
※2023年11月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドと全世界の株式に投資ができて非常に人気の高いeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)とパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)がパフォーマンスで上回っています。
インデックスファンドに2倍近い差をつけられるとなると、10倍以上高いコストを支払って投資をするメリットがないですね。
年平均利回り | AB・世界SDGs株式 | slim オールカントリー |
1年 | +16.81% | +23.71% |
3年 | - | +20.23% |
5年 | - | - |
10年 | - | - |
※2023年11月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、全世界の株式に投資ができるということで非常に人気の高いセゾン投信のセゾン 資産形成の達人ファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、かなり互角な時期もありますが、2023年以降大きく差を拡げられています。
高いコストを支払うにしても、資産形成の達人のほうがまだ良いですね。
年平均利回り | AB・世界SDGs株式 | 資産形成の達人 |
1年 | +16.81% | +20.46% |
3年 | - | +15.09% |
5年 | - | +9.75% |
10年 | - | +11.73% |
※2023年11月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲14.29% |
3カ月 | ▲11.94% |
6カ月 | ▲16.08% |
12カ月 | ▲15.63% |
※2023年11月時点
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの最大下落率は2022年1月~2022年6月で▲16.08%となっています。まだ運用期間が短いこともあり、この程度で済んでいます。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドの評判を見てみましょう。
すでに2022年以降は毎月資金が流出超過となっており、評判は良くないです。パフォーマンスが良くないので、当然の結果ですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンドはNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年11月時点
アライアンス・バーンスタイン・世界SDGs株式ファンド(資産成長型)の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
このブログでは繰り返し、話をしていますが、SDGsのような社会貢献と運用パフォーマンスの両方を取りに行くファンドで、インデックスファンドを上回る成果を出しているアクティブファンドはほぼありません。
一時的にパフォーマンスで上回ることがあっても、長期で見ると大抵はインデックスファンドに負けてしまいます。
こういったファンドに投資をしていると、自分も間接的に社会貢献をしている気分になれるため、興味を持つ人は多いのですが、投資でリターンを重視するという人にとっては、メリットがありませんので、無難にインデックスファンドに投資をしてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点