何度もモーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーで最優秀ファンドを受賞した経験のあるJリート・アジアミックス・オープン。Jリート以外に利回りの高いアジアのリートを組み入れることで、高いリターンを実現しています。
Jリート・アジアミックス・オープンは毎月決算型と資産成長型がありますが、今回は一番資金が集まっている毎月決算型を分析していきます。
「Jリート・アジアミックス・オープンって投資対象としてどうなの?」
「Jリート・アジアミックス・オープンって持ってて大丈夫なの?」
「Jリート・アジアミックス・オープンより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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Jリート・アジアミックス・オープン(毎月決算型)の基本情報
投資対象は?
Jリート・アジアミックス・オープンの投資対象は、日本を含むアジア・オセアニア各国のリートに投資をします。
国別の組入上位銘柄を見ていくと、約50%が日本のリートとなっており、残りの50%でアジア・オセアニアに分散しています。
※引用:マンスリーレポート
現在の組入銘柄数は54銘柄となっており、香港、オーストラリア、日本、シンガポールの銘柄がバランスよく配分されています。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと思いますが、残念ながら、どちらも対応していません。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2022年10月時点
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
Jリート・アジアミックス・オープンはモーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーを受賞しているにもかかわらず純資産は未だ130億円程度で規模としてはあまり大きくありません。ただ規模として問題はありません。
※引用:三井住友DSアセットマネジメント HP
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
Jリート・アジアミックス・オープンの実質コストは1.966%とかなり割高です。それに加えて高い購入時手数料もかかりますので、購入した初年度から5%近く資産が目減りしてしまいます。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.606%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 1.966%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
Jリート・アジアミックス・オープン(毎月決算型)の評価分析
基準価額をどう見る?
Jリート・アジアミックス・オープンの基準価額はコロナショック前まで非常に好調に推移していましたが、コロナショックで一気に10000円を割り込みました。
分配金を受け取らずに再投資して運用した時の基準価額(青線)を見ると、3年前と同水準ですので、直近3年間はかなり苦戦していることがわかります。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、Jリート・アジアミックス・オープンの運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは▲0.98%なっています。3年平均はプラス1%ですが、5年平均利回りを見ると、7%のプラスになっているので、REITであればこのくらいの利回りで十分でしょう。
ただし、この利回りだけを見て、投資判断をしてはいけません。他のファンドとパフォーマンスを比較してから、確信をもって、投資をするようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲0.98% |
3年 | +1.13% |
5年 | +7.17% |
10年 | - |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出しているJリート ランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
Jリート・アジアミックス・オープンは、日本を含むグローバルREITカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
Jリート・アジアミックス・オープンは、5年平均利回りは上位30%に入っていますが、直近の利回りは平均以下となっています。
上位●% | |
1年 | 62% |
3年 | 83% |
5年 | 24% |
10年 | - |
※2022年10月時点
年別のパフォーマンスは?
Jリート・アジアミックス・オープンの年別のパフォーマンスも見てみましょう。
2015年、2020年、2022年はマイナスとなっていますが、それ以外の年では安定してプラスのリターンを出しています。
株式ファンドが不調だった2018年にプラスとなっており、株式ファンドが好調だった2020年にマイナスになっているので、ポートフォリオに組み入れると、リスクとリターンのバランスが取れそうです。
年間利回り | |
2022年 | ▲5.78%(1-9月) |
2021年 | +15.95% |
2020年 | ▲7.30% |
2019年 | +24.37% |
2018年 | +4.87% |
2017年 | +9.74% |
2016年 | +5.90% |
2015年 | ▲2.87% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略類似ファンドとのパフォーマンス比較
Jリート・アジアミックス・オープンに投資を検討する上で、より低コストで投資ができるインデックスファンドとのパフォーマンス比較はしておいて損がありません。
今回は、東証REIT指数に連動するニッセイ Jリートインデックスファンドとパフォーマンスを比較してみます。
※引用:モーニングスター
ほぼ全期間において、Jリート・アジアミックス・オープンが大きくリードしています。
より長期のパフォーマンスを見ても、わずかですが、Jリート・アジアミックス・オープンのほうが優れています。
Jリート・アジア | ニッセイ Jリート | |
1年 | ▲0.98% | ▲2.79% |
3年 | +1.13% | ▲0.18% |
5年 | +7.17% | +7.01% |
10年 | - | - |
※2022年10月時点
最大下落率は?
Jリート・アジアミックス・オープンに投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
それではここでJリート・アジアミックス・オープンの最大下落率を見てみましょう。
Jリート・アジアミックス・オープンは2020年1月~3月で最大27%近く下落しています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲24.41% |
3カ月 | ▲26.92% |
6カ月 | ▲25.38% |
12カ月 | ▲18.57% |
※2022年10月時点
RIETは不動産に間接的に投資をする商品なので、リスクが低いと思われがちですが、決してそうゆうわけではないということです。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配健全度はどれくらい?
分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。
そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。
分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。
基準価額の変動幅 | 1年間の分配合計額 | 分配健全度 |
▲1447円 | 1080円 | ▲34% |
※2021/11/2~2022/11/2
Jリート・アジアミックス・オープンの直近1年間の分配健全度は▲34%となっています。
分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。
Jリート・アジアミックス・オープンは0%を下回っていますので、ファンドからの支払いは一切ありません。
分配金利回りはどれくらい?
毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。(分配金利回りは基準価額に対する分配金合計額で計算ができます。)
ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。
そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。
運用利回り | 分配金利回り | |
1年 | ▲0.98% | 10.4% |
3年 | +1.13% | |
5年 | +7.17% | |
10年 | - |
※2022年10月時点
Jリート・アジアミックス・オープンの分配金利回りは10.4%で高めの設定となっています。
ファンドの運用利回りを超える分配金利回りですので、あなたが受け取っている分配金の多くは投資元本から削られているのがわかります。
分配金余力はどれくらい?
毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。
そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。
明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。
Jリート・アジアミックス・オープンの分配金余力は、まだ30カ月以上ありますので、減配の心配はないと言えます。
分配金 | 繰越対象額 | 分配金余力 | |
97期 | 90円 | 3,293円 | 37.6カ月 |
98期 | 90円 | 3,212円 | 36.7カ月 |
99期 | 90円 | 3,533円 | 40.3カ月 |
100期 | 90円 | 3,484円 | 39.7カ月 |
101期 | 90円 | 3,422円 | 39.0カ月 |
102期 | 90円 | 3,376円 | 38.5カ月 |
103期 | 90円 | 3,311円 | 37.8カ月 |
104期 | 90円 | 3,225円 | 36.8カ月 |
105期 | 90円 | 3,178円 | 36.3カ月 |
106期 | 90円 | 3,090円 | 35.3カ月 |
107期 | 90円 | 3,019円 | 34.5カ月 |
108期 | 90円 | 2,956円 | 33.8カ月 |
※引用:最新運用報告書
評判はどう?
それでは、Jリート・アジアミックス・オープンの評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。
Jリート・アジアミックス・オープンは2018年以降急激に純資産が流入しており、2021年後半~2022年前半にかけては流出超過となっていましたが、現在は流入超過となっています。総じて評判が良いことがわかりますね。
※引用:モーニングスター
Jリート・アジアミックス・オープン(毎月決算型)の評価まとめと今後の見通し
Jリート・アジアミックス・オープンは一時期非常にパフォーマンスが好調だったのですが、直近ではそこまで優れたパフォーマンスは残せていません。
その結果、分配金利回りが10%を超えており、ファンドの運用利回りをはるかに大きく超えています。
これはつまり、あなたが受け取っている分配金の多くはファンドの運用で出た利益以外から支払われているということです。(つまり投資元本等から削り取られているということ)
典型的なタコ足配当になっていますので、全くおすすめできません。
ただ、どうしても毎月分配型のファンドに投資をしたいという人もいると思います。そういう方におすすめなのが、アライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Dコースです。
パフォーマンスが非常に優れており、出た利益の中からだけ分配金を支払っていますので、とても健全な運用がされています。毎月分配金狙いの人は一度検討してみることをおすすめします。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点