「配当貴族」という言葉をご存じでしょうか?配当貴族とは、25年以上増配を続けている米国の厳選された優良株のことを指して使われています。
この配当貴族に投資ができるのが野村アセットマネジメントの米国株式配当貴族(年4回決算型)です。
果たして、米国株式配当貴族とはどのようなファンドなのか、徹底分析していきます。
「米国株式配当貴族って投資対象としてどうなの?」
「米国株式配当貴族って持ってて大丈夫なの?」
「米国株式配当貴族より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
米国株式配当貴族(年4回決算型)の基本情報
投資対象は?
米国株式配当貴族の投資対象は、米国の株式です。S&P500配当貴族指数(配当込み、円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指します。
S&P500配当貴族指数とは、S&P Dow Jones Indeicesが開発し、算出している指数です。S&P500構成銘柄のうち25年以上連続で増配している銘柄を対象とし、年1回の見直しがあり、均等荷重により算出されています。
S&P500配当貴族指数はコカ・コーラやP&Gなど景気の影響を受けにくい生活必需品セクターの構成比率が高いのが特徴で、S&P500とのパフォーマンスを比較しても長期でみると大きな差がついています。
米国株式配当貴族の現在の組入銘柄数は67銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。高配当株投資を始めたい方は、米国株式配当貴族の構成銘柄から投資先を選ぶのも良いと思います。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、米国株式配当貴族の純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
米国株式配当貴族の純資産総額は、現在約1760億円です。近年、特に高配当株に注目が集まり始めていることもあり、投資家からかなり速いペースで資金が集まっています。規模としては全く問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
米国株式配当貴族の実質コストは0.582%となっており、インデックスファンドの割には割高となっています。何より、購入時手数料の2.2%が余計ですね。
購入時手数料 | 2.2%(税込)※上限 |
信託報酬 | 0.55%(税込) |
信託財産留保額 | 0.1%(税込) |
実質コスト | 0.582%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
米国株式配当貴族(年4回決算型)の評価分析
基準価額をどう見る?
米国株式配当貴族の基準価額を見てみましょう。直近3年間は右肩上がりに上昇を続けています。
S&P500やその他の主要な株式インデックスと比べて確かに値動きが穏やかですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、米国株式配当貴族の運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは15.50%となっています。3年平均利回りも20%を超えており、非常に高い成果を出しています。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +15.50% |
3年 | +22.65% |
5年 | ー |
10年 | ー |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
米国株式配当貴族は、国際株式・北米カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
米国株式配当貴族は、直近1年は下位30%、3年では上位35%にランクインしており、インデックスファンドとしては悪くないランキングと言えるでしょう。
上位●% | |
1年 | 71% |
3年 | 34% |
5年 | ー |
10年 | ー |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
米国株式配当貴族の年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2022年は多くの株式ファンドがマイナスとなっている中、プラスの運用ができているのは高評価ポイントです。
年間利回り | |
2023年 | +12.04%(1-9月) |
2022年 | +8.29% |
2021年 | +40.53% |
2020年 | +0.46% |
2019年 | +26.26% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
米国株式配当貴族に投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
今回は、北米株で構成されているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、かなり競っていますが、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうがわずかに上回っています。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)はかなり優秀なインデックスファンドですので、このファンドと互角の戦いができているのであれば、コストは少し高いですが、投資をする価値があると言えます。
年平均利回り | 米国株式配当貴族 | slim 米国株式 |
1年 | +15.50% | +23.68% |
3年 | +22.65% | +23.72% |
5年 | ー | +15.80% |
10年 | ー | ー |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
米国株式配当貴族に投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、北米ファンドで何度も優秀ファンド賞を受賞をしたことがあるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、終始、米国株式配当貴族がパフォーマンスで上回っています。5年、10年平均利回りでは米国成長株投信はかなり優秀なファンドですが、短期的にでも買っているので、米国株式配当貴族は十分投資する価値があるでしょう。
年平均利回り | 米国株式配当貴族 | 米国成長株投信 |
1年 | +15.50% | +25.71% |
3年 | +22.65% | +18.31% |
5年 | ー | +16.72% |
10年 | ー | +18.21% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、米国株式配当貴族の最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲14.03% |
3カ月 | ▲22.69% |
6カ月 | ▲16.13% |
12カ月 | ▲12.96% |
※2023年10月時点
米国株式配当貴族の最大下落率は2020年1月~2020年3月で▲22.69%となっています。まだ運用期間が短いので大きな下落は経験していません。この程度の下落であれば、数年に一度は起こると思っておいた方がいいですね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
米国株式配当貴族の評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、米国株式配当貴族の評判を見てみましょう。
2021年以降、毎月の流入超過額も増えており、非常に評判がよくなっていることがわかりますね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
米国株式配当貴族はNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
米国株式配当貴族(年4回決算型)の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
高配当株を自分で選んで投資をするというのも1つの方法ですが、決算を確認して、業績次第では銘柄を入れ替えてと毎年やるのは手間がかかります。
その点、米国株式配当貴族に投資をしておけば、S&P500構成銘柄のうち、25年以上増配を続けている優良株に自動で投資を続けることができます。
配当貴族指数は冒頭でお話ししたように、生活必需品セクターの銘柄が多いため、下落相場に強い傾向があり、長期のパフォーマンスでは、S&P500指数を上回っています。
直近のパフォーマンスで見ても、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と十分互角に渡り合えているので、高配当株投資が好きな方は検討に値する1本だと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点