S&P500に連動するインデックスファンドは4~5年前から非常に人気が出てきています。そんな人気のインデックスファンドの1本が、ステート・ストリートの米国株式インデックス・ファンドです。
果たして、米国株式インデックス・ファンドとはどのようなファンドなのか、徹底分析していきます。
「米国株式インデックス・ファンドって投資対象としてどうなの?」
「米国株式インデックス・ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「米国株式インデックス・ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
米国株式インデックス・ファンドの基本情報
投資対象は?
米国株式インデックス・ファンドの投資対象は、米国の株式です。中長期的にS&P500(円ベース)の動きに連動した投資成果の獲得を目指します。
S&P500については、もう説明の必要はないですね。
業種別の構成比率をいると、ソフトウェア・サービスの比率が高くなっていますね。
※引用:マンスリーレポート
米国株式インデックス・ファンドの現在の組入上位10銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、米国株式インデックス・ファンドの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
米国株式インデックス・ファンドの純資産総額は、現在約700億円です。2021年頃から急激に純資産が増えており、人気が出てきていることがわかります。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
米国株式インデックス・ファンドの実質コストは0.537%となっています。S&P500に連動する他のインデックスファンドと比較をすると、かなり割高になっていますね。
購入時手数料 | 2.2%(税込)※上限 |
信託報酬 | 0.495%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 0.537%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
米国株式インデックス・ファンドの評価分析
基準価額をどう見る?
米国株式インデックス・ファンドの基準価額を見てみましょう。2022年は伸び悩んでいましたが、2023年に入り、また大きく上昇し始めています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、米国株式インデックス・ファンドの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは23.04%となっています。5年平均利回りも15%以上あり、かなり優秀な利回りであるように思えます。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +23.04% |
3年 | +23.18% |
5年 | +15.37% |
10年 | ー |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
米国株式インデックス・ファンドは、国際株式・北米カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
米国株式インデックス・ファンドはインデックスファンドにもかかわらず、5年平均利回りで上位20%にランクインしており、かなり優秀です。
上位●% | |
1年 | 41% |
3年 | 27% |
5年 | 14% |
10年 | ー |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
米国株式インデックス・ファンドの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
マイナスの年でもマイナス幅は数%であり、一方、プラスの年はかなり大きくプラスになっており、理想的な運用ができています。
年間利回り | |
2023年 | +25.34%(1-9月) |
2022年 | ▲6.56% |
2021年 | +44.05% |
2020年 | +9.97% |
2019年 | +30.12% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
米国株式インデックス・ファンドに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、米国株式インデックス・ファンドと北米株で構成されているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
同じベンチマークのファンドなので、ほぼ互角のパフォーマンスではありますが、やはりコストの分だけ、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが上回っています。5年平均利回りでも同じ結果です。
どちらも投資ができる証券会社なのであれば、あえて高いコストの米国株式インデックス・ファンドを選択する理由がないですね。
年平均利回り | 米国株式インデックス | slim 米国株式 |
1年 | +23.04% | +23.68% |
3年 | +23.18% | +23.72% |
5年 | +15.37% | +15.80% |
10年 | ー | ー |
※2023年10月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
米国株式インデックス・ファンドに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、北米ファンドで何度も優秀ファンド賞を受賞をしたことがあるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、米国株式インデックス・ファンドが上回っています。
しかし、長期パフォーマンスと比較すると、5年のパフォーマンスでは、米国成長株投信Bコースが上回っていますので、少し高いコストを支払って、高いリターンを狙ってみるのも悪くないです。
年平均利回り | 米国株式インデックス | 米国成長株投信 |
1年 | +23.04% | +25.71% |
3年 | +23.18% | +18.31% |
5年 | +15.37% | +16.72% |
10年 | ー | +18.21% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、米国株式インデックス・ファンドの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.16% |
3カ月 | ▲19.24% |
6カ月 | ▲10.01% |
12カ月 | ▲7.87% |
※2023年10月時点
米国株式インデックス・ファンドの最大下落率は2020年1月~2020年3月で▲19.24%となっています。まだ運用期間が短いので、大きな下落を経験していません。この程度の下落であれば、数年に1度はありますね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
米国株式インデックス・ファンドの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、米国株式インデックス・ファンドの評判を見てみましょう。
まれに流出超過となる月はありますが、ほとんどの月で流入超過が続いていますので、評判はよいと言えるでしょう。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
米国株式インデックス・ファンドはどちらも取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | 中国銀行 |
※2023年10月時点
米国株式インデックス・ファンドの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
S&P500は指数としてはかなり優秀なので、下手なアクティブファンドに投資をするよりは、間違いなくS&P500をベンチマークとするインデックスファンドに投資をしたほうがおすすめです。
ただし、S&P500をベンチマークとするインデックスファンドは最近はかなりの数出てきています。その中で、米国株式インデックス・ファンドのコストは明らかに割高です。
同じベンチマークのファンドであれば、シンプルにコストの差が、パフォーマンスの差になって現れます。ですので、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が投資できる証券会社であれば、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を選択するほうがいいでしょう。
もし、米国株式インデックス・ファンドしか取り扱いがないのであれば、米国株式インデックス・ファンドを選択しても問題ありません。
アクティブファンドに投資をするのであれば、最低限、インテックスファンドよりもパフォーマンスが上回っている必要があります。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点