10年以上前から運用されており、投資家から根強い人気を集めている三井住友トラストのSMT グローバル株式インデックス・オープン。
つみたてNISAでも採用されており、純資産総額を着実に伸ばしています。
今日は、SMT グローバル株式インデックス・オープンは投資をする価値があるのか、評価や評判、実質コストなどについて独自目線で分析したいと思います。
「SMT グローバル株式インデックス・オープンって持ってて大丈夫なの?」
「SMT グローバル株式インデックス・オープンって投資対象としてどうなの?」
「SMT グローバル株式インデックス・オープンより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
SMT グローバル株式インデックス・オープンの基本情報
投資対象は?
SMT グローバル株式インデックス・オープンの投資対象は、日本を除く先進国の株式で、MSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行います。
SMT グローバル株式インデックス・オープンの国別、地域別の構成比率は下図のようになっており、米国を中心に先進国株式約1300銘柄で構成されています。
※引用:マンスリーレポート
ファンドの組み入れ銘柄も見てみましょう。
北米の組み入れ比率が高いので、上位はすべて米国株ですが、アップル、マイクロソフト、アマゾンとあなたも聞いたことがある大手企業が上位を占めています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
インデックスファンドの運用において、純資産総額というのも見るべきポイントです。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができず、インデックスから乖離してしまうリスクがあります。
SMT グローバル株式インデックス・オープンは2008年から着実に純資産を積み上げており、現在では1700億円を超える水準にまで増えています。コストが高い割に非常に人気があるファンドです。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には信託報酬や購入時手数料がかかりますが、実際にそれ以外にも印刷費用や監査費用、有価証券取引税などのコストがかかります。
これを実質コストと言いますが、インデックスファンドにおいて、実質コストというのは何よりも重要な項目です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
MSCIコクサイ・インデックス連動型のファンドは各社が作っていますが、運用リターンはベンチマークに連動するため、どこも差がつきません。そうすると、実質コストの部分で良し悪しを決めることになるわけです。
SMT グローバル株式インデックス・オープンの実質コストは0.58%となっており、近年のインデックスファンドと比べるとかなり割高です。販売手数料もかかりますし、他のファンドと比べると、かなり見劣りします。
購入時手数料 | 2.2%(税込み)※上限 |
信託報酬 | 0.55%(税込) |
信託財産留保額 | 0.05% |
実質コスト | 0.58%(概算値) |
※引用:最新 運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
信託報酬の比較
MSCIコクサイに連動するインデックスファンドは各運用会社が設定していますので、ここでは各社の信託報酬を比較してみたいと思います。
現在は、三菱UFJ国際のeMAXIS Slim 先進国株式インデックスとニッセイアセットのニッセイ外国株式インデックスファンドとが同じ信託報酬で最安値となっています。
SMT グローバル株式インデックス・オープンは残念ながら上位争いからかなり遅れを取っています。各社譲れない戦いがあるようで、毎年のように信託報酬が下がっていきます。投資家としては非常にありがたい限りです。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.09889%(税込) |
ニッセイ 外国株式インデックス | 0.09889%(税込) |
iFree外国株式インデックス | 0.209%(税込) |
たわらノーロード先進国株式 | 0.09889%(税込) |
※2023年10月時点
SMT グローバル株式インデックス・オープンの評価分析
基準価額をどう見る?
SMT グローバル株式インデックス・オープンの基準価額は、2022年に伸び悩みましたが、2023年以降はまた上昇を続けており、非常に好調です。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
つづいて、SMT グローバル株式インデックス・オープンの運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは+24.16%です。3年、5年、10年平均利回りも10%を超えており、インデックスファンドであれば十分でしょう。
ただ、利回りだけでを見て投資判断をしてはいけません。他の類似ファンドをパフォーマンスを比較してから投資をしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +24.16% |
3年 | +21.61% |
5年 | +13.41% |
10年 | +12.98% |
※2023年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
SMT グローバル株式インデックス・オープンは、日本を除く海外カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
SMT グローバル株式インデックス・オープンは1年平均を除き上位40%以内にランクインしており、インデックスファンドとしては十分な順位です。
上位●% | |
1年 | 43% |
3年 | 43% |
5年 | 32% |
10年 | 25% |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
つづいて、SMT グローバル株式インデックス・オープンの年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2018年は2桁のマイナスとなりましたが、それ以外の年ではしっかりとプラスを残しています。インデックスファンドで2桁プラスが出るのであれば、文句は出ないですね。
長期で保有すれば安定的にプラスが出ますので、くれぐれも直近のパフォーマンスが悪いからといって、すぐに解約するのはやめてください。
年間利回り | |
2023年 | +23.25%(1-9月) |
2022年 | ▲5.79% |
2021年 | +37.30% |
2020年 | +8.46% |
2019年 | +28.33% |
2018年 | ▲11.39% |
2017年 | +18.25% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは類似ファンドとのパフォーマンスの差は?
インデックスファンドに投資をするのであれば、同じベンチマークを採用している他のファンドとのパフォーマンスの比較は事前にしておきたいところです。
今回は、SMT グローバル株式インデックス・オープンと同じようにMSCIコクサイ・インデックスを採用している他ファンドとのパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
SMT グローバル株式インデックス・オープンは競ってはいますが、終始、パフォーマンスで劣後しています。
これは実質コストベースでみたときにeMAXIS Slim 先進国株式インデックスよりも、コストがかかっているということです。
どちらにも投資ができる証券会社に口座を持っているのであれば、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスを選択するほうが良いですね。
SMTグローバル | Slim 先進国 | |
1年 | +24.16% | +24.67% |
3年 | +21.61% | +22.16% |
5年 | +13.41% | +13.93% |
10年 | +12.98% | - |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
世間ではインデックスファンドが正という風潮が強いため、アクティブファンドなど検討さえもしていないという方も多いと思います。
しかし、数は少ないですが、長期に渡り圧倒的な成果を残しているアクティブファンドも存在しており、インデックスファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
そこで、今回は先進国株式のアクティブファンドである大和住銀DC海外株式アクティブファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、SMT グローバル株式インデックス・オープンがパフォーマンスで上回っています。
これであれば、あえて高いコストを支払ってアクティブファンドに投資をする魅力はないように感じます。
しかし、より長期の利回りを比較するとどうでしょう?
SMTグローバル | 大和住銀DC | |
1年 | +24.16% | +24.67% |
3年 | +21.61% | +13.25% |
5年 | +13.41% | +13.76% |
10年 | +12.98% | +14.90% |
※2023年10月時点
5年、10年平均利回りでは、大和住銀DC海外株式アクティブファンドのほうがパフォーマンスで上回っています。もちろんインデックスファンドへの投資もよいですが、一部の資金はリスクを取って、アクティブファンドに投資をするというのも面白いと思います。
最大下落率はどれくらい?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
事前にどの程度下落をする可能性があるのかを知っておくと、実際に大きな下落があったときでも落ち着いて対処できますので、知っておいて損はありません。
下記に、ファンド設定来の最大下落率を期間別に集計したものを載せます。
SMT グローバル株式インデックス・オープンは2008年3月~2009年2月の1年間で51.55%の下落を記録しています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲22.41% |
3カ月 | ▲43.06% |
6カ月 | ▲49.73% |
12カ月 | ▲51.55% |
※2023年10月時点
ただ、しっかり長期で保有すれば、プラスのリターンが出ていますので、急に相場が下げたからといって、焦って売ってしまわないようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
評判はどう?
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。
SMT グローバル株式インデックス・オープンは総じて、資金流入超過となっている月が多く、評判はよくなっていることがわかります。
コスト面ではかなり出遅れ感がありますが、流入額が毎月増えており、評判は上々であることがわかりますね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
SMT グローバル株式インデックス・オープンはNISAにのみ対応していますので、積極的に活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | - |
※2023年10月時点
SMT グローバル株式インデックス・オープンの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
先進国株式に投資ができるインデックスファンドは1本は持っておきたいところですので、コスト面から考えると、あえて、SMT グローバル株式インデックス・オープンに投資をする理由がありません。
実質コストベースで0.3~0.4%変わってくると、さすがに長期でみたときにパフォーマンスに影響が出ます。
あなたがメインで使っている証券口座で取り扱っているファンドがSMT グローバル株式インデックス・オープンしかないということであれば、仕方ないですが、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスやニッセイ外国株式インデックス、たわらノーロード先進国株式インデックスといったファンドがあれば、そちらを選択するべきでしょう。
また、インデックスファンドも優れたファンドがありますが、アクティブファンドの中にもインデックスファンドをはるかに上回るパフォーマンスのファンドが何本も存在しています。
ですので、アクティブファンドにもどんなファンドがあるのか調べてみると良いと思います。
先進国株式ファンドのおすすめはどれ?10年平均利回りランキング ベスト20を発表!
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点