昨年につづき、投信ブロガーが選ぶファンド・オブ・ザ・イヤーで
トップ3にランクインした楽天・全米株式インデックス・ファンド。
S&P500に連動したインデックスファンドはいくつかありますが、
大型中型株式で構成されているので、市場の全体をカバーできて
いるとはいえません。
その点、楽天・全米株式インデックス・ファンドは、小型株式も
含めた3000銘柄以上に投資し、市場を100%カバーできるCRSP
USトータルマーケット;インデックス(円換算ベース)に連動した
投資信託です。
今回は楽天・全米株式インデックス・ファンドを徹底分析したいと
思います。
楽天・全米株式インデックス・ファンドの基本情報
投資対象は?
楽天・全米株式インデックス・ファンドの実質的な主要投資対象は、
ETFの「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」です。
これを通じ米国株式に投資をし、CRSP USトータル・マーケット・
インデックス(円換算ベース)に連動する投資成果を目指します。
直近の組入上位10業種は以下の通りになります。
米国は他の先進国と比べ情報技術業種の割合が高くなります。
これはアップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)などの
世界を代表するテクノロジー企業が多いためです。直近の投資銘柄数は、
3575銘柄です。
※引用:マンスリーレポート
CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)とは?
ここでベンチマークとなるCRSP USトータル・マーケット・インデックス
(円換算ベース)について説明しておきましょう。
この指数は、米国株式市場の大型株から小型株までを網羅し、投資可能
銘柄のほぼ100%となる約4,000銘柄で構成された時価総額加重平均型の
株価指数です。
日本ではS&P500やNYダウといった大型銘柄に投資するファンドが中心
だったので、小型株にも投資をしたいと言う人には願ってもないチャンスです。
バンガードとは?
それから、実質的な投資対象となるETF「バンガード・トータル・ストック
・マーケットETF(VTI)」を運用するバンガードについても知らない人もいるかも
しれませんので、説明しておきましょう。
バンガードは、1976年に世界で初めて個人投資家向けにインデックス
ファンドを設定。
現在、世界のインデックス運用商品の約4割のシェアを握り、シェア NO.1
となっています。
またローコストリーダーとしても知られています。運用に携わっている人
でまず知らない人はいないですね。
純資産総額は?
純資産総額は投資信託を見極める際に大切なポイントとなります。
純資産総額が多い方が、ファンドマネージャーが資金を投資する際に
有利であったり、他の投資家の解約の際の影響が小さくなりますので、
良い投資信託と判断されます。
また純資産総額が減少しているファンドは、解約が増えているという
ことです。
さらに投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に
力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもあります。
楽天・全米株式インデックス・ファンドの純資産総額は、2017年9月
設定以降、積立NISA開始に伴い純資産総額を徐々に増やしています。
昨年末に米国株の大暴落を受けてわずかに減少しましたが、それ以降は
着実に純資産を増やしており、現在は500億円ほどになっています。
規模としては全く問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかること
を知っていますか?これを実質コストと言います。
実質コストには、株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが
含まれており、運用報告書を見なければ詳しい数字はわかりません。
ただし、信託報酬と大きくずれていることもあり、かならず確認して
おきたいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
楽天・全米株式インデックス・ファンドの実質コストは、0.233%に
なります。
まだ信託報酬と実質コストとの差はありますが、純資産が増えるにつれ
さらに下がってくると思います。
このファンド1本でアメリカの小型株~大型株まで、すべてをカバーできると
考えれば、このコストであれば十分でしょう。
購入時手数料 | なし |
信託報酬 | 0.172%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 0.233%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
楽天・全米株式インデックス・ファンドの評価分析
基準価額の推移は?
楽天・全米株式インデックス・ファンドの基準価額は、2018年10月に
大きく下落しましたが、2019年には下落分を取り戻した形となっています。
未だ2018年の最高値を更新はできてはいませんが、時間の問題でしょう。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
楽天・全米株式インデックス・ファンドの直近1年間の利回りは
▲3.21%と同カテゴリー内でも平均的な水準です。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | %ランク | |
1年 | ▲3.21% | 43% |
3年 | – | – |
5年 | – | – |
10年 | – | – |
※2019年9月時点
中長期のパフォーマンスは楽天・全米株式インデックス・ファンドが
実質投資対象としているVTIのパフォーマンスが参考になります。
15年の長期でも安定して高い利回りを実現できていることがわかります。
米国株の強さがよくわかる結果です。
年間利回り | |
1年 | 0.7% |
3年 | 11.2% |
5年 | 9.0% |
10年 | 13.0% |
15年 | 8.9% |
※引用;わたしのインデックス
標準偏差は?
標準偏差とは価格のブレです。楽天・全米株式インデックス・ファンド
の直近1年の標準偏差は21.31で同カテゴリー内では平均的な水準です。
国内小型株と同程度の標準偏差なので、思ったよりも変動は大きいと
思っておいたほうがよいですね。
標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。
標準偏差 | %ランク | |
1年 | 21.31 | 41% |
3年 | – | – |
5年 | – | – |
10年 | – | – |
※2019年9月時点
年別のパフォーマンスは?
つづいて、年別のパフォーマンスを確認しておきます。
楽天・全米株式インデックス・ファンドの2018年の利回りは
▲8.41%と初年度は奮いませんでした。
しかし2019年はこの調子でいけば、10%を超える利回りが期待
できそうです。
年間利回り | |
2019年 | 14.97%(1-6月) |
20158年 | ▲8.41% |
※2019年9月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
楽天・全米株式インデックス・ファンドへの投資を検討するのであれば、
類似のインデックスファンドとパフォーマンスを比較しておいて損は
ありません。
多くの方が悩むのは、S&P500やNYダウに連動するインデックスファンド
との比較ですので、今回は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と
iFree NYダウ・インデックスと比較してみることにします。
ちなみに楽天・全米株式インデックス・ファンドが米国市場全体が
投資対象であるのに対して、NYダウは米国を代表する30銘柄、
S&P500は米国を代表する500銘柄が投資対象です。
楽天・全米株式インデックス・ファンドは現時点では最下位ですね。
下落幅を見ても、他のファンドとそう変わりませんので、4000銘柄
に分散しているからリスクが小さいというわけではないことがわかります。
※引用:モーニングスター
最大下落率は?
標準偏差がわかれば、どの程度下落する可能性があるかはある程度
予測できますが、実際にどれくらい下落したことがあるのか確認する
ほうがイメージが湧きます。
楽天・全米株式インデックス・ファンドの最大下落率は、2018年10月
~12月の-16.80%です。
米国株式に投資しますので価格変動リスクに加え為替変動リスクも
あるので、今後大きく下落する可能性も十分にありますのでご注意ください。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲11.28% |
3カ月 | ▲16.89% |
6カ月 | ▲8.61% |
12カ月 | ▲8.41% |
※2019年9月時点
評判はどう?
それでは、楽天・全米株式インデックス・ファンドの評価はどうで
しょうか?
資金の流出入を見れば、投資信託の評判がわかります。解約が増えて
いるということは、この投資信託の魅力が減っているということです。
以下のグラフを見てみると、設定以来積立NISA目的の購入者を中心に
資金を集めています。
低コストで、米国株式市場全体を網羅できるファンドは日本で唯一
ですので、今後どんどん資金は流入していくでしょう。
※引用:モーニングスター
楽天・全米株式インデックス・ファンド の今後の見通し
信託報酬の低さや分散性の高さから楽天・全米株式インデックス・
ファンドは十分オススメできるファンドです。
楽天・全米株式インデックス・ファンドの実質的な投資対象である
VTIの中長期のリターンは平均すると10%程度はありますので、
今後もそれくらいの利回りは期待できそうです。
一方で、中にはバンガード・トータル・ストック・マーケットETFを直接
買った方が信託報酬0.04%とさらにコストを抑えられるのでは?と
お考えの方もいると思います。
ある程度まとまった資金で購入するのであれば、ETFを直接購入した
ほうが手数料も安くなります。
しかし、毎月少額ずつ購入するとなると、毎月購入の手続きをしなければ
ならなかったり、手数料が割高になったりしますので、あまり手間をかけ
たくないという人は楽天・全米株式インデックス・ファンドを購入しておけば十分です。
また、米国市場全体に投資をするのか、NYダウに投資するのか、S&P500に
投資するのか悩む方も多いと思います。結論、そこまで大きくパフォーマンスが
変わるわけではないので、現在すでに保有しているものがあれば、それを
継続保有すれば十分だと思います。