毎月分配型ファンドの草分けである「グローバル・ソブリン・オープン」
の設定で名を馳せた旧国際投信投資顧問により、2004年に設定された
ワールド・リート・オープン(毎月決算型)。

現在、92件の金融機関で取り扱っており、毎月分配型だけでも約3,400億円超の
残高があります。

今日は、三菱UFJ国際投信のワールド・リート・オープン(毎月決算型)について徹底的に分析します。

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の基本情報

投資対象は?

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の投資対象は世界各国の様々なリートに
分散投資をしていきます。

リートは複数の投資家から集めた資金で様々な不動産に投資をし、
その投資先の不動産から生じる賃料や売却益等を配当金として
投資家に分配する仕組みです。

リートのメリットは、何と言っても、少額で不動産に投資ができる点と、
様々な不動産に分散投資ができることですね。

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の現在の投資先は、
下図のように主要な先進国リートが大半を占めており、日本以外に11か国に分散しています。

業種別の投資比率で見ると、小売りや複合施設への投資が多くなっています。

しかし、「ワールド・リート」と謳っている割にはポートフォリオの半分以上を
アメリカのリートに投資しており、カントリーアロケーション上はやや偏った
ポートフォリオと言わざるを得ません。

この理由は、運用委託先であるMSIMがアメリカ以外の国のリートの低流動性と
リスクの高さを嫌気していること、リートにおける同社のもっとも得意とする
カントリータイプがアメリカであることによります。

運用の特徴は?

国内籍投資信託の設定・運用は三菱UFJ国際投信ですが、運用は実質的に
アメリカの大手運用会社であるモルガン・スタンレー・インベストメント・
マネジメント(MSIM)の世界各国拠点に全面委託しています。

したがって、運用パフォーマンスはMSIMの手腕次第ということになります。

ファンドの形態はファミリーファンド方式であり、MSIMの指図により
マザーファンドから世界各国のリートに投資しています。

純資産総額は?

続いて、ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の純資産総額は
どうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた
投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を
入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性が
ありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

2018年現在、ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の
純資産総額は3,335億円と、ピーク時の約半分の数値まで落ち込みました。

ファンドのコンセプトから高い信託報酬に至るまで、金融庁や各メディア
からの批判の的となっている典型的なタイプの投資信託であるため、
残念ながら今後の運用残高の伸びは期待できないと考えます。

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の実質コストは1.743%と
なっており、同カテゴリーの中では、平均的な水準です。

ただ、運用利回りが優れないのにこのコストは高すぎますね。

購入時手数料 2.7%(税込)
信託報酬 1.674%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.743%(概算値)

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の評価分析

基準価格をどう見る?

2018年現在、ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の
基準価額は2,410円です。

ピーク時の7分の1以下に低迷していますが、「毎月決算型」「リート」
「設定してから10年超」「日本の運用会社が設定」のキーワードが揃えば、
特に違和感の無い基準価額です。

なぜなら、ワールド・リート・オープン(毎月決算型)は多くの毎月分配型ファンドの
例にもれず、「タコ足分配」型の毎月決算型ファンドだからです。

現在の分配利回りが17~18%となっていますので、運用で賄えているのは
ほんの一部です。

まず間違いなく基準価額の下落は止まらないでしょう。

利回りはどれくらい?

つづいて、ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の利回りを見てみましょう。
直近1年間の利回りは+0.78%となっています。

5年平均利回りが+6.69%、10年平均利回りが+3.93%なので、
長期でみれば、こんなものかと思います。過剰な分配さえしていなければ、
まだマシといったところでしょうか。

将来リターンについては、標準偏差から計算できますので、ご自身で計算してみてください。
計算方法に自信がない方はこちらをご参考に。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

分配金の推移と分配金余力は?

2014年頃には毎月70円あった分配金ですが、2017年には、毎月50円になり、
2018年には、ついに35円まで分配金が減ってしまいました。

分配金余力は60か月以上ありますので、この配当自体を維持することは可能ですが、
結局タコ足配当では元本が戻ってくるだけの話なので、何もメリットがありません。

評判はどう?

当然ながら、ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の評判は、
総じて良くありません。

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)は、単純に銀行で勧められたから
購入したという人が多いようです。

そのため、基準価額や分配金額が下がったことに対する不満が多く
見受けられますが、これはファンドの性質上やむをえない話です。

実際に月別の資金流出入額を見ても、毎月流出が続いています。
つまり、解約が増えているということですね。

ワールド・リート・オープン(毎月決算型)」の今後の見通し

先述の通り投資先の過半がアメリカのため、FOMCによる利上げと
円高が最大のネックです。

また、アメリカの不動産の賃料水準および価格は引き続き堅調との見通しは
多いものの、すでに頭打ち感が出ていることも否めません。

あとは、投資している他国のリートのパフォーマンスに期待するしかないのですが、
特にアジアやヨーロッパのリートは現物の不動産市場そのものが不安定なことから、
依然としてリスクは高くファンドマネージャーもウェイトの引き上げにはネガティブでしょう。

また、先述のような過剰分配を続けた結果、2017年12月末時点の翌期繰越可能分配額は
3,300円まで目減りしており、単純計算で残り6年ほどでタコ足分配ができなくなる計算になります。

これを受けたものだと思いますが、2018年2月から月当りの分配金を35円まで引き下げており、
今後の分配金の上昇を見込むことは難しいでしょう。

また、投資対象のインカムゲインやキャピタルゲインに大幅な上昇も見込めないため、
信託報酬をインデックスファンド並みに引き下げ、かつ限りなく無分配にしない限りは、
今後の基準価額の上昇は無理でしょう。

以上を考慮すると、新規にワールド・リート・オープン(毎月決算型)を購入する理由は無く、
今後も純資産の減少は続くものとみられます。

リートそのものの見通しも良くありませんので、他の堅実なファンドを検討しましょう。