アクティブファンド分析

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの評価や評判は?今後の分配金の見通しはいかに?

オーストラリア株式に投資をできる数少ないファンドであるニッセイ オーストラリア高配当株ファンド。

毎月分配型ファンドは風当たりが強くなり、かなり苦戦を強いられているファンドが多いですが、はたして、ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドはどうでしょうか?

今日は、ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドについて徹底分析していきます。

「ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドって投資対象としてどうなの?」

「ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドって持ってて大丈夫なの?」

「ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの基本情報

投資対象は?

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの投資対象は、相対的に配当利回りの高い「株式」および「リート」を実質的な投資対象とします。

業種別に見ると、金融の比率が高く、次いで資本財・サービス、リートと続きます。


※引用:マンスリーレポート

ちなみに、ニッセイアセットマネジメントからニッセイ豪州ハイ・インカム株式ファンド『ラッキーカントリー』というファンドが出ており、中身を見てもほぼ同じ。何が違うんだと思った人もいるかもしれませんが、

結論から言ってしまえば、マネープールファンドに自分でスイッチングができるかできないかの差くらいなもので、ほぼ同じファンドです。

ファンドの仕組みは?

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの運用はファンド・オブ・ファンズ方式で行い、オーストラリア株式の実質的な運用はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント・オーストラリアが行います。

レッグ・メイソンは1899年に設立され、米国メリーランド州ボルティモアに本部を置く歴史ある資産運用会社です。

2021年4月よりフランクリン・テンプルトン・インベストメンツ株式会社と合併し、それにともない商号を現在の「フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社」に変更しました。

グループ全体では、85兆円もの資産を運用しています。オーストラリア株式の運用については30年以上の実績があります。

さきほども言いましたが、ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの場合、相場が下落しそうだと思ったときに、マネープールファンド(現金と同義)に一時的に資金を避難できるという仕組みがあるのも特徴です。


※引用:交付目論見書

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドは分配金利回りを大きく高めたことで一時的に大きな資金が流入しましたが、タコ足配当だったことが投資家にばれてしまい、現在は、283億円ほどの規模にまで減少しています。

とはいえ、規模の問題は特に心配はありません。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

そして、ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの実質コストは1.826%とかなり高いです。

後述しますが、利回りがそもそも高くないにもかかわらず、これだけの信託報酬を取られるとお金を出している投資家より運用会社のほうが儲かる構造になっています。

このように投資家をないがしろにするファンドには投資したくないですね。

購入時手数料 3.85%(税込)
信託報酬 1.826%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.826%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの評価分析

基準価額をどう見る?

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの基準価額(黄線)は3年の間、2500円近辺をずっと推移しています。

分配金を受け取らずに再投資した場合の基準価額(青線)は3年間で50%以上、上昇していますので、運用益はほぼすべて分配金に充てられていることがわかります。

また基準価額が2000円台であることからも過剰な分配を行ってきたあくどいファンドであることがわかりますね。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

続いて、ニッセイ オーストラリア高配当株ファンド利回りを見ていきます。

直近1年間の利回りは9.42%と比較的高い水準です。

ただ、5年、10年平均利回りを見ると、どんどん下がっていますので、直近だけ利回りが高いことがわかります。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +9.42%
3年 +17.32%
5年 +5.73%
10年 +4.88%

※2023年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドは、グローバル株式のオセアニアカテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドは3年を除いて利回りも平均以下の水準となっており、パフォーマンス自体があまり優れているとは言えません。

上位●%
1年 60%
3年 40%
5年 80%
10年 80%

※2023年10月時点

年別の運用利回りは?

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの年別のパフォーマンスを見てみると、10%超のリターンを出している年もありますが、マイナスで終わっている年も多いです。

高配当株=比較的株価の変動が緩やかであることを期待して、投資をしている人も多いと思いますが、実際には指数連動型のインデックスファンドに投資をするのと変わらない水準です。

年間利回り
2023年 +8.84%(1-9月)
2022年 +4.90%
2021年 +20.56%
2020年 ▲6.17%
2019年 +16.97%
2018年 ▲19.69%
2017年 +10.50%
2016年 +8.41%
2015年 ▲5.87%
2014年 +16.44%

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

最大下落率はどれくらい?

投資をするにあたって、気になるのがどの程度下落するかでしょう。

標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際にどの程度下落したかは気になります。

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドは2020年1月~2020年3月までの3か月で▲38.01%の下落をしています。

コロナショックの影響はかなり大きかったようです。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲31.56%
3カ月 ▲38.01%
6カ月 ▲35.32%
12カ月 ▲34.43%

※2023年10月時点

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲47円 240円 80%

※2022/10/18~2023/10/17

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの直近1年間の分配健全度は80%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、100%を超えるファンドの場合は、ファンドの運用益から分配金がすべて支払われていることを意味します。

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの場合は、直近1年間のパフォーマンスが悪くなかったので、分配金の大半をファンドの収益から支払うことができています。

ただ、中長期の期間で見ると、明らかに100%を下回るので、一時的なものと考えてください。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。

(分配金利回りは基準価額に対する分配金合計額で計算ができます。)

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。

運用利回り 分配金利回り
1年 +9.42% 9.5%
3年 +17.32%
5年 +5.73%
10年 +4.88%

※2023年10月時点

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの分配金利回りは9%を超えており、明らかにファンドの収益を上回る分配がなされています。

分配金利回りを賄うほどの運用が毎年できるわけもなく、今後、減配されることはほぼ間違いないという水準です。

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの分配金余力は、すでに3カ月程度しかありません。

かつ、過剰な分配を続けていますので、減配されるのは時間の問題です。

分配金 繰越対象額 分配金余力
121期 20円 77円 4.9カ月
122期 20円 76円 4.8カ月
123期 20円 74円 4.7カ月
124期 20円 70円 4.5カ月
125期 20円 68円 4.4カ月
126期 20円 67円 4.4カ月
127期 20円 63円 4.2カ月
128期 20円 62円 4.1カ月
129期 20円 58円 3.9カ月
130期 20円 55円 3.8カ月
131期 20円 53円 3.7カ月
132期 20円 51円 3.6カ月

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流出しているということは、それだけこのファンドを解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドは2019年以降資金が流出しており、分配金が減り始めてようやく泥船にのっていることに気づいたのでしょう。


※引用:ウエルスアドバイザー

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドの評価まとめと今後の見通し

いかがでしょうか?

毎月分配型のファンドへの投資を検討している人は投資額に対して、年間何%の配当金を受けられるのかわかる指標である分配金利回りでファンドを判断していることが多いです。

ただ、この方法でファンドの良しあしを判断していると、ファンドが収益をあげていないにも関わらず、高い分配金を出している詐欺ファンドに引っかかることになります。

ニッセイ オーストラリア高配当株ファンドは典型的なタコ足ファンドであり、あなたが投資したお金が毎年配当で戻ってきているにすぎません。

近々、また減配されることは確実ですので、早めに解約することをおすすめします。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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