英国の投資家から信頼を集めているファンドスミス社の旗艦ファンドと同一の運用戦略の公募ファンドがついに日本に初上陸しました。
すでに純資産も1500億円を超えており、多くの投資家から注目を集めています。
そこで、今日はこのファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドについて徹底分析していきます。
「ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドって投資対象としてどうなの?」
「ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの基本情報
投資対象は?
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの投資対象は全世界の株式です。
銘柄選定にあたっては、業種・流動性・財務指標の各規準を用いて、投資対象を絞り込み、その中から資本効率、ビジネスモデル、財務バランス等への対応が優れている企業を厳選していきます。
国・地域別の組入れ比率を見てみると、米国が約70%となっており、それ以外は欧州の銘柄が大半を占めています。
実質的には先進国株へ投資をしていくファンドのようです。
業種別の組入れ比率を見てみると、生活必需品が最も高く、情報技術、ヘルスケアと続きます。
ディフェンシブセクターとシクリカルセクターがうまくバランスを取っていますね。
※引用:マンスリーレポート
続いて、組入れ銘柄を見ていきましょう。現在の組入れ銘柄は27銘柄となっており、かなり厳選されています。
その中の上位5銘柄は以下のようになっており、著名な銘柄が上位を占めていることがわかります。
※引用:マンスリーレポート
ファンドスミスとは?
ファンドスミス社は2010年にロンドンで設立された独立系運用会社です。
英国の投資家から信頼を獲得しており、同社の運用資産総額は5兆円を超えています。
ファンドスミス社の投資哲学は、「優良企業を安く買って長期保有をする」というものです。
普通に聞くと、どこの運用会社も似たようなことを言っているように感じます。
ただ、実際にこの投資哲学を貫く事で高いパフォーマンスを残しており、ファンドスミス社の旗艦ファンドはMSCIワールドインデックスをはるかに上回るパフォーマンスを残しています。
もちろん、このパフォーマンスだけを見て、投資をするというのは絶対やってはいけませんが、少なくとも英国では、かなり評価されてきたファンドであるということはわかりますね。
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの純資産は3000億円を超えています。パフォーマンスも奮わない時期もありましたが、それでも純資産総額は3000億ありますすので、多くの投資家が期待しているファンドの1本だとわかります。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの実質コストはまだ運用報告書が出ていないのでわかりませんが、信託報酬が1.8175%とかなり高くなっています。
購入時手数料も考えると、初年度だけでも5%以上取られますので、これでは相当パフォーマンスが良くなければ、投資をしたいとは思えません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.8175%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.819%(税込) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの評価分析
基準価額をどう見る?
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの基準価額を見てみましょう。
2022年には、10,000円を下回る時期もありましたが、2023年以降は順調のようですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
つづいて、ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは+19.36%となっており、かなり好調なようです。
ただし、この利回りだけを見て、投資判断をしないようにしてください。他のファンドとパフォーマンスを比較してから、確信をもって、投資をするようにしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +19.36% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドは、日本を除くグローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドは、下位25%に入ってしまっており、お世辞にもパフォーマンスが優れているとは言えません。
上位●% | |
1年 | 75% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別の運用利回りは?
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの年別のパフォーマンスも見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
まだ運用期間が短いため、何とも言えませんが、株式ファンドであれば、妥当な水準の値動きです。
年間利回り | |
2023年 | +19.37%(1-9月) |
2022年 | ▲11.63% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとの利回り比較
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドに投資を検討しているのであれば、より低コストのインデックスファンドとのパフォーマンスは比較しておいて損はありません。
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドは先進国株式を中心に投資をしていますので、今回は先進国株式に超低コストで投資ができるeMAXIS Slim 先進国株式インデックスとパフォーマンスの比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
結果は、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスの勝利です。
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドは銘柄数を絞り込んでいるため、銘柄選定がうまくいっていないと、このようにインデックスファンドよりもアンダーパフォームしやすい傾向があります。
もう少し、長く運用するまでは、何とも判断できませんが、現時点であえて高いコストを支払って、ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドに投資をする理由もありません。
ファンド・スミス | slim 先進国株式 | |
1年 | +19.36% | +24.67% |
3年 | - | +22.16% |
5年 | - | +13.93% |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
アクティブファンドとの利回り比較
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドへの投資を検討するのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断をしても遅くはありません。
そこで、今回は大和住銀DC海外アクティブファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
今のところは、大和住銀DC海外アクティブファンドのほうが優れた結果を残しています。
まだ運用期間が短いので、こちらも今後どうなるか注目していきたいところです。
ファンド・スミス | 大和住銀DC海外 | |
1年 | +19.36% | +24.67% |
3年 | - | +13.25% |
5年 | - | +13.76% |
10年 | - | +14.90% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。
それでは、ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲10.73% |
3カ月 | ▲6.03% |
6カ月 | ▲10.89% |
12カ月 | ▲11.63% |
※2023年10月時点
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの最大下落率は2022年1月~2022年12月で▲11.63%となっています。
まだ運用期間が短いこともあり、あまり大きな下落は経験していませんね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
続いて、ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの評判を見てみましょう。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドは当初大きな期待を寄せられていましたが、パフォーマンスが奮わず、2023年には資金が流出超過に転じており、評判は右肩下がりです。
※引用:ウエルスアドバイザー
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドと同じ戦略で運用されているファンドスミスの旗艦ファンドは確かに優れた成果を残しています。
ただ、過去のパフォーマンスは優れていたというだけであり、今後も同じように優れた成果を保証しているわけではありません。
少なくとも、数年はパフォーマンスを比較してみて、それでも優れた成果を残しているようであれば、投資をしていきたいですね。
現時点では、初年度5%もの手数料を支払ってまで投資をするようなファンドではないと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点