米国株投資と言えば、S&P500やNYダウに連動するインデックスファンドに投資をするのが一般的ですが、米国のバリュー株に投資ができるのがティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドです。
果たして、ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドとはどのようなファンドなのか、徹底分析していきます。
「ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)の基本情報
投資対象は?
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの投資対象は、米国のバリュー株です。
バリュー株というのは、現在の株価が「企業価値」よりも低い=割安な状態の株をいい、割安株とも言います。一般的には株式収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)を使用して、割安度を判断するのが一般的です。
※ティー・ロウ・プライスHP
バリュー株投資では、株価が何らかの理由で割安な状態になっている企業に投資をし、本来の企業価値に戻っていく過程で売却して利益を狙う方法です。しかし、割安なまま放置されてしまう状態に陥ると、当然株価は上昇せず、利益を得ることができないため、本来の企業価値を正確に評価できる必要があります。
※ティー・ロウ・プライスHP
こうしたバリュートラップを回避するために、本来の企業価値はどれくらいなのかを正確に見極める企業調査や分析力が重要となります。
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの現在の組入銘柄数は120銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの純資産総額は、現在約1040億円です。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの実質コストは1.604%となっており、インデックスファンドと比較すると割高です。何より購入時手数料もしっかり3.3%かかるので、投資は慎重に行わなければいけません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.4575%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.604%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)の評価分析
基準価額をどう見る?
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの基準価額を見てみましょう。
アップダウンが激しいですが、右肩上がりで上昇しています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは15.41%となっています。まだ運用期間が短いですが、10%以上の利回りであれば、悪くないように思えます。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +15.41% |
3年 | ー |
5年 | ー |
10年 | ー |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドは、国際株式・北米カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドは、一見すると高い利回りに見えましたが、実態は、下位30%にランクインしていますので、ほかに優秀なファンドが多数あることが分かります。
上位●% | |
1年 | 71% |
3年 | ー |
5年 | ー |
10年 | ー |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
まだ運用期間が短いので、ここは評価ができませんね。
年間利回り | |
2023年 | +14.65%(1-9月) |
2022年 | +1.40% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドと北米株で構成されているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、かなり競っている時期はありますが、ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドのほうが下回っています。
販売手数料もない信託報酬も安いインデックスファンドと比較して、ここまで差がつくと投資家としてもティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドを選択する理由が見当たりません。
年平均利回り | ティー・ロウ 米国割安優良株式 | slim 米国株式 |
1年 | +15.41% | +23.68% |
3年 | ー | +23.72% |
5年 | ー | +9.22% |
10年 | ー | +15.80% |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、北米ファンドで何度も優秀ファンド賞を受賞をしたことがあるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドのほうがパフォーマンスで圧倒しています。
ただ、根本的にインデックスファンドにパフォーマンスで負けているようでは投資に値しません。
年平均利回り | ティー・ロウ 米国割安優良株式 | 米国成長株投信 |
1年 | +15.41% | +25.71% |
3年 | ー | +18.31% |
5年 | ー | +16.72% |
10年 | ー | +18.21% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲5.55% |
3カ月 | ▲9.69% |
6カ月 | ▲7.89% |
12カ月 | ▲4.45% |
※2023年10月時点
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの最大下落率は2022年11月~2023年1月で▲9.69%となっています。まだ運用期間が短いこともあり、大きな下落は経験していないですね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドの評判を見てみましょう。
2022年以降、流出超過が続いており、評判はよくありません。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドはNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
アクティブファンドに投資をするのであれば、最低限、インテックスファンドよりもパフォーマンスが上回っている必要があります。
しかし、ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドはそもそもパフォーマンスでインデックスファンドに負けてしまっています。
良くある話ですが、αを狙って、銘柄を頻繁に入れ替えるファンドよりも、ただ米国全体に投資をしておいた方が結果的にパフォーマンスがよくなるというのはあるあるです。
ですので、現状で言えば、あえて高いコストを支払って、ティー・ロウ・プライス 米国割安優良株式ファンドに投資をするメリットはありませんので、S&P500やNYダウに連動するインデックスファンドに乗り換えるようにしてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点