日興アセットマネジメントが設定する、「中華圏株式ファンド」
(愛称:チャイワン)。

設定は2010年10月であり、当時はまだ毎月分配型ファンドが
毎月のように乱立していた時期でした。

しかし、「中国株で毎月分配」のコンセプトは当時としても
斬新であり、業界では驚きと懐疑の声が上がったものです。

残高は1000億円超と相対的に安定しており、中国の地政学的リスクが
高まりつつある直近でも残高は漸増傾向です。

今日は、「チャイワン」の特徴と今後の中国株式市場を
交えたファンドの見通しについて徹底分析していきます。

中華圏株式ファンド「チャイワン」の基本情報

投資対象は?

投資対象は中国経済圏(中国・香港・台湾)の株式です。

中国株式の比率が75%程度となっています。

組入銘柄数は149銘柄、上位銘柄を見てみると、アリババ、
テンセント、グリーンランドとなっています。

アリババは日本でいう楽天のような会社です。
テンセントは日本でいうLINEのような会社ですね。
グリーンランドは香港の不動産会社です。

運用の特徴は?

中華圏株式ファンド「チャイワン」は、同じ日興アセットマネジメントが運用する
「チャイナランド株式ファンド(適格機関投資家専用)」にほぼ100%投資し、
そこから「チャイナランド株式マザーファンド」と「中国A株マザーファンド」
というマザーファンドを通じて運用対象の株式を買い付けています。

中華圏株式ファンド「チャイワン」が設定された当時、中国は
外国人による自国の上場株式への投資や人民元の保有に制限を設けていました。

具体的には、外国人が中国株式に投資するためには「QFII(適格海外機関投資家)」
と呼ばれる資格を取得しないと、自国の通貨を人民元に両替して中国株式を
購入することができなかったのです。

受益者が個人である「チャイワン」ではQFIIの資格を取得できないため、
日興アセットマネジメントは「チャイナランド株式ファンド(適格機関投資家専用)」
でQFIIを取得することで中国株式への投資を可能にしていたものと思われます。

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと
思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を
入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性が
ありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

2018年5月24日現在、「チャイワン」の純資産総額は1037億円であり、
冒頭で申し上げた通り毎月分配型ファンドであるにも関わらず純資産は
安定して増加し続けています。

後述しますが、2016年後半からパフォーマンスが高く、基準価額も
ほぼ横ばいで推移していました。

他の毎月分配型のファンドは基準価額が下がり続けている中で、
現状維持できていますので、毎月分配型の乗り換えで資金が大きく
流入したのでしょう。純資産の規模はまったく問題ありませんね。

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

中華圏株式ファンド「チャイワン」の実質コストは1.736%となっており、
国際株式カテゴリーの中では、平均的な水準です。

不可解なのは購入手数料で、なぜか最大で3.78%もかかります。

販売会社が投資信託の販売に要する事務コストは投資対象が日本株であろうと
中国株であろうと変わらないはずなので、販売会社に「チャイワン」を
優先的に売らせるべくこのようなインセンティブを与えたと見るべきでしょう。

購入時手数料 3.78%(税込)
信託報酬 1.728%(税込)
信託財産留保額 0.5%
実質コスト 1.736%(概算値)

中華圏株式ファンド「チャイワン」の評価分析

基準価格をどう見る?

2018年5月24日現在、「チャイワン」の基準価額は3,949円です。

他の毎月分配型ファンドに近似した基準価額ですが、「チャイワン」の
分配原資は全てファンドの収益であり、いわゆるタコ足配当は行っていません。

それにも関わらず、毎月120円もの分配金を出している点は素晴らしい
と思いますが、それならば多少でも分配金利回りを抑えた方が基準価額には
プラスになり複利効果も得られるため、この点については一考して欲しいと思います。

分配金の推移と分配金余力は?

直近まで120円の分配がありましたが、2018年の4月から80円に減額されています。

もともと分配利回りが30%と異常に高かったので、減額は仕方ないことでしょう。

分配金余力は36か月となっておりますので、当面減額されることはないと思いますが、
分配利回りは24%程度とかなり高い水準なので、ファンド自体の運用がうまく
行かないとこの分配金を維持することはできないと思われます。

評判はどう?

「チャイワン」への評価は、銀行が積極的に販売するようなタイプの
ファンドでは無いため証券会社で購入した人が大層だと思われますが、
中国株式が投資対象であることと毎月分配型ファンドである点に
ネガティブなコメントが多いようです。

とはいえ、直近のパフォーマンスは非常に高く、月次の資金流出入額を見ても、
毎月流入が続いています。

他の毎月分配型のファンドが軒並みダメなので、チャイワンに乗り換えが
進んでいるようです。

中華圏株式ファンド「チャイワン」の今後の見通し

中国株式の値動きについては、2017年ほどの力強い動きは望みにくいものの、
企業業績の向上や各種経済統計データの良好な数値にみられる通り引き続き
緩やかに上昇していくと考えられます。

特に中国A株のMSCI指数への組み入れ、上海・香港ストックコネクトによる
中国株式の流動性向上は新たな投資機会を求める海外からの新規資金を
呼び込むことになりそうです。

これを受けて「チャイワン」の運用成果も良好になることが期待できますが、
これまでのトータルリターンについては中国株式に投資する他の同種ファンドと
比べて優れているとはとても言えない水準のため、果たして「チャイワン」が
良好な投資環境の恩恵を最大限に享受できるかは微妙なところです。

まとめ

中国株式は楽観的な見通しが可能と思われますが、やはり「チャイワン」の
ような高コストかつ類似ファンドと比較して十分なパフォーマンスを
出してないといわざるを得ないファンドに投資することについては、疑問に感じます。