日興アセットマネジメントが設定する、「中華圏株式ファンド」
(愛称:チャイワン)。

設定は2010年10月であり、当時はまだ毎月分配型ファンドが
毎月のように乱立していた時期でした。

しかし、「中国株で毎月分配」のコンセプトは当時としても斬新
であり、業界では驚きと懐疑の声が上がったものです。

残高は1000億円超と相対的に安定しており、中国の地政学的リスク
が高まりつつある直近でも残高は漸増傾向です。

今日は、「チャイワン」の特徴と今後の中国株式市場を交えた
ファンドの見通しについて徹底分析していきます。

中華圏株式ファンド「チャイワン」の基本情報

投資対象は?

投資対象は中国経済圏(中国・香港・台湾)の株式です。

中国株式の比率が75%程度となっています。組入銘柄数は115銘柄、
上位銘柄を見てみると、ビンアン・インシュアランス、アリババ、
ペトロチャイナとなっています。

ビンアン・インシュアランスは保険会社で、アリババは日本でいう
楽天のような会社です。ペトロチャイナはエネルギー会社ですね。

運用の特徴は?

中華圏株式ファンド「チャイワン」は、同じ日興AMが運用する
「チャイナランド株式ファンド(適格機関投資家専用)」にほぼ
100%投資します。

そこから「チャイナランド株式マザーファンド」と「中国A株マザー
ファンド」というマザーファンドを通じて運用対象の株式を買い付けて
います。

中華圏株式ファンド「チャイワン」が設定された当時、中国は外国人
による自国の上場株式への投資や人民元の保有に制限を設けていました。

具体的には、外国人が中国株式に投資するためには「QFII(適格海外
機関投資家)」と呼ばれる資格を取得しないと、自国の通貨を人民元に
両替して中国株式を購入することができなかったのです。

受益者が個人である「チャイワン」ではQFIIの資格を取得できないため、
日興アセットマネジメントは「チャイナランド株式ファンド(適格機関
投資家専用)」でQFIIを取得することで中国株式への投資を可能にして
いたものと思われます。

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性
がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

2018年5月24日現在、「チャイワン」の純資産総額は1037億円であり、
冒頭で申し上げた通り毎月分配型ファンドであるにも関わらず純資産は
安定して増加し続けています。

後述しますが、2016年後半からパフォーマンスが高く、基準価額も
ほぼ横ばいで推移していました。

他の毎月分配型のファンドは基準価額が下がり続けている中で、
現状維持できていますので、毎月分配型の乗り換えで資金が大きく
流入したのでしょう。純資産の規模はまったく問題ありませんね。

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

中華圏株式ファンド「チャイワン」の実質コストは1.741%となっており、
国際株式カテゴリーの中では、平均的な水準です。

不可解なのは購入手数料で、なぜか最大で3.78%もかかります。

販売会社が投資信託の販売に要する事務コストは投資対象が日本株で
あろうと中国株であろうと変わらないはずなので、販売会社に
「チャイワン」を優先的に売らせるべくこのようなインセンティブを
与えたと見るべきでしょう。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.78%(税込)
信託報酬 1.728%(税込)
信託財産留保額 0.5%
実質コスト 1.741%(概算値)

実質コストを加味しても、チャイワンよりはるかに優れた海外株式ファンドランキング

中華圏株式ファンド「チャイワン」の評価分析

基準価格の推移は?

チャイワン」の基準価額は直近3年間で約3分の1程度まで下落して
います。

他の毎月分配型ファンドに近似した基準価額ですが、「チャイワン」
の分配原資は全てファンドの収益であり、いわゆるタコ足配当は
行っていません。

それにも関わらず、毎月80円もの分配金を出している点は素晴らしい
と思いますが、それならば多少でも分配金利回りを抑えた方が基準価額
にはプラスになり複利効果も得られるため、この点については一考して
欲しいと思います。

※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

チャイワンの利回りを見てみましょう。

直近1年間の利回りは▲19.20%となっています。

3年平均利回りもマイナスとなっており、米中貿易問題に端を発する
株式市場の下落の影響をもろに受けた形ですね。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 ▲19.20% 64%
3年 ▲3.23% 73%
5年 4.65% 76%
10年

※2018年12月時点

標準偏差は?

チャイワンの標準偏差を見てみると、同カテゴリー内でも平均以下
となっています。

パフォーマンスも悪く基準価額のブレも大きいようだと投資する
気にはなれません。

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 19.58 75%
3年 18.86 38%
5年 22.01 52%
10年

※2018年12月時点

年別のパフォーマンスは?

チャイワンの年別の運用パフォーマンスも見てみましょう。

大きくプラスのリターンを出している年もありますが、マイナスと
なっている年の下落幅が大きく、相殺してしまっていますね。

年間利回り
2018年 ▲13.52(9月末)
2017年 34.12%
2016年 ▲15.06%
2015年 2.65%
2014年 34.23%

※2018年12月時点

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最大下落率は?

投資するのであれば、物件満彩がどの程度下落する可能性があるのか
は知っておきたいところです。

もちろん標準偏差から変動幅を予測することはできますが、やはり
過去にどの程度下落したことがあるのかを調べるのがよいでしょう。

チャイワンは、2015年6月~2016年5月で最大▲41.51%の下落と
なっています。

リーマンショックでなくても40%超の下落を記録していますので、
相場が荒れるとさらに大きい下落が起きるかもしれません。

考えなしの長期保有が自分の首を絞めますが下落したからといって
すぐ売却してしまうと一番損失が大きくなりますので、注意して
くださいね。

期間 下落率
1カ月 ▲19.23%
3カ月 ▲31.91%
6カ月 ▲25.57%
12カ月 ▲41.51%

※2018年12月時点

分配金の推移と分配金余力は?

直近まで120円の分配がありましたが、2018年の4月から80円に
減額されています。

もともと分配利回りが30%と異常に高かったので、減額は仕方ない
ことでしょう。

分配金余力は50カ月程度ありますが、分配利回りは35%を超える
異常事態となっていますので、減配される可能性も視野にいれて
おいたほうがいいでしょう。

まず間違いなく今の水準を維持するのは不可能です。

分配金 当期収益以外 繰越対象額
91期 80円 4,250円
92期 80円 4,252円
93期 80円 4,253円
94期 80円 4,254円
95期 80円 4,257円
96期 80円 4,259円

評判はどう?

チャイワンの評判を知るうえで、月々の資金流出入額が参考になります。

資金が流入超過となっていれば、ファンドを購入している人が多い
ということになりますので、評判が良くなっているということです。

チャイワンへの評判は、銀行が積極的に販売するようなタイプの
ファンドでは無いため証券会社で購入した人が大層だと思われますが、
中国株式が投資対象であることと毎月分配型ファンドである点に
ネガティブなコメントが多いようです。

パフォーマンスの悪化に伴い、資金流出が続いおり、今後は流出が
続くと思われます。

中華圏株式ファンド「チャイワン」の今後の見通し

中国株式の値動きについては、2017年ほどの力強い動きは望み
にくいものの、企業業績の向上や各種経済統計データの良好な
数値にみられる通り引き続き緩やかに上昇していくと考えられます。

特に中国A株のMSCI指数への組み入れ、上海・香港ストックコネクト
による中国株式の流動性向上は新たな投資機会を求める海外からの
新規資金を呼び込むことになりそうです。

これを受けて「チャイワン」の運用成果も良好になることが期待
できます。

しかし、これまでのトータルリターンについては中国株式に
投資する他の同種ファンドと比べて優れているとはとても言えない
水準のため、果たして「チャイワン」が良好な投資環境の恩恵を
最大限に享受できるかは微妙なところです。

中国株式は楽観的な見通しが可能と思われますが、やはり
「チャイワン」のような高コストかつ類似ファンドと比較して
十分なパフォーマンスを出してないといわざるを得ないファンド
に投資することについては、疑問に感じます。

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