フィデリティ・USリート・ファンドと並び、かつて純資産総額が
1兆円をこえていたフィデリティ・USハイ・イールド・ファンド。

直近3年ほどは運用実績も芳しくなく、高い分配金をタコ足配当で
出していたため、基準価額が恐ろしい勢いで下落しています。

私のお客様でもフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドを保有している方が複数名おり、
実際どうすればよいかよく聞かれるので、私なりにこちらのファンドを
分析してみました。ぜひ参考にしてください。

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの基本情報

投資対象は?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドは米ドル建ての高利回り事業債
(ハイ・イールド債)を中心に500銘柄以上に分散投資をしています。

ハイ・イールド債とはいうのは、ムーディーズやS&P社といった格付機関が、
債券の元本・利息が償還時まで、どの程度確実に支払われるかを評価しており、
下記の分類される債権がハイ・イールド債と呼ばれます。


※引用:交付目論見書

信用度が低くなればなるほど、デフォルトになる可能性が高く、
その分利回りは高くなります。

投資家目線で言えば、利回りは高いに越したことはありませんが、
注意してほしいのは、ハイ・イールド債は投資のプロである機関投資家が
「投資不適格」と判断し、通常であれば投資をしない債券です。

分散することでリスクヘッジはしていますが、プロから見ると、
そこまで魅力的な債券ではないということは理解しておいてください。

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの現在の格付別の比率は
以下のようになっています。


※引用:マンスリーレポート(2018年10月時点)

運用体制は?

運用体制は、フィデリティグループはハイ・イールド債券の運用実績が35年超あり、
ハイ・イールド債券専任の運用・調査メンバーが40名ほどおり、かなり充実した
運用体制となっています。

債券アナリストは200名を超える株式アナリストが常に情報共有し、
多面的に債券の発行体企業の分析を行っています。

ファンドマネージャーのスティーブ・ビューラーは2003年12月以来、15年ほど、
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドのマネージャーを務めているベテランです。

世界的に見ても、ここまで運用体制が充実していることは滅多にありませんね。

純資産総額は?

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買できなかったり、コストが
嵩みますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの純資産総額は、約6700億円となっています。
一時期は1兆円を超えていたので、そこから考えるとかなり規模は小さくなりましたが、
それでもまだ巨大ファンドです。


※引用:マンスリーレポート(2018年10月時点)

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの実質コストは1.633%とカテゴリー平均よりは
安くなっています。ただ、購入手数料と合わせると5%近く初年度は取られるので、
購入は慎重にならざるを得ません。

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.62%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.633%(概算値)

※引用:第12期 運用報告書(決算日10月27日)

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの評価情報

基準価額をどう見る?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの直近3年の基準価額の推移でみると、
見事に右下がりになっています。約30%も下落しています。

分配金再投資基準価額(青線)を見ると、右肩上がりに上昇していますので、
基準価額が下落しているのは、分配金を過剰に出しているからです。


※引用:モーニングスターWEBサイト

利回りはどれくらい?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの直近1年の利回りは0.04%、3年、5年、10年
で見ても、常にプラスのリターンとなっており、特に長期の5年、10年の平均利回りでは、
カテゴリーのランキングでも一桁に入っていますので、高い成果を出していることがわかります。

ただ、やはり毎月分配型かつタコ足配当をしているファンドというのが残念でなりません。

※引用:モーニングスターWEBサイト

四半期別のパフォーマンスは?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの四半期別のパフォーマンスを見てみましょう。
こうしてみると、年間でプラスの年も多く、悪くないパフォーマンスであることがわかります。

※引用:モーニングスターWEBサイト

類似ファンドとのパフォーマンス比較

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドに投資するうえで、類似ファンドとの比較は
しておきたいところです。今回は、ハイ・イールド債券のインデックスファンドである
iシェアーズ ハイ・イールド債券インデックスと比較してみました。

結果は、フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドのほうが優れており、
ハイ・イールド債券に投資をしたいのであれば、フィデリティ・USハイ・
イールド・ファンドのほうがおすすめできますね。

※引用:モーニングスターWEBサイト

分配金の推移と分配金余力は?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの分配金は、
2016年には毎月70円ありましたが、2017年には50円となり、
現在は30円にまで減額されています。

分配金余力は38か月ほどありますので、まだ余裕はありますが、
基準価額に対する分配金の割合を示す分配利回りが約10%と高く、
ファンドの収益力と見合っていません。

※引用:モーニングスターWEBサイト

評判はどう?

「ジャンク債なんて買うもんじゃない」
「毎月分配型の投資信託なんて今すぐ解約したほうがいい」
「USハイ・イールド債って今買っても大丈夫なんでしょうか?」

表面的な理解だけをして、このファンドのことを悪く言っている書き込みも
一部にはありますが、多くの方がこのファンドって良いのか悪いのかよくわからないと、
判断に困っているようなコメントが多くみられました。

ネットの書き込み以外に、当ファンドの評判を確認できる月次資金流出入額を見てみましょう。

2017年はフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドのパフォーマンスも悪くなかったため、
資金が流入していたのですが、11月に分配金を50円から30円に下げたタイミングで
資金の大きな流出が起きました。

そして今年に入ってからはパフォーマンスもすぐれないため、資金の流出が加速しています。
資金が流出しているということは、それだけ評判が悪いということです。

※引用:モーニングスターWEBサイト

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド今後の見通し

一般的に金利の上昇局面では、債券の価格は下落します。
そのため、債券型のファンドも基準価額が下がります。

ただ、ハイ・イールド債は企業の債券を購入していますので、
少し事情が変わってきます。

通常、金利の上昇局面というのは、企業の業績が回復し、信用力や格付も
向上するため、良好なパフォーマンスが期待できるというわけです。

直近の米国経済は、引き続き回復基調で、米国の企業景況感もしっかりしています。
当面企業のデフォルト率も低位で推移すると思われます。

しかし、さきほども言った通り、現在のこのファンドの運用実績から考えて年利6~7%が
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの収益力は限界でしょう。

そうすると、今の基準価額からして、毎月20円程度の分配金が適正です。
段階的にではありますが、引き続き切り下げが行われると思います。

一方で、分配金を下げると多くの投資家が解約し、純資産総額が減るため、
運用会社、販売会社は一番嫌がりますので、対応が遅くなりがちです。
そうすると、ファンドの運用実績より高い分配金を払い続けるわけですから、
今後も基準価額が下がり続けるでしょう。

ちなみに分配金余力は約38か月となっていますので、約3年くらいは配当を受けられますが、
あくまでもその配当はあなたが支払った元本が戻ってきているだけなので、
くれぐれも勘違いしないでくださいね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
長期の運用パフォーマンスや運用体制から見ると、自分のポートフォリオに組み込んでも
悪くはないファンドなのですが、毎月分配型になっているのがすべての元凶です。

アクティブファンドであれば、他にも優れたファンドがある中で、あえてこのファンドを
選択するというのは私の考えにはありませんね。