フィデリティ・USリート・ファンドと並び、かつて純資産総額が
1兆円をこえていたフィデリティ・USハイ・イールド・ファンド。

直近3年ほどは運用実績も芳しくなく、高い分配金をタコ足配当で
出していたため、基準価額が恐ろしい勢いで下落しています。

私のお客様でもフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドを
保有している方が複数名おり、実際どうすればよいかよく聞かれる
ので、私なりにこちらのファンドを分析してみました。

ぜひ参考にしてください。

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの基本情報

投資対象は?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドは米ドル建ての
高利回り事業債(ハイ・イールド債)を中心に500銘柄近くに
分散投資をしています。

ムーディーズやS&P社といった格付機関が、債券の元本・利息が
償還時まで、どの程度確実に支払われるかを評価しており、
下記の分類される債券をハイ・イールド債と呼んでいます。


※引用:交付目論見書

信用度が低くなればなるほど、デフォルトになる可能性が高く、
その分利回りは高くなります。

投資家目線で言えば、利回りは高いに越したことはありませんが、
注意してほしいのは、ハイ・イールド債は投資のプロである機関投資家が
「投資不適格」と判断し、通常であれば投資をしない債券です。

分散することでリスクヘッジはしていますが、プロから見ると、
そこまで魅力的な債券ではないということは理解しておいてください。

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの現在の格付別の比率は
以下のようになっています。


※引用:マンスリーレポート

運用体制は?

運用体制は、フィデリティグループはハイ・イールド債券の
運用実績が35年超あり、ハイ・イールド債券専任の運用・調査
メンバーが40名ほどおり、かなり充実した運用体制となっています。

債券アナリストは200名を超える株式アナリストが常に情報共有し、
多面的に債券の発行体企業の分析を行っています。

ファンドマネージャーのスティーブ・ビューラーは2003年12月以来、
15年ほどフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドのマネージャー
を務めているベテランです。

世界的に見てもここまで運用体制が充実していることは滅多に
ありませんね。

純資産総額は?

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買でき
なかったり、コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイント
の1つです。

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの純資産総額は、
約6200億円となっています。

一時期は1兆円を超えていたので、そこから考えるとかなり規模は
小さくなりましたが、それでもまだ巨大ファンドです。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの実質コストは1.64%と
カテゴリー平均よりは安くなっています。

ただ、購入手数料と合わせると5%近く初年度は取られるので、購入は
慎重にならざるを得ません。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.62%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.64%(概算値)

※引用: 運用報告書(決算日2019年5月22日)

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの評価情報

基準価額をどう見る?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの直近3年の基準価額
の推移を見ると、約15%ほど下落していることがわかります。

分配金を受け取らずに運用を続けた場合の分配金再投資基準価額(青)
は約3年間で20%ほど上昇していますので、分配金を過剰に出して
いることがわかります。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの直近1年の利回りは
3.05%です。

3年、5年、10年で見ても、常にプラスのリターンとなっており、
同カテゴリー内では常に上位30%以内に入っているので、優れた
パフォーマンスであることがわかります。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 3.05% 66%
3年 8.53% 23%
5年 5.16% 6%
10年 9.05% 21%

※2019年7月時点

標準偏差は?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの標準偏差を見てみると、
同カテゴリー内でのランクは平均よりは上位にランクインしています。

パフォーマンスも優れていますので、この標準偏差であれば、十分
なのではないでしょうか。

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じで
しょうか?

まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいて
くださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 9.94 47%
3年 9.06 46%
5年 10.41 38%
10年 11.34 50%

※2019年7月時点

年別のパフォーマンスは?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの年別のパフォーマンス
を見てみましょう。

2015年、2018年はマイナスになっていますが、それ以外の年では
しっかりとプラスのリターンを出すことができています。

ただ、基準価額に対する分配金を示す分配利回りのほうが上回って
いますので、これではタコ足配当になって当然です。

年間利回り
2019年 7.23%(1-6月)
2018年 ▲6.19%
2017年 4.50%
2016年 10.26%
2015年 ▲4.41%
2014年 17.10%

※2019年7月時点

類似ファンドとのパフォーマンス比較

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドに投資するうえで、
類似ファンドとの比較はしておきたいところです。

今回は、ハイ・イールド債券のインデックスファンドである
iシェアーズ ハイ・イールド債券インデックスと比較してみました。

結果は、フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドのほうが
優れており、ハイ・イールド債券に投資をしたいのであれば、
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドは十分に価値が
あると言えます。


※引用:モーニングスター

分配金の推移と分配金余力は?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの分配金は、
2016年には毎月70円ありましたが、2017年には50円となり、
現在は30円にまで減額されています。

また分配金のうち半分くらいが当期の収益以外から分配されており
まさにタコ足配当になっていることがわかります。

分配金余力は36か月ほどありますので、まだ余裕はありますが、
基準価額に対する分配金の割合を示す分配利回りは10%を超えて
おり、この調子で運用を続ければ、基準価額の下落とそれに伴い
減配されることは疑いようがありません。

分配金 当期収益以外 繰越対象額
173期 30円 15円 1,054円
174期 30円 14円 1,040円
175期 30円 12円 1,027円
176期 30円 15円 1,012円
177期 30円 13円 999
178期 30円 17円 981

 

評判はどう?

「ジャンク債なんて買うもんじゃない」
「毎月分配型の投資信託なんて今すぐ解約したほうがいい」
「USハイ・イールド債って今買っても大丈夫なんでしょうか?」

表面的な理解だけをして、このファンドのことを悪く言っている
書き込みも一部にはありますが、多くの方がこのファンドって
良いのか悪いのかよくわからないと、判断に困っているような
コメントが多くみられました。

ネットの書き込み以外に、当ファンドの評判を確認できる月次の
資金流出入額を見てみましょう。

2017年はフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドのパフォー
マンスも悪くなかったため、資金が流入していたのですが、11月に
分配金を50円から30円に下げたタイミングで資金の大きな流出が
起きました。

そして今年に入ってからはパフォーマンスもすぐれないため、
資金の流出が加速しています。

資金が流出しているということは、それだけ評判が悪いということです。


※引用:モーニングスター

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド今後の見通し

一般的に金利の上昇局面では、債券の価格は下落します。
そのため、債券型のファンドも基準価額が下がります。

ただ、ハイ・イールド債は企業の債券を購入していますので、
少し事情が変わってきます。

通常、金利の上昇局面というのは、企業の業績が回復し、
信用力や格付も向上するため、良好なパフォーマンスが
期待できるというわけです。

直近の米国経済は、引き続き回復基調で、米国の企業景況感も
しっかりしています。当面企業のデフォルト率も低位で推移する
と思われます。

しかし、さきほども言った通り、現在のこのファンドの運用実績から
考えて年利6~7%がフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの
収益力は限界でしょう。

そうすると、今の基準価額からして、毎月20円程度の分配金が適正です。
段階的にではありますが、引き続き切り下げが行われると思います。

一方で、分配金を下げると多くの投資家が解約し、純資産総額が
減るため、運用会社、販売会社は一番嫌がりますので、対応が遅く
なりがちです。

そうすると、ファンドの運用実績より高い分配金を払い続けるわけ
ですから、今後も基準価額が下がり続けるでしょう。

ちなみに分配金余力は約33か月となっていますので、約3年くらいは
配当を受けられますが、あくまでもその配当はあなたが支払った元本が
戻ってきているだけなので、くれぐれも勘違いしないでください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

長期の運用パフォーマンスや運用体制から見ると、自分のポートフォリオ
に組み込んでも悪くはないファンドなのですが、毎月分配型になっている
のがすべての元凶です。

アクティブファンドであれば、他にも優れたファンドがある中で、あえて
このファンドを選択するというのは私の考えにはありませんね。

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