2~3年前に大手の販売会社が積極的に販売したことにより、何も知らない
無知の投資家が続々と購入してしまったフィデリティ・USリート・ファンドB。

私のお客様の中にも、とりあえず月々配当がもらえるなら買っておこうということで
手を出している人達が何人もいます。

では、実際のところ、フィデリティ・USリート・ファンドBはどうなのでしょうか?
専門家の目線で詳しく解説していきます。

フィデリティ・USリート・ファンドBの基本情報

投資対象は?

まずフィデリティ・USリート・ファンドBは米国に上場している
不動産投資信託(リート)に投資を行います。

リートとは、多数の投資家から資金を集めて、オフィスビル、商業施設、住宅などの
様々な形態の不動産を取得・管理・運用するファンドのことです。

組入業種別でみると、オフィス、住宅への投資比率が高くなっています。


※引用:マンスリーレポート

また、組み入れ銘柄は51銘柄で、米国リート市場全体で150銘柄ほどありますので、
3分の1程度に絞り込んでいます。

運用体制は?

フィデリティ・USリート・ファンドBのマザーファンドのファンド・マネージャーの
スティーブ・ビューラーは約20年の豊富なリートの運用・調査経験を持っており、
2003年から一貫して運用に携わっています。

経験10年以上のリート専任のアナリストチームがあり、徹底した銘柄調査をもとに
組み入れる銘柄を厳選しています。調査体制としては十分な体制になっていると言えますね。

純資産総額は?

続いて、フィデリティ・USリート・ファンドBの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買できなかったり、
コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

フィデリティ・USリート・ファンドBは6600億円程度の規模があり、
未だに非常に人気のあるファンドとなっています。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

フィデリティ・USリート・ファンドBの実質コストは1.582%となっており、
同カテゴリーの中では安い水準です。とは言ったものの、購入時手数料も
かなり高めの設定なので、そう簡単には手を出せません。

購入時手数料 3.78%(税込)※上限
信託報酬 1.512%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 1.582%(税込)

※引用:第177期運用報告書(決算日:2018年9月18日)

フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)の評価分析

基準価額をどう見る?

フィデリティ・USリート・ファンドBの直近3年間の基準価額の推移を見ると、
綺麗な右肩下がりのグラフになっています。

これはひとえに分配金を過剰に出し過ぎているためですが、分配金再投資の基準価額の推移を
見ても、ほぼ横ばいですので、運用もうまくいっていないことがわかります。


※引用:モーニングスターWEBサイト

利回りはどれくらい?

つづいてフィデリティ・USリート・ファンドBの利回りを見てみましょう。
直近1年間の利回りは+1.41%とさえませんが、5年、10年の平均利回りは8%を超えており、
優秀なパフォーマンスを残していることがわかります。

分配金を過剰に出していなければ、十分検討に値するファンドと言えるでしょう。


※引用:モーニングスターWEBサイト

四半期別のパフォーマンスは?

フィデリティ・USリート・ファンドBの四半期別のパフォーマンスを見てみましょう。
2015年以降は、ぱっとしないパフォーマンスとなっていますが、2014年に大きく
プラスになったことが寄与しているようです。


※引用:モーニングスターWEBサイト

類似ファンドとのパフォーマンスの差は?

フィデリティ・USリート・ファンドBに投資をするのであれば、同じくUSリートに
投資をしている類似ファンドとパフォーマンスの比較をしておきたいところです。

今回は、ダイワUS・REITと新光US-REITオープンと比較をしてみました。ご覧の通り、
フィデリティ・USリート・ファンドBが一番パフォーマンスで優れていますので、
あえて投資をするのであれば、フィデリティ・USリート・ファンドBで間違ってはいない
と思います。


※引用:モーニングスターWEBサイト

最大下落率は?

投資を検討するのであれば、基準価額がどの程度下落する可能性があるのは知っておきたいところです。
標準偏差からある程度は予測できますが、最大下落率を直接確認したほうがイメージがわきますね。

フィデリティ・USリート・ファンドBは2008年4月~2009年3月の間に最大▲64.20%も下落しています。
リートはリスクが低いと思われがちですが、下落するときは大きく下落しますので、その点は
心にとめておきましょう。


※引用:モーニングスターWEBサイト

分配金の推移と分配余力は?

フィデリティ・USリート・ファンドBの分配金の状況を見ていきましょう。
2016年には100円あった分配金が、2017年に70円になり、さらに35円にまで減額されています。

これは、基準価額あたりの分配金の額を示す分配利回りが20%を超えており、無理な配当を
続けたことが大きな要因です。

現在でも分配利回りは16%ほどですので、フィデリティ・USリート・ファンドBの収益力を
はるかに上回る分配をしていることになります。

分配金余力は200か月以上ありますので、安心ですが、基準価額が下がり続けていますので、
注意は必要ですね。

※引用:モーニングスターWEBサイト

評判はどう?

直近の実績を見れば、何となく想像がつくと思いますが、
「投資に疎い老人たちをカモにしている詐欺ファンド」
「どうしようもない毎月分配型投資信託」
「即刻解約すべき」「売りつけた販売員を訴えろ」
といったかなり厳しいコメントが投稿されています。

そして、評判をはかる指標として月次の資金流出入額が参考になります。
流出しているということは解約者が多いということなので、評判が悪い
ということです。

フィデリティ・USリート・ファンドBは、2017年から毎年資金が流出しており、
評判はよくないことがわかりますね。

※引用:モーニングスターWEBサイト

フィデリティ・USリート・ファンドBの今後の見通し

今後の見通しについて私見を述べたいと思いますが、米国経済自体は堅調に推移していますし、
米国リートの価格もかなり低水準で推移をしていることから、トランプリスクはあるものの、
今後ある程度は回復が見込める市場だとは思っています。

実際、運用体制等はベテランのファンドマネージャーやアナリストが揃っていますし、
10年間の長期で見てもしっかりカテゴリーの中で上位のパフォーマンスを発揮できている
ことからも、ある程度は挽回が期待できると思います。

ただ、挽回できると言っても、年利で6~7%程度だと思いますので、分配金をすべて
運用益でカバーするために必要な年利15%での運用は難しく、基準価額の下落、もしくは
配当金の減額は避けられないでしょう。

毎月分配金をもらえていると、自分のファンドがどのような状況(タコ足配当)に
なっているのか気づくのに遅くなりがちです。

毎月分配型の投資信託は今でも年金変わりの手段として非常に人気がありますが、
毎月年金のように配当金を受け取れるという表面的なメリットだけに
フォーカスしていてはいけません。

銘柄の選定においては、あなたが選んだ投資信託がしっかりと
利益を上げてくれなければ、意味がありません。

もしまだフィデリティ・USリート・ファンドBを保有している人がいたら、
即刻乗り換えることをお勧めします。あなたがモタモタしている間に、
他のファンドでは、収益が上がっていますよ。