ここ数年、なかなか良い結果が出ていない米国リートですが、未だ根強い人気がある
岡三アセットのワールド・リート・セレクション(米国)『愛称:十二絵巻』。

十二絵巻は、毎月決算型と1年決算型、為替ヘッジありと為替ヘッジなしの4種類が
ありますが、今日は、一番人気が高い毎月決算型の為替ヘッジなしについて
徹底分析していきます。

1年決算型を保有している、もしくは検討している人にも役立つように
書いていますので、参考にしてみてください。

ワールド・リート・セレクション(米国)『十二絵巻』の基本情報

投資対象は?

十二絵巻の投資対象は、USリート・マザーファンドはの投資を通じて、米国のリートに
投資していきます。リートとは、投資家から集めた資金を不動産(オフィスビル、
賃貸マンション、ショッピングセンター、ホテル等)に投資し、不動産から
得た賃貸収入や売却益を投資家に分配する仕組みの商品です。


※引用:交付目論見書2018年10月版

組入銘柄数は35銘柄となっており、米国リートの銘柄数が226銘柄ですので、
かなり絞り込んで運用していることがわかります。細かく組入銘柄をみても、
イメージがわかないと思いますので、セクター別の構成比を見ていきましょう。

様々なセクターに満遍なく分散投資していることがわかります。米国リート全体の
ポートフォリオとそこまで大きく変わっていませんね。


※引用:マンスリーレポート2018年10月

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、
あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることが
できなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えが
うまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべき
ポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

十二絵巻は現在、500億円ほどあり、規模としては全く問題ありません。
毎月分配型ファンドに対する風当たりが強くなっていることと、パフォーマンスが
優れないため、資金の流出が続いているといった状況です。


※引用:マンスリーレポート2018年10月

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

十二絵巻の実質コストは1.75%となっています。前期が1.843%だったので、
少しコストが下がりました。とは言っても、購入時手数料と併せると、初年度は
5%以上取られますので、おすすめしづらいファンドです。

購入時手数料 3.24%(税込)※上限
信託報酬 1.62%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 1.75%(概算値)

※引用:第180期 運用報告書(2018年9月12日)

ワールド・リート・セレクション(米国)『十二絵巻』の評価分析

基準価額をどう見る?

十二絵巻の基準価額は現在、2100円程度となっています。

3年前の水準から考えると、40%ほど基準価額が下落していることになり、
完全に過剰な分配を続けてきた結果といえます。

分配金再投資の基準価額(青線)を見ても、3000~3500円をうろうろしている
ことから、運用もうまくいっていないことがわかります。


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

利回りはどれくらい?

十二絵巻の直近1年間の利回りは+1.76%となっています。
5年平均利回りや10年平均利回りは悪くないパフォーマンスとなっていますが、
直近のパフォーマスが全くダメです。今後の復調に期待したいところですね。

将来リターンについては、標準偏差から計算できますので、ご自身で計算してみてください。
計算方法に自信がない方はこちらをご参考に。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

四半期別のパフォーマンスは?

十二絵巻の四半期別のパフォーマンスは以下のようになっています。
直近3~4年はパフォーマンスが優れないため、資金が流出し続けていますが、
そろそろパフォーマンスが上向いてきても良いころです。

※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

類似ファンドとのパフォーマンス比較

十二絵巻に投資をするのであれば、同じように米国リートに投資をしている
毎月分配型ファンドと比較をしておいて損はありません。

今回は、未だに大人気のフィデリティ・USリートとダイワ・ US-REITと
パフォーマンスを比較してみましょう。結果は十二絵巻の惨敗です。

米国リートに投資をするのであれば、フィデリティ・USリートのほうがおすすめと言えます。

※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

最大下落率はどれくらい?

投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性があるのか知っておくことは
非常に重要です。先に下落幅を知っておくことで、大きく下落したときも、
慌てて売らずに冷静な判断ができるようになります。

十二絵巻の最大下落率は、2008年4月~2009年3月で▲65.16%となっています。
リターンのわりに、下落したときのインパクトが大きすぎるので、正直、保有したい
と思えないです。


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

分配金の推移は?

つづいて分配金の推移を見てみましょう。

十二絵巻は2014年から毎月40円の配当を出し続けていましたが、
2017年末に分配金を半分に切り下げました。これは、
分配金余力が20カ月を切りそうだったために行われたものです。

しかし、基準価額に対する分配金の割合を示す分配利回りをみると、
現時点でも約10%ほどあり、ファンドの収益力を遙かに上回っています。

そのため基準価額の下落には歯止めがかからず、
分配金もまた減額するしかなくなるでしょう。


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

評判はどう?

十二絵巻の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流出しているということは、それだけこのファンドを
解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。

十二絵巻は、分配金が減額となった2017年末から資金流出超過となっており、
評判はよくないと言えますね。


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

ワールド・リート・セレクション(米国)『十二絵巻』の今後の見通し

米国リート市場で、長期金利上昇によるリートの資金調達環境の悪化の懸念はある
ものの、リート業績拡大やバリュエーション面での割安感が相場を下支えする要因となり、
底堅い展開が予想されます。

トランプ大統領に翻弄されている部分は大いにありますが、米国の景気は
拡大傾向を続けており、堅調な不動産需要が続くと予想ができます。

ただ、リート市場が好調だったとしても、期待できる利回りは1桁後半であり、
10%以上の利回りを毎年維持することは不可能に近いです。

そうすると、現在の十二絵巻の分配利回りは約10%もあるので、過剰な分配が
続いており、どちらにしても基準価額の下落と、分配金の減額は避けては通れないでしょう。