ここ数年、なかなか良い結果が出ていない米国リートですが、未だ
根強い人気がある岡三アセットのワールド・リート・セレクション
(米国)『愛称:十二絵巻』。

十二絵巻は、毎月決算型と1年決算型、為替ヘッジあり/なしの
4種類がありますが、今日は、一番人気が高い毎月決算型の
為替ヘッジなしについて徹底分析していきます。

1年決算型を保有している、もしくは検討している人にも役立つように
書いていますので、参考にしてみてください。


ワールド・リート・セレクション(米国)『十二絵巻』の基本情報

投資対象は?

十二絵巻の投資対象は、USリート・マザーファンドはの投資を
通じて、米国のリートに投資していきます。

リートとは、投資家から集めた資金を不動産(オフィスビル、
賃貸マンション、ショッピングセンター、ホテル等)に投資し、
不動産から得た賃貸収入や売却益を投資家に分配する仕組みの商品です。


※引用:交付目論見書

組入銘柄数は38銘柄となっており、米国リートの銘柄数が約200銘柄
ですので、かなり絞り込んで運用していることがわかります。

細かく組入銘柄をみても、イメージがわかないと思いますので、
セクター別の構成比を見ていきましょう。

様々なセクターに満遍なく分散投資していることがわかります。
米国リート全体のポートフォリオとそこまで大きく変わっていませんね。


※引用:マンスリーレポート

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性が
ありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

十二絵巻は現在、460億円ほどあり、規模としては全く問題ありません。
毎月分配型ファンドに対する風当たりが強くなっていることと、
パフォーマンスが優れないため、資金の流出が続いているといった状況です。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが
通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

十二絵巻の実質コストは1.78%となっています。購入時手数料と併せると、
初年度は5%以上取られますので、おすすめしづらいファンドです。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.65%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 1.78%(概算値)

※引用:最新運用報告書

実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。

無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ワールド・リート・セレクション(米国)『十二絵巻』の評価分析

基準価額をどう見る?

十二絵巻の基準価額は3年前から見ると、25%ほど下落を
しています。

分配金を受け取らずに運用した場合の基準価額(青線)は
3年間で約20%上昇していることから見て、運用はそこまで
うまくいっていないことがわかります。

運用はうまく行っているにもかかわらず基準価額が下落を
続けているのは、過剰な分配金の支払いを続けているから
ですね。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

十二絵巻の直近1年間の利回りは+24.81%となっています。

総じて悪くない利回りのように見えますが、グローバル
REITカテゴリーでは、平均以下のパフォーマンスなので、
ファンドの選定は慎重に行う必要があります。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 24.81% 10%
3年 5.02% 58%
5年 2.10% 70%
10年 10.24% 44%

※2020年1月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外REIT ランキング

標準偏差は?

標準偏差は基準価額の変動幅の大きさを比較するのに役立ちます。

米国リートの標準偏差は昨年まで14~15くらいありましたので、
今年はだいぶ落ち着いていた印象です。

J-REITの場合は標準偏差が7~8%程度なので、十二絵巻はそれより
少し値動きが大きいことがわかります。

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 10.45 47%
3年 12.52 62%
5年 14.39 47%
10年 15.93 13%

※2020年1月時点

年別のパフォーマンスは?

十二絵巻の年別のパフォーマンスは以下のようになっています。

2014年に50%近くのリターンを出して以来、なかなかパフォー
マンスも優れませんでしたが、2019年は20%以上のリターンと
なりました。

目的にもよりますが、この程度のパフォーマンスであれば、
先進国株式のインデックスファンドなどに投資をしたほうが
はるかにあなたの資産は増えるはずです。

年間利回り
2019年 24.81%
2018年 ▲8.32%
2017年 1.74%
2016年 ▲3.84%
2015年 ▲0.90%
2014年 47.44%

※2020年1月時点

類似ファンドとのパフォーマンス比較

十二絵巻に投資をするのであれば、同じように米国リートに投資を
している毎月分配型ファンドと比較をしておいて損はありません。

今回は、未だに大人気のフィデリティ・USリートダイワ・ US-REIT
とパフォーマンスを比較してみましょう。

結果はわずかではありますが、ダイワ・US-REITが優れている
ようです。

ただ、根本的にどのファンドもタコ足配当をつづけているので、
おすすめはできません。


※引用:モーニングスター

最大下落率はどれくらい?

投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性があるのか
知っておくことは非常に重要です。

先に下落幅を知っておくことで、大きく下落したときも、
慌てて売らずに冷静な判断ができるようになります。

十二絵巻の最大下落率は、2008年4月~2009年3月で▲65.16%と
なっています。

リターンのわりに、下落したときのインパクトが大きすぎるので、
正直、保有したいと思えないです。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲37.07%
3カ月 ▲57.01%
6カ月 ▲64.68%
12カ月 ▲65.16%

※2020年1月時点

分配金の推移は?

つづいて分配金の推移を見てみましょう。

十二絵巻は2014年から毎月40円の配当を出し続けていましたが、
2017年末に分配金を半分に切り下げました。

これは、分配金余力が20カ月を切りそうだったために行われたものです。

直近でもあなたが受け取っている分配金の半分以上はあなたの
投資した元本が戻ってきている状態であり、タコ足配当が続いて
います。

また、基準価額に対する分配金の割合を示す分配利回りをみると、
現時点でも約10%ほどあり、ファンドの収益力を遙かに上回っています。

そのため基準価額の下落には歯止めがかからず、分配金もまた減額
するしかなくなるでしょう。

また、このブログでは何度も言っていますが、特別な事情がない限りは
毎月分配型のファンドに投資すべきではありません。

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

分配金 当期収益以外 繰越対象額
187期 20円 9円 484円
188期 20円 19円 465円
189期 20円 17円 447円
190期 20円 11円 436円
191期 20円 20円 416円
192期 20円 16円 400円

評判はどう?

十二絵巻の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法も
ありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の
資金流出入額でしょう。

資金が流出しているということは、それだけこのファンドを
解約している人が多いということなので、評判が悪いという
ことです。

十二絵巻は、分配金が減額となった2017年末から資金流出超過
となっており、評判はよくないと言えます。

しかし直近になって、資金が流入超過となっている月が出始めて
おり、パフォーマンスが上向いてきたことで一部の投資家が
戻ってきたということでしょう。


※引用:モーニングスター

ワールド・リート・セレクション(米国)『十二絵巻』の今後の見通し

米国リート市場で、長期金利上昇によるリートの資金調達環境の悪化
の懸念はあるものの、リート業績拡大やバリュエーション面での
割安感が相場を下支えする要因となり、底堅い展開が予想されます。

トランプ大統領に翻弄されている部分は大いにありますが、
米国の景気は拡大傾向を続けており、堅調な不動産需要が続くと
予想ができます。

ただ、リート市場が好調だったとしても、期待できる利回りは
1桁後半であり、10%以上の利回りを毎年維持することは不可能に
近いです。

そうすると、現在の十二絵巻の分配利回りは約10%もあるので、
過剰な分配が続いており、どちらにしても基準価額の下落と、
分配金の減額は避けては通れないでしょう。