最近流行りの8資産への分散投資だけでなく、リスクも一定範囲内に
抑えることで、投資初心者の心を鷲づかみにしている『しあわせの一歩』。

耳障りのよい言葉がならんでいるので、何となく安心だと思ってしまい
がちですが、冷静に考えれば、なぜ投資するのかよくわからなくなる
ファンドです。

今日は、リスク抑制世界8資産バランスファンド『しあわせの一歩』について
徹底的に分析していきます。

リスク抑制世界8資産バランスファンド『しあわせの一歩』の基本情報

投資対象は?

まず投資対象は、国内外の8資産に分散投資を行い、中長期的に安定的な
リターンの獲得を目指します。

ファミリーファンド方式を採用しており、下記のようにパッシブファンドで
構成されています。


※引用:交付目論見書

運用の特徴は?

運用の大きな特徴として、ポートフォリオの変動リスクを年率2%程度に
抑えた安定的な運用を行います。

どのように抑えるのかということですが、下図のように、各アセットクラスごとに、
価格の変動要因が違いますので、価格変動の要因となる事象を均等に配分することで、
分散効果が最大化するように比率を調整しています。


※引用:交付目論見書

リスク2%ということなので実際は下図のように国内債券や先進国債券で
投資比率が70%超となっており、株式の比率は実質10%以下しかありません。
リスクを極力抑えたポートフォリオになっています。

たしかにリスクは抑えられているわけですが、安定資産部分がコスト
負けしていないか必ずチェックしなければいけません。コスト負けする
ようであれば、そもそも現金で保有をしていたほうがよいことになります。


※引用:マンスリーレポート

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額と
いうのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることが
できなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えが
うまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべき
ポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

リスク抑制世界8資産バランスファンド『しあわせの一歩』はすでに
1200億超集まっており、リスクを敬遠しがちな日本の投資家にとても
人気が高いようです。

ファンドの規模としてはまったく問題ありません。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

リスク抑制世界8資産バランスファンド『しあわせの一歩』の実質コストは
0.767%となっており、通常のアクティブファンドよりコストは低いですが、
実際このファンドが購入しているのは、超低コストのインデックスファンドなので、
それを考慮すると決して安いとは言えません。むしろ高いと言えるでしょう。

購入時手数料 1.10%(税込)※上限値
信託報酬 0.759%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 0.767%(概算値)

※引用:最新運用報告書

本当に『しあわせの一歩』に投資して大丈夫?しあわせの一歩よりはるかに優れたアクティブファンド特集

リスク抑制世界8資産バランスファンド『しあわせの一歩』の評価分析

基準価額をどう見る?

リスク抑制世界8資産バランスファンド『しあわせの一歩』の現在の
基準価額は10,500円程度となっています。

2019年に入ってから大きく基準価額が上昇しており、投資家からすると
嬉しい話ではありますが、リスクを±2%内に抑える運用をすると言って
おきながら、明らかに2%を超える運用となっています。

目論見書に記載している運用戦略からすでに逸脱しており、今は良いですが、
相場が悪くなったときに、リスクを抑えた運用が本当にできるのか疑問が
残ります。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

しあわせの一歩の直近1年間の利回りは6.38%です。同カテゴリー内
では上位20%程度に入っており、バランスファンドとしては、優秀な
パフォーマンスを残しています。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 6.38% 24%
3年
5年
10年

※引用:2019年9月時点

標準偏差は?

しあわせの一歩の基準価額の変動が大きいかを調べるには標準偏差を
確認しましょう。

標準偏差が3.00ということで、日経平均に連動するような株式ファンド
と比較すると約5分の1、J-REITなどと比べると約半分程度のリスクで
運用していることになります。

リスクが低い運用ができていると投資家も安心して基準価額の推移を
見ていられますが、そもそもリスクを±2%以内に抑える運用を目指す
と言っておきながら、±3%程度の運用を行っており、運用戦略との
乖離が見られます。

プラスのリターンが出ているうちはよいですが、マイナスリターンと
なったときに想定より大きなマイナスが出ないか心配になりますね。

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 3.00 17%
3年
5年
10年

※引用:2019年9月時点

年別のパフォーマンスは?

しあわせの一歩の年別のパフォーマンスも見てみましょう。

2017年は+2.46%、2018年は▲2.18%ということで、利益を相殺して
終わっています。

2019年は4%を超えるリターン残しており、このまま運用が続けば、
プラスリターンで終われそうですね。

年間利回り
2019年 4.38%(1-6月)
2018年 ▲2.18%
2017年 +2.46%

※引用:2019年9月時点

類似ファンドとのパフォーマンス比較

しあわせの一歩への投資を検討する上で、インデックスファンドとの
パフォーマンスを比較しておいて損はありません。

今回は、超低コストで8資産に分散投資ができるeMAXIS Slim バランス
(8資産均等型)
とパフォーマンスを比較しました。

しあわせの一歩はリスクを抑制しているので、単純な比較とは
なりませんが、パフォーマンスだけ見れば、eMAXIS Slimバランスの
圧勝となっています。

実際、これだけ利回りに差があると、しあわせの一歩に投資している
資金を2分の1にして、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)に投資を
してもパフォーマンスではほとんど変わりません。

資金を2分の1にできるので、リスクも2分の1に抑えられますし、何より
余計なコストがほとんどかからなくなります。


※引用:モーニングスター

最大下落率は?

しあわせの一歩に投資をする前に、最大でどの程度下落する
可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。

どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した
相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。

それではここでしあわせの一歩の最大下落率を見てみましょう。
最大下落率は1年間で▲2.44%となっています。これだけ下落率が
小さいと確かに魅力的に見えるのもわかりますが、本来の投資で
資産形成をしていく部分が霞んでしまいます。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲1.08%
3カ月 ▲1.65%
6カ月 ▲1.60%
12カ月 ▲2.44%

※引用:2019年9月時点

分配金の内訳と余力は?

しあわせの一歩では、年6回分配金を出しています。現在は毎月10円
の分配金となっており、分配金余力等からみても、30カ月程度は
余裕がありますので、減額される心配はほとんどしなくてもよいでしょう。

ただ、このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに
再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

分配金
2019年 50円(残1回)
2018年 60円
2017年 40円

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで
一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流入しているということは、それだけこのファンドを購入している人が
多いということなので、評判が良いということです。

リスク抑制世界8資産バランスファンド『しあわせの一歩』は直近まで
毎月資金が流入していましたが、2018年10月以降は資金が流出超過となりました。

2019年に入り、また資金流入超過となり始めており、改めてバランスファンドの
人気ぶりがうかがえます。


※引用:モーニングスター

リスク抑制世界8資産バランスファンド『しあわせの一歩』の今後の見通し

いかがでしたでしょうか?
このブログでも何度も言っていますが、リスクを取りたくないので
あれば、投資をしないほうがいいです。ムダな心労を抱えずに済みます。

このファンドで一番得をしているのは誰だと思いますか?
それは、運用会社と販売会社です。

彼らは毎年0.8%程度の手数料を取るわけですから、ファンドの収益の
半分くらいは彼らの手数料に回ってしまっています。

また、リスクを抑えた運用をしているように見えますが、実態は
利益を全く生んでいない(コスト負けしている)安定資産の比率が
高いだけです。

悪く行ってしまえば、運用利回りが小さいのは、その分運用会社に
手数料を抜き取られているからとも言えます。

大切なお金を減らしたくないという気持ちもわかりますが、そもそも
資産を増やすために投資をしようと決めた思いを忘れないでください。
増えない投資では意味がありません。

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