近年では米国株に投資ができるファンドは増えましたが、米国の中小型株に投資ができるファンドというのは実はそんなに多くありません。
その中でも10年以上前から運用されていて、最近でもモーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーやR&Iファンド大賞を受賞したのが、明治安田アセットマネジメントが運用する明治安田 米国中小型成長株式ファンドです。
今日は、明治安田 米国中小型成長株式ファンドについて徹底分析していきます。
「明治安田 米国中小型成長株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「明治安田 米国中小型成長株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「明治安田 米国中小型成長株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
明治安田 米国中小型成長株式ファンドの基本情報
投資対象は?
明治安田 米国中小型成長株式ファンドの投資対象は、米国市場の中でも中小型に分類される成長株式です。
時価総額で見ると、1~500位を大型株、501位から3000位が以降を中小型株とし、ここから銘柄を選定していきます。
銘柄選定は以下のように行っており、定量・定性分析を行い、ユニバースを絞り込んでいきます。最終的には60~90銘柄に絞り込むファンドとなっています。
明治安田 米国中小型成長株式ファンドの業種別の比率を見てみると、ソフトフェアや資本財の比率が高くなっていますね。
※引用:マンスリーレポート
現在の明治安田 米国中小型成長株式ファンドの組入銘柄数は約82銘柄となっています。組入れ銘柄上位10社を見てみると、金融や資本財の業種が多く組みれられていることがわかりますね。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、明治安田 米国中小型成長株式ファンドの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなったり、償還されてしまうこともあるので、注意が必要です。
明治安田 米国中小型成長株式ファンドの純資産総額は、現在294億くらいとなっており、規模としては問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
明治安田 米国中小型成長株式ファンドの実質コストは2.18%とかなり割高となっています。購入時手数料も高いので、なかなか投資しづらいファンドであることは間違いありませんね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 2.09%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 2.18%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
明治安田 米国中小型成長株式ファンドの評価分析
基準価額をどう見る?
続いて、明治安田 米国中小型成長株式ファンドの基準価額(黄線)の推移を見てみましょう。
直近3年間では、ゆるやかにですが下落しています。
分配金を再投資した場合の基準価額(青線)は3年間で20%程度、上昇していますので、ファンドの運用はプラスでできており、大半は分配金に回していることが分かります。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
続いて、明治安田 米国中小型成長株式ファンドの利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは+11.76%、3年、5年、10年平均利回りは7%を超えています。
悪くないパフォーマンスには見えますが、この時点でファンドの良し悪しを判断しないようにしてください。他のファンドと比較をしてから投資判断するようにしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +11.76% |
3年 | +7.77% |
5年 | +7.59% |
10年 | +11.29% |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している米国株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
明治安田 米国中小型成長株式ファンドは北米株式カテゴリーに属しています。
パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。
明治安田 米国中小型成長株式ファンドは、優れたパフォーマンスのように見えましたが、ランキングは平均以下となっていますので、もっと他に優れたファンドがあることがわかります。
上位●% | |
1年 | 80% |
3年 | 89% |
5年 | 81% |
10年 | 57% |
※2023年10月時点
年別運用パフォーマンスは?
明治安田 米国中小型成長株式ファンドの年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
20%以上のプラスの年も多く、優れたパフォーマンスに見えますが、これでも平均以下のパフォーマンスですので、北米カテゴリーのファンドがいかに好調かがわかりますね。
年間利回り | |
2023年 | +18.18%(1-9月) |
2022年 | ▲26.78% |
2021年 | +21.84% |
2020年 | +40.20% |
2019年 | +29.74% |
2018年 | ▲8.53% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとの利回り比較
明治安田 米国中小型成長株式ファンドへの投資を検討するのであれば、少なくとも低コストのインデックスファンドよりはパフォーマンスが優れていなければ投資する価値がありません。
明治安田 米国中小型成長株式ファンドは、米国株に投資をしていきますので、米国の代表的な指数であるS&P500に連動するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が大きく差を広げています。
基準価額の値動きを見ても、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが安定して上昇を続けていますし、あえて高いコストを支払って明治安田 米国中小型成長株式ファンドに投資をするメリットを感じませんね。
明治米国中小型 | Slim 米国株式 | |
1年 | +11.76% | +23.68% |
3年 | +7.77% | +23.72% |
5年 | +7.59% | +15.80% |
10年 | +11.29% | - |
※2023年10月時点
類似ファンドとの利回り比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、明治安田 米国中小型成長株式ファンドと同じように米国株に投資をしているアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
こちらも2021年までは、明治安田 米国中小型成長株式ファンドがリードしていましたが、2022年以降は米国成長株投信が大きくリードしています。
米国成長株投信は相当優秀なファンドですので、このファンドに勝つのは難しいですが、競るくらいのパフォーマンスでないと、明治安田 米国中小型成長株式ファンドを選ぶ理由がなくなってしまいますね。
長期のパフォーマンスを見ても、大きく差が開いています。
明治米国中小型 | 米国成長株B | |
1年 | +11.76% | +25.71% |
3年 | +7.77% | +18.31% |
5年 | +7.59% | +16.72% |
10年 | +11.29% | +18.21% |
※2023年10月時点
最大下落率はどれくらい?
投資をするにあたって、気になるのが「このファンドはどの程度下落することがあるのか」という点でしょう。標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際の下落幅をみたほうが心構えができます。
明治安田 米国中小型成長株式ファンドの最大下落率を見てみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲19.79% |
3カ月 | ▲25.01% |
6カ月 | ▲25.11% |
12カ月 | ▲26.78% |
※2023年10月時点
明治安田 米国中小型成長株式ファンドは2022年1月~2022年12月の1年で最大26.78%下落しました。2012年以降の運用開始なので、リーマンショックをまだ経験してないというのが大きいですね。
ただ、今後、30~40%下落することはほぼ間違いなくありますので、その程度の下落は覚悟の上投資するようにしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配金の推移は?
明治安田 米国中小型成長株式ファンドでは、株式ファンドには珍しく分配金を払い出しています。
相場状況に応じて、分配金の支払額を変えていますが、ファンドの基準価額が10,000円近辺だとすると、かなり高い分配金利回りとなっています。
直近1、2年は分配金が出ていませんが、下手に毎月分配型のREITに手を出すよりもよほど健全な運用のもと分配金を受け取れますね。
分配金 | |
2023年 | 0円 |
2022年 | 0円 |
2021年 | 3,500円 |
2020年 | 1,050円 |
2019年 | 900円 |
2018年 | 2,400円 |
※2023年10月時点
評判はどう?
明治安田 米国中小型成長株式ファンドの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけ明治安田 米国中小型成長株式ファンドを購入している人が多いということなので、評判が良くなっているということです。
明治安田 米国中小型成長株式ファンドは総じて流入している月の方が多くなっており、分配金目的の投資家が一部入ってきているのかもしれません。
※引用:モウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
明治安田 米国中小型成長株式ファンドのNISAやiDeCoの対応状況ですが、残念ながら、どちらも対応していません。
NISA | iDeCo |
× | × |
※2023年10月時点
明治安田 米国中小型成長株式ファンドの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
明治安田 米国中小型成長株式ファンドは、残念ながらパフォーマンスでeMAXIS Slim米国株式に負けてしまっており、あえて高いコストを支払って投資をするメリットはないと言えます。
また北米カテゴリー内では平均的なパフォーマンスなので、米国成長株投信のようなより優れたアクティブファンドが存在するので、あえてパフォーマンスの悪い明治安田 米国中小型成長株式ファンドに投資をするメリットも感じません。
ただ、分配金が出るという意味では、株式ファンドは値動きは大きくなりますが、REIT系の毎月分配型のタコ足配当ファンドよりはよほど健全な分配が行われていますので、分配金をどうしても受け取りたいという人は、REITよりもこちらのほうがまだマシと言えますね。
ただ、積極的におススメするファンドではないという点は抑えておいてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点