コロナショック以降、金価格が急騰しており、それに伴った
BLACK LOCKのブラックロック・ゴールド・ファンドに
注目が集まっています。
金と金鉱株は実質違うので、値動きも異なるのですが、
果たしてブラックロック・ゴールド・ファンドに投資を
する価値はあるのでしょうか。
今日は、ブラックロック・ゴールド・ファンドを徹底分析
ブラックロック・ゴールド・ファンドの基本情報
投資対象は?
まずブラックロック・ゴールド・ファンドの投資対象は、
南アフリカ、オーストラリア、カナダ、アメリカ等の
金鉱企業の株式です。
金鉱企業というのは、主に金の採掘や精錬を行う企業です。
金鉱株は金に直接投資をするのとは違いますが、一般的には
金価格と同じ方向に動く傾向があります。
ですので、実質的には、金鉱株は金の値動きと株の値動きの
2つの影響を受けるということになります。
さて、ブラックロック・ゴールド・ファンドの国別の構成比を
見てみると、約50%がカナダ、ついで、オーストラリア、
南アフリカと続きます。
このあたりは通常のファンドとは全く構成が違いますね。
※引用:マンスリーレポート
現在は40銘柄ほどに分散されており、ほぼどの企業も、
金の探査、開発、生産を行っている企業です。
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、ファンドの運用で必ず発生する
運営コストが相対的に高くなるので、ファンドのパフォーマンスを
悪化させる原因になります。
そのため、純資産総額も事前に確認すべきポイントの1つです。
ブラックロック・ゴールド・ファンドの純資産はコロナの
影響もあり、また増え始めており、現在は約220億円です。
規模としては全く問題ありません。
※マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ブラックロック・ゴールド・ファンドの実質コストは2.337%と
かなり割高です。
さらにしっかり購入時手数料もかかるので、投資家としては
購入に慎重にならざるをえません。
パフォーマンスが良くなければ決して手を出さないファンド
ですね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 2.20%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 2.337%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
ブラックロック・ゴールド・ファンドの評価分析
基準価額をどう見る?
ブラックロック・ゴールド・ファンドの基準価額は
コロナショック後、急激に上昇しています。
それまでのパフォーマンスはお世辞にも良いとは
言えませんでしたが、金価格の高騰が大きく影響
していますね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
続いて、ブラックロック・ゴールド・ファンドの利回りを
見ていきます。
直近1年間の利回りは45%と驚異的なパフォーマンスです。
5年平均利回りまでは2桁で運用ができており、思った以上に
利回りが高いですね。
ただ、10年平均利回りがマイナスになっている点が、
とても危険な臭いがします。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | 2020年8月 | |
1年 | 45.00% | |
3年 | 15.18% | |
5年 | 15.98% | |
10年 | ▲0.75% |
※2020年8月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している先進国株式ファンドランキング
同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化
ブラックロック・ゴールド・ファンドは日本株を除く
グローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォ
ーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー
内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
直近5年までのパフォーマンスは非常に優れていますが、
10年平均利回りで見た途端、ランキングを大きく落として
います。
2020年8月 | ||
1年 | 2% | |
3年 | 4% | |
5年 | 1% | |
10年 | 89% |
※2020年8月時点
ブラックロック・ゴールド・ファンドは標準偏差がかなり
大きいのですが、その原因はこういった値動きの大きさに
あると言えます。
年別のパフォーマンスは?
ブラックロック・ゴールド・ファンドの年別のパフォー
マンスを見てみましょう。
2018年は大きなマイナスとなっていますが、それ以外の
年ではかなり30%近いプラスを毎年出しています。
思った以上に直近数年の運用はうまく行っているようです。
年間利回り | |
2020年 | 31.14%(1-6月) |
2019年 | 29.18% |
2018年 | ▲18.38% |
2017年 | 2.02% |
2016年 | 40.53% |
※2020年8月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
ブラックロック・ゴールド・ファンドへの投資を検討する
のであれば、少なくとも低コストのインデックスファンドよりは
パフォーマンスが優れていなければ投資する価値がありません。
ブラックロック・ゴールド・ファンドは、グローバル株式に
属しているので、今回はMSCIコクサイをベンチマークとして
運用しているニッセイ 外国株式インデックスとパフォーマンスを
比較しました。
※引用:モーニングスター
コロナショック前まではニッセイ外国株式インデックスが
パフォーマンスで圧倒していましたが、コロナショックで
一瞬のうちに逆転しました。
ブラックロック・ゴールド・ファンドはかなり変動が大きい
運用となっていることがここからもわかります。
ブラックロック | ニッセイ 外国株式 | |
1年 | 45.00% | 2.96% |
3年 | 15.18% | 6.20% |
5年 | 15.98% | 4.33% |
10年 | ▲0.75% |
※2020年8月時点
ただ、中長期のパフォーマンスで見ても、インデックス
ファンドに大きな差をつけれています。
類似ファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブ
ファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、先進国株式ファンドの中でも非常にパフォーマンスが
好調な大和住銀 DC海外株式アクティブファンドと比較を行いました。
※引用:モーニングスター
大和住銀 DC海外株式アクティブファンドが終始、
ブラックロック・ゴールド・ファンドを上回って
います。
ブラックロック | 大和住銀DC | |
1年 | 45.00% | 23.15% |
3年 | 15.18% | 14.07% |
5年 | 15.98% | 10.76% |
10年 | ▲0.75% | 15.27% |
※2020年8月時点
中長期のパフォーマンスを比較すると、5年平均利回りでは
ブラックロック・ゴールド・ファンドに歩がありましたが、
10年平均利回りになると、その差は歴然です。
どちらが安定してプラスのリターンを得られそうかは私が
言うまでもないですね。
最大下落率はどれくらい?
投資をするにあたって、気にあるのがどの程度下落するかでしょう。
標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際に下落したかは
気になります。
ブラックロック・ゴールド・ファンドはリーマンショック
のタイミングで1年間で▲68.34%下落しました。
多くの投資家がこのファンドの運用に期待していることは、
金のように株式が下落するタイミングで価格が上昇していく
ことだと思います。
ただ、実態は、株式相場が下落すると同時に金鉱株も大きく
下落してしまっており、これでは分散効果を期待して、投資
するメリットがありません。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲40.66% |
3カ月 | ▲56.29% |
6カ月 | ▲58.86% |
12カ月 | ▲68.34% |
※2020年8月時点
積立NISAとiDeCoの対応状況は?
積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。
そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
積立NISA | iDeCo |
× | × |
※2020年8月時点
評判はどう?
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を
知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流出しているということは、それだけこのファンドを
解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。
ブラックロック・ゴールド・ファンドは資金の流出・流入が
交互に超過しており、少なくとも多くの投資家から評価されている
ファンドではないことがわかります。
コロナショックで注目を集めていましたが、思った以上に
2020年の前半は資金が流出していますね。
※引用:モーニングスター
ブラックロック・ゴールド・ファンドの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
ゴールドファンドと聞いて、かなり手堅い運用ができるかと
想定していたかもしれませんが、実態は思った以上に変動が
大きく、リスクが高いファンドです。
以下にブラックロックが作成した資料がありますが、金と
金鉱株を比較すると、値動きの大きさにかなり開きがある
ことがわかります。
何より、ブラックロック・ゴールド・ファンドの怖いのは
直近の運用はたしかにうまくいっているのですが、10年
利回りのパフォーマンスがマイナスになっています。
いくら直近がよくても長期のパフォーマンスが優れないと
投資家としては、投資をしづらいでしょう。
少なくとも、金に分散投資をしておきたいのであれば、
直接金を買ったほうが、よほど健全な運用ができます。
そうでなければ、ハイリスク・ハイリターンのブラック
ロック・ゴールド・ファンドに投資をすべきかは甚だ疑問
が残ります。
あえて1本選ぶとして、このファンドが残ってくることは
ないでしょう。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点