世界各国の高配当株式へ分散投資することにより、安定した配当収入の確保と中長期的な値上がり益の獲得を目指す三井住友DSアセットマネジメントのグローバル好配当株オープン。
はたして、グローバル好配当株オープンとはどのようなファンドなのか、徹底分析していきます。
「グローバル好配当株オープンって投資対象としてどうなの?」
「グローバル好配当株オープンって持ってて大丈夫なの?」
「グローバル好配当株オープンより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
グローバル好配当株オープンの基本情報
投資対象は?
グローバル好配当株オープンの投資対象は、世界各国の好配当株式です。配当利回りに着目し、相対的に配当利回りの高い銘柄を中心に投資をしていきます。
自分で世界の好配当株を探すのは骨が折れますので、その手間を省けるという意味でとても魅力的です。
国別の組入れ比率を見ると、米国が一番高く、次いで、フランス、日本となっています。
※引用:マンスリーレポート
グローバル好配当株オープンの現在の組入銘柄数は51銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。ポートフォリオ全体では、配当利回りが3%程度のようですね。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、グローバル好配当株オープンの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
グローバル好配当株オープンの純資産総額は、現在約571億円です。一時は7000億円近くあったファンドですが、リーマンショック以降、純資産が減り続けています。それでも、規模としては問題ないサイズですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
グローバル好配当株オープンの実質コストは1.278%となっており、アクティブファンドの中では比較的割安です。ただ、インデックスファンドと比べれば、割高ですし、購入時手数料もしっかり3.3%かかるので、慎重に銘柄選定する必要があります。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.188%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.278%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
グローバル好配当株オープンの評価分析
基準価額をどう見る?
グローバル好配当株オープンの基準価額を見てみましょう。直近3年間は、安定して右肩上がりに純資産が増加しています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、グローバル好配当株オープンの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは19.65%となっています。他の期間で見ても、10%を超えているので、悪くない利回りに見えます。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +19.65% |
3年 | +18.95% |
5年 | +13.51% |
10年 | +10.54% |
※2023年11月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
グローバル好配当株オープンは、国際株式・グローバル・除く日本カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
グローバル好配当株オープンは、上位30%程度にはランクインしていますので、悪くない順位です。
上位●% | |
1年 | 50% |
3年 | 30% |
5年 | 11% |
10年 | 34% |
※2023年11月時点
年別のパフォーマンスは?
グローバル好配当株オープンの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2018年に2桁のマイナスを出していますが、それ以外の年では、大きなマイナスもなく、安定した運用ができています。これであれば、安心して投資をしやすいですね。
年間利回り | |
2023年 | +11.40%(1-9月) |
2022年 | +1.79% |
2021年 | +35.41% |
2020年 | +11.20% |
2019年 | +26.74% |
2018年 | ▲13.29% |
2017年 | +16.47% |
2016年 | ▲1.64% |
2015年 | ▲2.68% |
2014年 | +15.51% |
※2023年11月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
グローバル好配当株オープンに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、グローバル好配当株オープンと全世界の株式に投資ができて非常に人気の高いeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)とパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、かなり競っていますが、わずかにeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)のほうがパフォーマンスで上回っています。
この結果を見ると、あえて高いコストを支払って、グローバル好配当株オープンに投資をするメリットがないですね。
年平均利回り | グローバル好配当株オープン | slim オールカントリー |
1年 | +19.65% | +23.71% |
3年 | +18.95% | +20.23% |
5年 | +13.51% | - |
10年 | +10.54% | - |
※2023年11月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
グローバル好配当株オープンに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、全世界の株式に投資ができるということで非常に人気の高いセゾン投信のセゾン 資産形成の達人ファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、グローバル好配当株オープンのほうがパフォーマンスで上回っています。
5年平均利回りまでは、グローバル好配当株オープンの方が上回っていますが、そもそもとして、インデックスファンドにパフォーマンスで負けているようではあまり投資をするメリットがないと言えます。
年平均利回り | グローバル好配当株オープン | 資産形成の達人 |
1年 | +19.65% | +20.46% |
3年 | +18.95% | +15.09% |
5年 | +13.51% | +9.75% |
10年 | +10.54% | +11.73% |
※2023年11月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、グローバル好配当株オープンの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲25.99% |
3カ月 | ▲45.86% |
6カ月 | ▲51.99% |
12カ月 | ▲57.61% |
※2023年11月時点
グローバル好配当株オープンの最大下落率は2008年1月~2008年12月で▲57.61%となっています。リーマンショック級の下落が来たときはこれくらいの下落は覚悟の上、投資をしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
グローバル好配当株オープンの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、グローバル好配当株オープンの評判を見てみましょう。
2019年以降、ほぼ毎月資金が流出超過となっており、評判は悪くなっています。パフォーマンスもそこまで優れないので、その影響でしょう。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
グローバル好配当株オープンはNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年11月時点
グローバル好配当株オープンの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
アクティブファンドに投資をするのであれば、最低限、インテックスファンドよりもパフォーマンスが上回っている必要があります。
しかし、グローバル好配当株オープンはそもそもパフォーマンスでインデックスファンドに負けてしまっています。
また好配当株ファンドと言えば、ディフェンシブ銘柄が多く組み入れられていることが多く、リーマンショック級の下落に強いファンドもあるのですが、グローバル好配当株オープンについては、他の株式ファンドと大して変わらない下落幅となっています。
確かに、配当金がもらえるファンドというのは魅力的ですが、そもそもパフォーマンスがインデックスファンドに劣るようなものには投資をしてはいけないですね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点