オーストラリア株式といえば、資源株なので相場の影響を受けにくく、比較的高い利子を受け取れるため、一部の投資家から人気があります。
今日はより人気の高いフランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンドを徹底分析していきます。
「フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンドって投資対象としてどうなの?」
「フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の基本情報
投資対象は?
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の主要投資対象はオーストラリアで上場している株式やREITです。毎月分配型のファンドなので、配当利回りに着目し、高い配当銘柄を中心に投資をしています。
現在の組入銘柄数は46銘柄となっており、組入比率を見てみると、金融が約3割、次いで資本財・サービス、REITが続いています。組入銘柄の平均配当利回りは5.4%となっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額が小さいと運用が効率的に行えず、余計なコストが発生したり、運用会社も運用に力を入れないため、パフォーマンスが優れないといったデメリットが発生します。
ですので、必ずチェックするようにしてください。
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の純資産総額は、現在約1174億円です。
2017年には6000億円ほどあったのですが、パフォーマンスの悪化と分配金の切り下げに伴い、純資産総額が急激に減少した形です。とは言っても、まだ1000億円を超える規模ですので、規模によるデメリットはありませんね。
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬以外にも、隠れたコストが存在します。
それは株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用といったもので、運用報告書を見なければわかりません。この実質コストは信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の実質コストは1.87%で、かなり割高です。購入時手数料と合わせると初年度は5.5%超のマイナスからのスタートになりますので、銘柄選定は慎重に行いたいところです。
購入時手数料 | 3.85%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.826%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.87%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の評価分析
基準価額をどう見る?
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の基準価額は、直近3年間で10%ほど上昇しています。
一方、分配金を受け取らずに運用に回した場合の基準価額(青線)は、3年間で60%近く上昇していることから、ファンドの運用も好調ですし、高い分配金を受け取っていても、投資元本が増えるという理想の状態になっています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の利回りはどうでしょうか?
直近1年間の利回りは9.52%となっています。3年平均利回りも17%台となっており、思った以上にパフォーマンスは好調のようです。
ただし、この時点で投資判断をしてはいけません。他のファンドとパフォーマンスを比較してから判断するようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +9.52% |
3年 | +17.62% |
5年 | +5.84% |
10年 | +4.99% |
※2023年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、優れたファンドに投資をするべきです。
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)はオセアニア株式カテゴリーに属しています。
このカテゴリー内でのランキングを確認すると、3年平均利回りで上位20%にランクインした以外は、下位に沈んでいます。
一見良さそうに見えたパフォーマンスですが、フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)よりも、高い利回りで運用できているファンドがほとんどだということです。これでは、あえて投資をする理由が見当たりません。
上位●% | |
1年 | 62% |
3年 | 17% |
5年 | 74% |
10年 | 94% |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
数年に1回は大きなマイナスで終わっている年があります。平均利回りで見ると、毎年プラスが出ているように勘違いしてしまう人も多いのですが、実態はこのようにマイナス運用の年も多々あるので注意してください。
年間利回り | |
2023年 | +8.92%(1-9月) |
2022年 | +4.87% |
2021年 | +21.08% |
2020年 | ▲6.11% |
2019年 | +17.22% |
2018年 | ▲20.08% |
2017年 | +10.69% |
2016年 | +8.63% |
2015年 | ▲6.10% |
2014年 | +17.12% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略類似ファンドとのパフォーマンス比較
あなたが投資可能なファンドは6000本超ありますので、類似ファンドとのパフォーマンス比較は必須です。
毎月分配型の投資信託であれば、タコ足配当によって利回りが高くなっているファンドではなく、しっかり収益をあげながら、分配金も高いファンドが理想です。
そこで、今回はフランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)と毎月分配型の米国成長株投信を比較してみたいと思います。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、かなり競っていますが、最終的には米国成長株投信Dコースが上回っています。
より長期のパフォーマンスで比較をしてみても、米国成長株投信Dコースのほうが上回っていますので、分配金を受け取るにしても、米国成長株投信のほうがおすすめです。
フランクリン | 米国成長株投信 | |
1年 | +9.52% | +25.31% |
3年 | +17.62% | +18.17% |
5年 | +5.84% | +16.62% |
10年 | +4.99% | - |
※2023年10月時点
最大下落率は?
標準偏差がわかれば、どの程度下落する可能性があるかはある程度予測できますが、実際にどれくらい下落したことがあるのか確認するほうがイメージが湧きます。
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の最大下落率は2020年1月〜3月の3カ月の▲38.54%となっています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲31.84% |
3カ月 | ▲38.54% |
6カ月 | ▲35.80% |
12カ月 | ▲34.95% |
※2023年10月時点
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配健全度はどれくらい?
分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。
そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。
分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドによるものなのかを計算できる指標です。
基準価額の変動幅 | 1年間の分配合計額 | 分配健全度 |
▲330円 | 600円 | 45% |
※2022/10/21~2023/10/20
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の直近1年間の分配健全度は45%となっています。
分配健全度は100%を切ると、一部、ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の場合、あなたが受け取っている分配金は半分以上、ファンドの運用益以外から支払われていることになります。
分配金利回りはどれくらい?
毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。
ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。
そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。
運用利回り | 分配金利回り | |
1年 | +9.52% | 9.4% |
3年 | +17.62% | |
5年 | +5.84% | |
10年 | +4.99% |
※2023年10月時点
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の分配金利回りは9.4%と高めの設定となっています。
ファンドの運用利回りのほうが低いので、あなたが受け取っている分配金の大半はあなたが投資した元本がただ戻ってきているだけということです。
未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気をつけてほしいと思います。
分配金余力はどれくらい?
毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。
そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。
明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)は40カ月程度あるので、まだ余力はあると言えます。ただ、このペースで過剰な分配を続ければ、減配ラッシュが来るのはもう間近です。
分配金 | 繰越対象額 | 分配金余力 | |
127期 | 50円 | 2,458円 | 50.2カ月 |
128期 | 50円 | 2,424円 | 49.5カ月 |
129期 | 50円 | 2,374円 | 48.5カ月 |
130期 | 50円 | 2,334円 | 47.7カ月 |
131期 | 50円 | 2,301円 | 47.0カ月 |
132期 | 50円 | 2,363円 | 48.3カ月 |
133期 | 50円 | 2,313円 | 47.3カ月 |
134期 | 50円 | 2,286円 | 46.7カ月 |
135期 | 50円 | 2,236円 | 45.7カ月 |
136期 | 50円 | 2,197円 | 44.9カ月 |
137期 | 50円 | 2,159円 | 44.2カ月 |
138期 | 50円 | 2,198円 | 45.0カ月 |
評判はどう?
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の評価はどうでしょうか?
2020年以降、資金が流出し続けています。パフォーマンスもいまいちで、毎月分配型の風当たりも強いので、仕方ないですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)のNISAやiDeCoの対応状況ですが、NISAに対応しています。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
改めてになりますが、ファンドの運用利回りと分配金利回りは全くの別物です。
運用利回り10%と言えば、100万円を投資した場合、年10万円の運用益を受け取ることができます。一方で、分配金利回り10%という場合は違います。
仮にファンドの運用利回りが3%しかなくても分配金利回りを10%にすることはできるのです。その結果、100万円投資をして、ファンドの運用益は3万円しかないにもかかわらず、あなたは10万円の分配金を受け取ることになります。
では、運用益と分配金の差額の7万円はどこから出てきているのかと言えば、あなたの投資した元本の100万円から支払われているのです。
つまり、分配金利回りがいくら高くても、ファンドの運用利回りが低ければ、まったく意味がないということです。
毎月分配型ファンドは私はそもそもおすすめはしませんが、それでも投資をしたいという場合、ファンドの選定基準は分配金利回りが高いか低いかではありません。
ファンドの運用利回りがちゃんとプラス(大きいほど良い)で、運用利回りの範囲内か、少し超える程度で分配金を出しているファンドを選ぶべきです。
さきほど、ファンドの比較をしたように、運用がうまくいっているファンドであれば、年10%程度の配当を出しても、すべてファンドの運用益から支払うことができます。
そうすれば、いつの間にか自分の投資した元本が目減りしているという事態も起こりません。ですので、フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)に投資をしている人は、すぐに乗り換えを検討するべきです。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点