インデックスファンドの低コスト競争において、最前線で戦っているアセットマネジメントOneのたわらノーロードシリーズ。
今日は、たわらノーロード国内債券の評価や評判、実質コストなどについて徹底的に分析したいと思います。
「 たわらノーロード国内債券って投資対象としてどうなの?」
「 たわらノーロード国内債券って持ってて大丈夫なの?」
「 たわらノーロード国内債券より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
たわらノーロード国内債券の基本情報
投資対象は?
投資対象は、日本の公社債を主要投資対象とし、NOMURA-BPI総合に連動する投資成果を目指して運用を行います。
NOMURA-BPI総合は野村證券が公表する、日本の公募債券流通市場全体の動向を示す指数です。
現在のたわらノーロード国内債券の構成比率は以下のようになっており、組れ銘柄数は684銘柄、日本国債が約8割という構成でになっています。
実質、国債に投資をしているようなものなので、実質コスト分を考慮に入れると、直接国債を買ったほうがいいのでは?と思ってしまいます。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
インデックスファンドの運用において、純資産総額というのも見るべきポイントです。ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができず、インデックスから乖離してしまうリスクがあります。
また純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性があります。
たわらノーロード国内債券は下図のように2016年の新規設定以来、純資産総額を伸ばしており、現在の純資産総額は約235億円となっています。ファンドの規模としては全く問題ありません。
カテゴリー最低水準のコストとなっていますので、まだまだ純資産額は増えそうです。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
インデックスファンドにおいて、実質コストというのは何よりも重要な項目です。
NOMURA-BPI総合連動型のファンドは運用会社各社が作っていますが、運用リターンはベンチマークに連動するため、どこも差がつきません。そうすると、実質コストの部分で良し悪しを決めることになるわけです。
たわらノーロード国内債券の実質コストは現在0.155%近辺で、同カテゴリー内でも最低水準となっています。
購入時手数料 | 0 |
信託報酬 | 0.154%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 0.155%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
類似ファンドの信託報酬の比較
つづいて、類似ファンドと信託報酬を比較をしてみましょう。
NOMURA-BPI総合をベンチマークとして採用しているファンドであれば、信託報酬の差が大きくパフォーマンスに影響してきます。
本来であれば、実質コストで比較をするべきですが、直近で信託報酬を下げていると、正確に実質コストを計算できないため、のちほど類似ファンドのパフォーマンスを比較することで、判断していきます。
たわらノーロード国内債券は他のファンドと比べると、最安にはなっていませんが、かなり割安に水準であることには間違いありません。
ファンド | 信託報酬(税込) |
eMAXIS Slim国内債券インデックス | 0.132% |
ニッセイ 国内債券インデックスファンド | 0.132% |
たわらノーロード 国内債券 | 0.154% |
※2023年10月時点
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
たわらノーロード国内債券の評価分析
基準価額をどう見る?
たわらノーロード国内債券の基準価額は、2019年以降右肩下がりに下落しています。
長期金利の上昇に伴い、債券価格が下落を続けており、この流れを止めるのは難しいと思われます。
引用:ウエルスアドバイザー
利回りは?
つづいて、たわらノーロード国内債券の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは▲2.76%となっています。
3年平均、5年平均もマイナスです。この利回りでは預ける意味を感じませんし、運用会社に取られる信託報酬のほうが高くなっています。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲2.76% |
3年 | ▲1.79% |
5年 | ▲0.81% |
10年 | - |
※2023年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
たわらノーロード国内債券は、国内債券カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
たわらノーロード国内債券はほぼ平均的な順位にランクインしています。
この利回りで平均水準なので、国内債券ファンドの利回りは軒並みかなり悲惨な状況になっているようです。
上位●% | |
1年 | 50% |
3年 | 55% |
5年 | 48% |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別の運用利回りは?
つづいて、たわらノーロード国内債券の年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2020年以降、マイナスが続いています。
前々から繰り返し言っていますが、債券ファンドと債券はそもそも値動きが異なりますので、安定した利子を受け取りたいのであれば、債券に直接投資をすることをおすすめします。
年間利回り | |
2023年 | ▲0.43%(1-9月) |
2022年 | ▲5.38% |
2021年 | ▲0.32% |
2020年 | ▲0.91% |
2019年 | +1.45% |
2018年 | +0.78% |
2017年 | ▲0.02% |
2016年 | +2.80% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとの利回り比較
たわらノーロード国内債券を購入する上で、同じベンチマークを採用している類似ファンドのパフォーマンスを比較することは不可欠です。
今回は、eMAXIS Slim 国内債券インデックスとニッセイ 国内債券インデックスの2本と比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
信託報酬が安い分、やはりeMAXIS Slim国内債券インデックスが最もパフォーマンスは高くなっています。
ニッセイ国内債券インデックスファンドも続き、たわらノーロード国内債券ファンドは最下位の利回りです。
ただ、この程度であれば誤差の範囲ですので、どのファンドを購入してもあまり差はありません。
他の債券ファンドとのパフォーマンス比較
たわらノーロード国内債券を検討している人は、手堅く資産を増やしたいと思っている人だと思います。
国内債券は正直投資対象としての魅力が限りなく低いです。そこで、ここでは、先進国債券のインデックスファンドとパフォーマンスを比較していきます。
※引用:ウエルスアドバイザー
たわらノーロード国内債券と比較をすると、明らかに、eMAXIS Slim 先進国債券インデックスのほうがパフォーマンスで上回っています。
あえて利回りの異常に低い国内債券だけに投資をするより利回りの高い先進国債券に分散をさせておいたほうが、安心できると言えます。
最大下落率は?
たわらノーロード国内債券に投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。
どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです
それではここでたわらノーロード国内債券の最大下落率を見てみましょう。
たわらノーロード国内債券は2022年01月~2022年12月の1年間で最大で5.38%下落したことがあります。
この程度の下落であれば、安心して投資ができますが、全く増えないのであれば、投資をする意味がありません。
下落率 | |
1カ月 | ▲1.60% |
3カ月 | ▲2.08% |
6カ月 | ▲3.49% |
12カ月 | ▲5.38% |
※2023年10月時点
評判はどう?
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。
たわらノーロード国内債券は2016年の新規設定以来、ほぼ毎月資金流入しています。
パフォーマンスは悲惨ではありますが、国内債券カテゴリーで最低水準のコストを実現している限りは、人気は続くと思います。
※引用:ウエルスアドバイザー
たわらノーロード国内債券の評価と今後の見通し
リスクは取りたくないけれど、貯金では物足りないという人達に、絶大な人気を誇っているのが国内債券ファンドです。
以前は、信託報酬が高く、運用益をかなり食いつぶしてしまっていたので、何もメリットはありませんでしたが、近年の手数料値下げ合戦の影響で、魅力が出てきました。
現在では、たわらノーロード国内債券とニッセイ国内債券インデックス、eMAXIS Slim 国内債券がほぼ同じ手数料となっており、この中であれば正直どれを選んでも大差はありません。
ただ、そもそも論として、日本国債の金利がゼロ付近から少しずつ上昇をし始めており、債券価格の下落に歯止めがかからない状況となってきています。
パフォーマンスもすでに最低水準になっており、まだ金利の上昇は考えられることから、たわらノーロード国内債券のパフォーマンスはさらに悪化することも想定されます。
もしできる人は、直接債券を購入したほうが、利回りを確定させられますので、債券を直接購入するということも検討してみるとよいと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点