インデックスファンド分析

『雪だるま』SBI・全世界株式インデックス・ファンドの評価や評判は?今後の見通しはどう?

ひと昔前までは全世界の株式に投資をするとなれば、それ相応のコストを支払わなければなりませんでしたが、今やどの運用会社からも全世界株式に超低コストで投資ができるようになりました。

その1つがSBIアセットのSBI・全世界株式インデックス・ファンド『愛称:雪だるま(全世界株式)』です。

ベンチマークはFTSEグローバル・オールキャップなので、楽天・全世界株式インデックスファンドと似たような結果になると思いますが、構成が少し異なりますので、はたして利回りにどう影響するのか。早速、分析していきます。

「SBI・全世界株式インデックス・ファンドって投資対象としてどうなの?」

「SBI・全世界株式インデックス・ファンドって持ってて大丈夫なの?」

「SBI・全世界株式インデックス・ファンドより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

SBI・全世界株式インデックス・ファンド『雪だるま(全世界株式)』の基本情報

投資対象は?

SBI・全世界株式インデックス・ファンドの投資対象は、全世界の株式です。FTSE グローバル・オールキャップ・インデックスに連動する投資成果を目指します。

ただし、直接連動するようなETFを保有するのではなく、以下のように、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFで米国株に投資し、SPDR ポートフォリオ・ディベロップド・ワールドETFで米国以外の先進国株に、SPDR ポートフォリオ・エマージングマーケッツETFで新興国株に投資をしていきます。

楽天の場合は、ベンチマークに連動するVTというETFに直接投資をしますので、実質コストベースで見ると差が出てきそうです。


※引用:マンスリーレポート

国別の組入比率を見てみると、米国が約60%、続いて、日本、イギリスとなっています。日本が2位になっているのが、MSCI ACWIと大きく違う点ですね。


※引用:マンスリーレポート

純資産総額は?

投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。

純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。

また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

SBI・全世界株式インデックス・ファンドは約1362億円程度で、右肩上がりに純資産を積み上げています。積立で投資をしている人がメインなので、今後も安定的に純資産を増やしていきそうです。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?

これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。

特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

SBI・全世界株式インデックス・ファンドの実質コストは0.081%と信託報酬を最安値水準まで切り下げたことにより、eMAXIS Slimシリーズと値下げ合戦を繰り広げています。投資家としては、非常にありがたいですね。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 0
信託報酬 0.0682%(税込)
信託財産留保額 なし
実質コスト 0.081%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

SBI・全世界株式インデックス・ファンド『雪だるま(全世界株式)』の評価分析

基準価額をどう見る?

SBI・全世界株式インデックス・ファンドの基準価額は2021年以降、着実に上昇を続けています。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

SBI・全世界株式インデックス・ファンドの直近1年間の利回りは23.29%となっています。

3年平均、5年平均利回りは10%を超えており、かなり好調ですね。

ただ、この時点で投資判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +23.29%
3年 +20.03%
5年 +11.92%
10年 -

※2023年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

SBI・全世界株式インデックス・ファンドは、日本を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

SBI・全世界株式インデックス・ファンドは上位30%内に入っているので、インデックスファンドとしては十分な水準です。

上位●%
1年 28%
3年 24%
5年 31%
10年 -

※2023年10月時点

年別の運用利回りは?

SBI・全世界株式インデックス・ファンドの年別のパフォーマンスも見てみましょう。

年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。

2018年は10%超のマイナス、2022年は5%のマイナスと、マイナス幅がリターンに対して、かなり抑えられているのが素晴らしいですね。

年間利回り
2023年 +21.89%
2022年 ▲5.24%
2021年 +31.32%
2020年 +8.86%
2019年 +25.32%
2018年 ▲12.59%

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

インデックスファンドとの利回り比較

SBI・全世界株式インデックス・ファンドに投資を検討する上で、他のインデックスファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。

特に今回は同じFTSE グローバル・オールキャップ・インデックスを参考指数としている楽天・全世界株式インデックス・ファンドとの比較は必須でしょう。

また、ベンチマークは違いますが、同じく全世界の株式に分散投資ができ、コスト最安値争いをしているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)ともパフォーマンスを比較しておきたいところです。

信託報酬はほとんど変わらないので、あとは実質コストとベンチマークとしている指数の違いによる影響ということになります。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、かなり競ってはいますが、eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)のパフォーマンスで上回っています。

パフォーマンスにそこまで大きな差はないので、どれを選んでもよいのですが、あえて選ぶとすれば、やはりMSCI AWCIに連動するeMAXIS Slim全世界株式となるでしょう。

SBI・全世界株式 slim 全世界株式
1年 +23.29% +23.71%
3年 +20.03% +20.23%
5年 +11.92% -
10年 - -

※2023年10月時点

類似ファンドとの利回り比較

SBI・全世界株式インデックス・ファンドへ投資をするのであれば、他の指数に連動するインデックスファンドとパフォーマンスを比較してからでも遅くはありません。

今回は、S&P500に連動するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と先進国株式に投資ができるeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと比較をしました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間においては、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)がパフォーマンスで一番優れていることがわかります。

SBI・全世界株式インデックス・ファンドもインデックスファンドとして決して悪いパフォーマンスではないのですが、この3ファンドで比較をすると一番最下位になってしまっています。

より長期のパフォーマンスで見ても、同じ結果ですので、新興国株をどうしても入れたい場合を除いて、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に投資をするのが一番いいですね。

SBI・全世界株式 slim 米国株式
1年 +23.29% +23.68%
3年 +20.03% +23.72%
5年 +11.92% +15.80%
10年 - -

※2023年10月時点

アクティブファンドとの利回り比較

SBI・全世界株式インデックス・ファンドのようなインデックスファンドに投資をするのであれば、コストは高くなるものの高い利回りが期待できるアクティブファンドと利回りを比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は、全世界に投資ができるアクティブファンドとして、高いパフォーマンスを出しているグローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド『未来の世界』と比較をしました。


※引用:ウエルスアドバイザー

ほぼ全期間において、SBI・全世界株式インデックス・ファンドのほうがパフォーマンスで上回っています。

5年平均利回りを見ても、同じ結果ですので、あえて高いコストを支払ってまでアクティブファンドに投資をする必要もないです。

SBI・全世界株式 G・ハイクオリティ
1年 +23.29% +35.99%
3年 +20.03% +5.25%
5年 +11.92% +11.34%
10年 - -

※2023年10月時点

最大下落率は?

SBI・全世界株式インデックス・ファンドに投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。

それではここでSBI・全世界株式インデックス・ファンドの最大下落率を見てみましょう。

最大下落率は2020年1月~3月の3か月間で、22.21%となっています。

期間 下落率
1カ月 ▲14.85%
3カ月 ▲22.21%
6カ月 ▲13.53%
12カ月 ▲13.18%

※2023年10月時点

運用期間がまだ短いので、そこまで大きな下落は経験していませんが、リーマンショックのときは株式ファンドは50%程度下落したこともありますので、今後、まだまだ大きな下落をすることはあると思っておいたほうがいいですね。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

評判はどう?

それでは、SBI・全世界株式インデックス・ファンドの評判はどうでしょうか?

ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。

SBI・全世界株式インデックス・ファンドは設定来、安定的に流入が続いており、安定して人気を維持していることがわかります。

つみたて投資をメインに据えていますので、つみたての特性上、毎月流入があるのは当然なのですが、やはりグローバル株式に投資をしたいというニーズは強いということですね。


※引用:ウエルスアドバイザー

NISAとiDeCoの対応状況は?

SBI・全世界株式インデックス・ファンドのNISAとiDeCoの対応状況を確認しておきましょう。NISA、iDeCoともに対応していますので、投資をする際は使わない手はありません。

NISA iDeCo
SBI証券(セレクトプラン)

※2023年10月時点

SBI・全世界株式インデックス・ファンド『雪だるま(全世界株式)』の評価まとめと今後の見通し

SBI・全世界株式インデックス・ファンドが登場したことで、全世界の株式に投資ができるインデックスファンドのコストがさらに一段と下がるようになりました。

SBIアセットと三菱UFJ国際の値下げ合戦は今後も続くと思いますので、投資家としてはありがたい限りです。

全世界の株式に投資ができるファンドは長期間で見ると、1桁後半の利回りは出ているので、途中で解約しない限りは高い利回りが期待できます。

現状はMSCI ACWIに連動するファンドか、FTSEグローバルオールキャップ・インデックスに連動するファンドのどちらかを選択することになりますが、あまりこだわらず選んでしまってよいと思います。

ただ、あえて選ぶとすれば、MSCI ACWIに連動するインデックスファンドのほうがパフォーマンスで勝っているので、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)になるでしょうか。

またアクティブファンドの中にも数は少ないですが、インデックスファンドを大きく上回るパフォーマンスのファンドが存在します。

インデックスファンドを中心に投資をしながら、ポートフォリオの一部にアクティブファンドを組み入れて投資をしていくと、手堅く、かつ高いリターンが期待できるので、ぜひ挑戦してみてください。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

新しい記事はありません

  • この記事を書いた人

ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

-インデックスファンド分析
-