近年、成長が著しいと言えばアジアですが、多くの投資家が注目しているのがベトナムです。
ベトナムは人口約1億人で、毎年約150万人が社会に進出しており、安価で勤勉な労働力が国際競争力の源泉となっています。
そんなベトナムだけに直接投資ができるファンドは国内に10本もないのですが、今日はその中でもキャピタルアセットのベトナム成長株インカムファンドを徹底分析していきます。
こんなことがわかる
- ベトナム成長株インカムファンドは投資対象として、あり?なし?
- ベトナム成長株インカムファンドより良いファンドってある?
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
ベトナム成長株インカムファンドの独自評価と分析
投資対象は?
ベトナム成長株インカムファンドの投資対象は、ベトナムで上場しているもしくはベトナムで営業活動を行う企業です。
現在は67銘柄で構成されており、業種別の組入比率を見てみると、銀行、テクノロジー・ハードウェアおよび機器の順に高くなっています。
新興国では、金融、インフラ関連、不動産関連銘柄が有望ですので、ある意味セオリーどおりの銘柄選定が行われています。
※引用:マンスリーレポート
組入銘柄の上位は以下のようになっており、やはり銀行銘柄が上位にランクインしています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。早期償還のリスクもありますね。
また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。最低でも50億円、余裕を持って100億円はほしいところです。
ベトナム成長株インカムファンドは2017年末から急激に純資産を伸ばしており、現在では260億円程度の規模です。規模としては、全く問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。
特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ベトナム成長株インカムファンドの実質コストは2.073%とかなり割高です。
海外株式ですので保管費用が高くついたり、売買委託手数料が高くなっているようです。購入時手数料もしっかり3%かかりますので、普通は絶対買ってはいけないファンドです。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.881%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 2.073%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
基準価額をどう見る?
ベトナム成長株インカムファンドの基準価額は2022年の中頃までは大きく上昇していましたが、2022年の後半になると大きく下落し、2024年にようやく高値を更新しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
ベトナム成長株インカムファンドの利回りを見てみましょう。
平均利回り | |
1年 | +9.33% |
3年 | +8.45% |
5年 | +12.79% |
10年 | +9.42% |
※2024年9月時点
直近1年間の利回りは+9.33%となっています。その他の期間も約8%以上のプラスになっていますので、まずまずのパフォーマンスが出せているようです。
ただ、この時点で判断するのではなく、他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断してください。
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ベトナム成長株インカムファンドは、グローバル株式のエマージングカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資すべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
ベトナム成長株インカムファンドは、10年平均利回りこそ上位10%以内にランクインしているものの、それ以外は平均かそれ以下です。
上位●% | |
1年 | 38% |
3年 | 62% |
5年 | 44% |
10年 | 6% |
※2024年9月時点
年別の運用利回りは?
ベトナム成長株インカムファンドの年別のパフォーマンスも見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2018年・2022年は2桁のマイナスですが、それ以外の年ではプラスの運用ができています。
もっと大きくマイナスの年が何年もあるかと思いましたが、思った以上に安定してプラスの運用ができているようです。
年間利回り | |
2024年 | +24.61%(1-6月) |
2023年 | +18.17% |
2022年 | ▲20.00% |
2021年 | +52.86% |
2020年 | +5.35% |
2019年 | +3.67% |
2018年 | ▲15.37% |
2017年 | +40.28% |
2016年 | +12.41% |
2015年 | +1.98% |
2014年 | - |
※2024年9月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
ベトナム成長株インカムファンドに投資を検討するのであれば、より低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスを比較してからでも遅くありません
今回は、MSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動するeMAXIS Slim 新興国株式インデックスとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間のパフォーマンスは、ベトナム成長株インカムファンドが優位となっている期間が多いです。またインデックスファンドと比べて、かなり値動きが大きいファンドであることもわかりますね。
より長期の利回りで比較をしてみるとどうでしょうか?
ベトナム成長株 | Slim 新興国株式 | |
1年 | +9.33% | +12.08% |
3年 | +8.45% | +6.37% |
5年 | +12.79% | +11.18% |
10年 | +9.42% | - |
※2024年9月時点
5年平均利回りでみても、ベトナム成長株インカムファンドのほうがパフォーマンスで上回っています。値動きは大きいですが、長期で保有すればリターンは期待できるので、この値動きに耐えられるだけのメンタルがある人は投資を検討してもよいと思います。
類似ファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
そもそも新興国株式と先進国株式はどちらのほうがパフォーマンスが優れているのか気になっている人もいると思いますので、
今回は、北米ファンドで何度も優秀ファンド賞を受賞をしたことがあるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
2022年まではベトナム成長株インカムファンドが大きく差をつけて勝っていましたが、それ以降は逆転されています。
では、より長期のパフォーマンスを比較するとどうでしょうか?
ベトナム成長株 | 米国成長株投信 | |
1年 | +9.33% | +24.04% |
3年 | +8.45% | +14.36% |
5年 | +12.79% | +22.51% |
10年 | +9.42% | +18.35% |
※2024年9月時点
5年、10年平均利回りで比較をすると、米国成長株投信のほうが2倍くらいのパフォーマンスとなっています。
新興国株式は一時的には高いリターンが期待できるのですが、トータルでみると、先進国とくに、米国株にはパフォーマンスで全く勝てていないのが現状です。
最大下落率は?
ベトナム成長株インカムファンドに投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。
どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
それではベトナム成長株インカムファンドの最大下落率を見てみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲29.40% |
3カ月 | ▲34.26% |
6カ月 | ▲37.27% |
12カ月 | ▲35.49% |
※2024年9月時点
ベトナム成長株インカムファンドの最大下落率は2019年10月~2020年3月の半年で▲37.27%となっています。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配金の内訳と余力は?
ベトナム成長株インカムファンドは年4回の分配金を出しています。
基準価額に対して分配金の割合を示す、分配金利回りは2~3%ですので、この利回りであれば、ファンドの運用リターンで十分賄える水準です。タコ足配当にはなっていないので、健全な分配がされていると言えます。
ただ、この程度の金額を分配するくらいなのであれば、初めから分配をせずに再投資に回してほしいものです。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
年間利回り | |
2024年 | 300円(残1回) |
2023年 | 400円 |
2022年 | 400円 |
2021年 | 400円 |
2020年 | 200円 |
2019年 | 400円 |
2018年 | 800円 |
2017年 | 600円 |
※2024年9月時点
評判はどう?
それでは、ベトナム成長株インカムファンドの評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。
評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。
ベトナム成長株インカムファンドは、流入している時期もありますが、総じて、流出が続いており、値動きの大きさについていけていない投資家が多いようです。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
そこで、NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2024年9月時点
ベトナム成長株インカムファンドの個人的評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
新興国株式というのは値動きが大きく、高いリターンが期待できるイメージを持っている人も多いと思います。
確かに過去においては、新興国株が非常に強かった時期もあるのですが、直近10年程度では、あきらかに先進国株とくに米国株が強いです。
ベトナム市場はTPP11、RCEP、EVFTAなどの発行やベトナムへの生産拠点の移転により、経済が恩恵を受けることが期待できますので、強気で見ている投資家もいると思いますが、そもそもベトナムに投資をするべきかは一度しっかりと検討したほうがよいでしょう。
もちろん、米国一強時代がいずれ終わることを想定してベトナム株式を仕込んでおくというのも戦略の1つではあります。
ただ、現状でいえば、米国株ファンドのほうが安定して高いパフォーマンスなので、高いコストを支払ってまで、ベトナム成長株インカムファンドに投資をするべきかは疑問が残ります。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点