アセットマネジメントOneが運用する、新光 US-REIT オープン『ゼウス』。

ファンド名称の「新光」は、アセットマネジメントOneの前身の
一社である新光投信がこの投資信託を設定した名残です。

一時は国内公募投資信託の純資産ランキングで常に上位に位置して
いたため、「ゼウス」の名を聞いたことがある人は多いと思いますが、
最近は完全に凋落気味です。

なお、新光 US-REIT オープン『ゼウス』には毎月決算型と年1回決算型
がありますが、今回はより人気の高い毎月決算型について分析していきます。

新光 US-REIT オープン『ゼウス』の基本情報

投資対象は?

新光 US-REIT オープン『ゼウス』は、米国に上場している不動産
投資信託証券(US-REIT)に投資し、安定した収益の確保を目指します。

REITというのは投資家から集めた資金を使って、オフィスビル・
商業施設、賃貸住宅などを保有し、賃貸料や不動産売買で収益を
上げています。

その収益の大部分を配当金という形で投資家の皆様に分配している
という仕組みですね。


※引用:交付目論見書

上位に組み込まれている銘柄は、81銘柄で構成されており、インフラ、
森林、貸倉庫、データセンター、住居と幅広く分散されています。

運用の特徴は?

運用はアメリカの大手運用会社であるインベスコ社に委託しており、
アセットマネジメントOneの役割は実質的に運用業務以外の投資信託
の管理や販売会社向けのセールス業務などに留まっています。

したがって、運用パフォーマンスはインベスコ社の手腕次第という
ことになります。

インベスコは全世界で100兆円を超える資産を運用しており、
アメリカでの不動産運用では約2兆円超・業界第4位の運用残高を
誇る、世界有数の独立系資産運用会社です。

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

投資信託の純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
投資信託の組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性
がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

新光 US-REIT オープン『ゼウス』の純資産総額は6450億円程度と、
ピーク時の半分以下にはなっていますが、未だに人気が非常に高いです。

テーマ型であること、毎月分配型であること、分配金がタコ足である
こと、信託報酬と購入時手数料が高いことなど、金融庁が批判対象と
した投資信託の条件をほぼ全て満たしていることから既存受益者の
解約が進んだということでしょう。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

新光 US-REIT オープン『ゼウス』の実質コストは1.707%となって
おり、REITカテゴリーの中では、平均的な水準です。

ただ、運用実績が優れないのにこのコストは高すぎますね。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.24%※上限
信託報酬 1.6524%(税込)
信託財産留保額 0.1%
実質コスト 1.707%(概算値)

※引用:第165期 運用報告書(決算日2018年9月5日)

実質コストを加味しても、新光 US-REITオープン『ゼウス』よりはるかに優れた海外REITファンド特集

新光 US-REIT オープン『ゼウス』の評価分析

基準価格をどう見る?

新光 US-REITオープン『ゼウス』の基準価額は2,480円程度です。

驚くほど低い数値のため、よほど運用パフォーマンスが悪いのでは
ないかと勘繰ってしまいますが、この基準価額の低さには別の理由
があります。

新光 US-REIT オープン『ゼウス』は典型的な、「タコ足分配」型の
投資信託です。

これはインカムゲインやキャピタルゲインなどの運用パフォーマンス
を超えた金額を分配しているということであり、具体的にはファンド
の資産を切り崩して分配を行っているのです。

いくら運用パフォーマンスをあげても、それを超える分配金を払い
出すために投資信託の資産を切り崩せば純資産額も減少するので、
基準価額は低下します。

これを2004年の設定来から繰り返した結果、基準価額はこのような
数値となっているのです。

10年間のトータルリターンが6パーセント超であるにも関わらず、
ここまで基準価額が低い理由は、この点にあるのです。


※引用:モーイングスター

利回りはどう?

新光 US-REIT オープン『ゼウス』の利回りを見ていきましょう。
直近1年間の+1.91%となっています。

ただ5年、10年平均利回りは一桁後半のリターンとなっており、
決して悪くありません。

タコ足配当さえしなければ、悪くない投資信託だけに残念ですね。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 1.91% 54%
3年 3.52% 63%
5年 9.29% 49%
10年 6.64% 60%

※2018年11月時点

標準偏差は?

新光 US-REIT オープン『ゼウス』の標準偏差を見てみると、中長期
になるにつれて、同カテゴリー内でのランクが上昇しています。

ですので、長期間になればなるほど基準価額の変動は相対的に低く
なっているということですね。

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じでしょうか?

まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 13.33 67%
3年 13.70 47%
5年 14.13 37%
10年 23.88 20%

※2018年11月時点

年別の運用パフォーマンスは?

つづいて、新光 US-REIT オープン『ゼウス』の年別のパフォーマンス
を見てみましょう。

どうやら2014年のパフォーマンスが非常に良かったあとは、何とも
イマイチなパフォーマンスが続いているようです。

年間利回り
2018年 ▲0.53%(9月末時点)
2017年 2.55%
2016年 ▲0.26%
2015年 0.93%
2014年 45.71%

※2018年11月時点

最大下落率は?

新光 US-REIT オープン『ゼウス』に投資をするのであれば、
最大でどの程度下落する可能性があるのかは知っておきたい
ところです。

標準偏差などから推定することもできますが、過去にどの程度
下落しているかもひとつの参考になります。

REITであれば、株式ほどリスクは高くであろうと思いがちですが、
新光 US-REIT オープン『ゼウス』は最大▲59.04%下落しており、
かなりリスクが高いことがわかります。

長期保有をすれば、一時的な下落分は取り戻すことができますので、
下落してすぐに売却するようなことはしないでください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

期間 下落率
1カ月 ▲31.23%
3カ月 ▲48.83%
6カ月 ▲59.04%
12カ月 ▲56.63%

※2018年11月時点

分配金の推移と分配金余力は?

新光 US-REITオープン『ゼウス』2014年頃から毎月75円の配当を
出し続け居ていましたが、2017年に50円になり、2018年4月には
ついに25円にまで配当が減額されました。

分配金の内訳を見てみると、当期の収益以外からの分配が8割以上を
占めており、あなたの投資元本が返還されているだけになっている
可能性が高いです。

また25円でも今の基準価額からすると、かなり高めの設定となって
いますので、今後基準価額がさらに下落し、分配金も減額されている
ことが想定されます。

このブログでは何度も言っていますが、特別な事情がない限りは
毎月分配型のファンドに投資すべきではありません。

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

分配金 当期収益以外 繰越対象額
160期 25円 15円 2,907円
161期 25円 25円 2,885円
162期 25円 21円 2,863円
163期 25円 15円 2,853円
163期 25円 23円 2,829円
165期 25円 22円 2,806円

評判はどう?

タコ足配当を行う毎月分配型ファンドの悪しき側面が広く認知される
ようになった現在、その典型的なファンドである新光 US-REITオープン
『ゼウス』に対する良い口コミや評価はほとんど見当たりません。

下の月次の資金流出入額の図見ても、直近は資金が毎月流出しています。

資金が流出しているということは、解約が続出しているということ
なので、ここからも高い評価をしていない人がほとんどであること
がわかります。

※引用:モーイングスター

新光 US-REIT オープン『ゼウス』の今後の見通し

一般的にリートの価格は、リート市場全体の動向のほか、
保有不動産等の価値やそこから得られる収益の増減等により変動します。

また、金利上昇時にはリートの分配金利回りの相対的な魅力が弱まる
ため、それにより売却されリートの価格が下落することがあります。

その他、投資対象がドル円の為替動向も基準価額に影響を及ぼします。

上記を踏まえ、今後の新光 US-REITオープン『ゼウス』について
考察してみたいと思います。

米国リート市場は、復調に向かう兆しが見えます。また、アメリカの
商業用不動産の需要や賃料水準も堅調に推移するでしょう。

しかし、アメリカの金利上昇と当面続くであろう円高傾向が、
このプラス要因を打ち消してしまうと考えられます。

特に毎月分配型では、分配金について当初より相当に引き下げた
とはいえ依然として過剰としか言えない水準(25円)を、さらに
適正と思われる水準(概ね6円から8円)まで引き下げないと、
基準価額の下落傾向は止まらないと思われます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

以上を考慮すると、新規に新光 US-REITオープン『ゼウス』を
購入する理由は全くと言って良いほど見当たりません。

このような投資信託に投資をするくらいであれば、私が厳選した
アクティブファンドの一覧がこちらにありますので、これを参考に
新しい投資先を探したほうが間違いなく賢明です。

販売会社の強引な勧誘や知名度に惑わされて買ってしまわないように、
注意してください。

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