モーニングスターのファンド オブ ザ イヤーを何度も受賞している三菱UFJ国際投信のサイバーセキュリティ株式オープン。
Eメール、動画視聴、ネットショッピング、AI、クラウドサービス、スマート家電など、IT分野で広がる技術革新で私たちの生活はとても便利になりました。
しかし、この便利さは保証されたものではなく、クレジットカードの情報が盗まれたり、ハッキングされたりと大きな危険も抱えています。
そのため、サイバーセキュリティへの需要が拡大しており、そこに目をつけたのが、三菱国際UFJ投信でした。
サイバーセキュリティ株式オープンは為替ヘッジ無と有がありますが、今日は人気の高い為替ヘッジ無を中心に分析していきます。
ヘッジ有を保有している方、検討している方にも参考になるように書きましたので、ぜひ参考にしてください。
「サイバーセキュリティ株式オープンって投資対象としてどうなの?」
「サイバーセキュリティ株式オープンって持ってて大丈夫なの?」
「サイバーセキュリティ株式オープンより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし)の基本情報
投資対象は?
サイバーセキュリティ株式オープンの投資対象は、日本を含む世界のサイバーセキュリティ関連企業の株式です。もう少し具体的には、サイバー攻撃に対するセキュリティ技術を有し、これを活用した製品・サービスを提供する企業を指します。
地域別でみると、米国が約90%となっています。サイバーセキュリティの中心もやはり米国だということですね。
※引用:マンスリーレポート
現在の組入銘柄は41銘柄となっており、銘柄数はかなり絞り込まれています。
実際の組入上位10銘柄は次のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
運用会社は?
サイバーセキュリティ株式オープンの運用は、実質的にアリアンツ・グローバル・インベスターズが行います。
本ファンドのポートフォリオマネージャーはウォルター・プライス氏で、44年に及ぶ資産運用業界の経験をもつ大ベテランです。
純資産総額は?
続いて、サイバーセキュリティ株式オープンの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
サイバーセキュリティ株式オープンの純資産総額は、最盛期と比べると半分くらいに減っており、現在は3300億円となっています。とはいえ、規模としては十分大きなファンドです。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
サイバーセキュリティ株式オープンの実質コストは1.94%とかなり割高です。初年度は、購入時手数料と合わせると、5%を超えてきますので、手を出しづらいですが、このパフォーマンスであれば検討の価値があります。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.870% |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.94%(概算値) |
※引用:運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし)の評価分析
基準価額をどう見る?
サイバーセキュリティ株式オープンの基準価額はコロナショックで急落しましたが、その後、2021年末までは急伸しました。
しかし、2022年以降はその反動で大きく下落しており、2023年はある程度、戻してきましたが、まだ高値更新には至っていません。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
続いて、サイバーセキュリティ株式オープンの利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは+19.00%となっています。3年平均、5年平均利回りは10%以上となっており、この時点で悪くない利回りです。
ただ、この利回りだけを見て、投資判断をしてはいけません。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較したうえで投資をしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +19.00% |
3年 | +12.73% |
5年 | +14.46% |
10年 | - |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している米国株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
サイバーセキュリティ株式オープンは北米株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
サイバーセキュリティ株式オープンは、競合ひしめく米国株カテゴリーにおいて、5年平均利回りは上位20%以内に入っており、優れたパフォーマンスとなっています。
上位●% | |
1年 | 60% |
3年 | 80% |
5年 | 19% |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
サイバーセキュリティ株式オープンの年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。
2018年はほとんどの株式ファンドがマイナスになりましたが、サイバーセキュリティ株式オープンはしっかりプラスを残しています。
2022年は今まで大きく上昇しすぎた反動で大きなマイナスとなっていますが、それ以外の年の利回りを見れば十分とわかるでしょう。
年間利回り | |
2023年 | +34.93%(1-9月) |
2022年 | ▲36.92% |
2021年 | +37.57% |
2020年 | +53.83% |
2019年 | +31.39% |
2018年 | +8.25% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
サイバーセキュリティ株式オープンへの投資を検討するのであれば、少なくとも低コストのインデックスファンドよりはパフォーマンスが優れていなければ投資する価値がありません。
サイバーセキュリティ株式オープンは、米国株に投資をしていきますので、米国の代表的な指数であるS&P500に連動するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、2021年までは、サイバーセキュリティ株式オープンのほうが買っていましたが、2022年以降は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が大きく差を広げています。
より長期の5年平均利回りで見ても、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが上回っていますので、あえて高いコストを支払ってまで投資をするメリットは感じません。
サイバーセキュリティ | Slim 米国株式 | |
1年 | +19.00% | +23.68% |
3年 | +12.73% | +23.72% |
5年 | +14.46% | +15.80% |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、サイバーセキュリティ株式オープンと同じように米国株に投資をしているアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、2021年まではサイバーセキュリティ株式オープンが優勢でしたが、2022年以降はかなり米国成長株投信が大きくリードしています。
アライアンスバーンスタインの米国成長株投信も相当優秀なファンドなので、これに勝てるファンドはほぼありませんが、逆に言えば、パフォーマンスで劣るサイバーセキュリティ株式オープンを選択する理由もなくなりますね。
サイバーセキュリティ | 米国成長株B | |
1年 | +19.00% | +25.71% |
3年 | +12.73% | +18.31% |
5年 | +14.46% | +16.72% |
10年 | - | +18.21% |
※2023年10月時点
為替ヘッジ有か無、どちらがいい?
いざ投資をしよう!と決めても最後に為替ヘッジがありを選ぶか為替ヘッジなしを選ぶかで悩むかもしれません。
ここで、1つ覚えておいてほしいのは、為替ヘッジありを選ぶとその分、ヘッジコストが上乗せされます。信託報酬から比べればわずかな金額ではありますが、この点は覚えておいてください。
そして、とにかく為替のリスクは取りたくないという強い思いがあるのであれば、ヘッジ有を選択肢、特にそこまで不安を感じない人はヘッジ無で良いです。
自分が平常心で投資ができるほうを選択してください。
ちなみにサイバーセキュリティ株式オープン為替ヘッジ有と為替ヘッジ無を比較してみると、直近の3年はヘッジ無のほうがはるかに好調です。
※引用:ウエルスアドバイザー
最大下落率は?
サイバーセキュリティ株式オープンに投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
それではここでサイバーセキュリティ株式オープンの最大下落率を見てみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲17.15% |
3カ月 | ▲19.13% |
6カ月 | ▲25.87% |
12カ月 | ▲36.92% |
※2023年10月時点
最大下落率は2022年1月~2022年12月までの1年間で▲36.92%下落しています。コロナショックよりも大きく上げ過ぎた2021年末からの下落のほうがダメージが大きかったといういことです。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
サイバーセキュリティ株式オープンの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけサイバーセキュリティ株式オープンを購入している人が多いということなので、評判が良いということです。
サイバーセキュリティ株式オープンも2021年の前半まで資金が流入超過となっていたのですが、後半にかけて流出超過となっています。
2022年以降はパフォーマンスが優れないということで、我慢できなかった投資家が解約をしている形です。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
そこで、サイバーセキュリティ株式オープンのNISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし)の今後の見通しと評価まとめ
いかがでしたでしょうか?
今まで、企業におけるサイバーセキュリティへの予算は、IT全体の予算に占める割合としては非常にわずかでした。
しかし、近年では、デジタル化やネットワーク化の進展に伴い、サイバー攻撃への被害は増加し、サイバーセキュリティへの需要が高まっており、セキュリティに対する予算も拡大しています。
加えて、新たなサイバー攻撃手法が次々と生み出され、サイバー攻撃を受けてしまうと、金銭的な損失だけでなく、企業イメージなども悪化することから、企業にとってサイバーセキュリティへの投資は必要不可欠となっています。
5Gの世界が到来すれば、よりサイバーセキュリティへのニーズも出てくることが予想されるので、サイバーセキュリティ株式ファンドはコストは高いですが、投資を検討する価値ありだと思います。
ただ、現状のパフォーマンスを考えると、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に負けてしまっているため、あえて高いコストを支払う魅力がありません。
テーマとしては非常に将来性があるので、ポートフォリオに入れたいところではありますが、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の中にも投資比率は違っても組入れられている銘柄もありますので、それで満足したほうがよいかもしれません。
また単純にパフォーマンスで比較するのであれば、米国株のアクティブファンドであれば、アライアンス・バーンスタインの米国成長株投信を選択するほうがいいですね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点