リスクを取りたくない日本人から圧倒的な支持を集めているバランス型ファンド。
その中でも着実に純資産総額を増やしているのがJPMベスト・インカムです。

債券の比率が高く、リスクの低い運用がされているように見えますが、
実際のところはそういうわけではありません。

あなたが期待しているような運用になっていないかもしれませんので、
注意が必要です。

JPM ベスト・インカムは毎月決算型と、年1回決算型がありますが、
今日は、人気の高い毎月決算型を中心に分析していきます。

年1回決算型を保有しているもしくは検討している人も参考になると思いますよ。

JPM ベスト・インカムの基本情報

投資対象は?

投資対象は、世界の債券、株式、リートで、高いインカム収益と値上がり益が
期待できるアセットクラスに分散投資をしていきます。

インカム収益というのは、「債券の利息」や「株式の配当金」など、一定期間ごとに
受け取ることのできる収益のことで、安定した収益が期待できるのが特徴です。

価格の下落分を安定したインカム収益で補うことで、プラスのリターンを維持する
と書かれていますが、残念ながら、そううまく行くわけではないので、軽々しく
信用してはいけません。


※引用:交付目論見書2018年10月版

通常のバランスファンドですと、債券部分はリスクの低い債券を中心に組み込みますが、
JPM ベスト・インカムの場合は、債券の中でもリスクの高いハイ・イールド債券や
新興国債券を中心に組み込まれています。

債券と名前はついているものの、株式のように値動きをすることが多いので、
注意が必要です。

現在の組入構成は下図のようになっており、株式30.1%、債券48.4%、その他16.6%と
なっています。一見、債券の割合が高くなっており、リスクを抑えた運用がされている
ように見えますが、さきほど言った通り、リスクの高い債券に投資をしており、
かなり値動きしますので、リスクが分散されているとは言いづらい状況です。

※引用:マンスリーレポート2018年10月

株式部分の構成比率を見てみると、北米と欧州で80%ほどを占め、
残りの20%が新興国とオセアニア地域となっています。


※引用:マンスリーレポート2018年10月

続いて、組入られている債券部分の格付評価を見てみましょう。格付というのは、
投資した元本と利息がちゃんと支払われるかどうかを評価したものです。

BB以下の評価の債券は投資不適格債券といって、一般的に機関投資家はリスクが
高いため手を出しません。JPM ベスト・インカムでは、約70%がリスクの高い債券に
投資されています。


※引用:マンスリーレポート2018年10月

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、
あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることが
できなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えが
うまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべき
ポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

JPM ベスト・インカムは毎月純資産総額を伸ばしており、
現在は2300億程度となっています。規模としては全く問題ありません。


※引用:マンスリーレポート2018年10月

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

JPM ベスト・インカムの実質コストは1.61%となっており、かなりコストが高いです。
購入時手数料と併せて5%近くになりますので、本当に良いファンドでないとおすすめできません。

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.60%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.61%(概算値)

※引用:第48期 運用報告書(2018年9月18日)

JPM ベスト・インカムの評価分析

基準価額をどう見る?

JPM ベスト・インカムの現在の基準価額は、9,000円となっています。

分配金再投資基準価額(青線)を見てみると、2016年から2017年末までは、
コツコツと基準価額を伸ばしてきましたが、2018年1月末の暴落以来は、
運用がうまくいっていないようです。


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

利回りはどれくらい?

JPM ベスト・インカムの直近1年間の利回りは▲3.95%となっています。
3年平均利回りは+1.56%となっており、リスクをとった運用をしている割に
大した成果が出ていない状況と言えるでしょう。

この程度の利回りであれば、グローバルの株式、債券、REITに分散投資をした
バランス型のインデックスファンドのほうが高い成績を出しています。

将来リターンについては、標準偏差から計算できますので、ご自身で計算してみてください。
計算方法に自信がない方はこちらをご参考に。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

四半期別の運用パフォーマンスは?

JPM ベスト・インカムの四半期別の運用パフォーマンスを見てると、
2016年、2017年はバランス型のファンドとしては及第点と言えそうです。
ただ、2018年は厳しい結果となりそうですね。

※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

類似ファンドとのパフォーマンス比較

JPM ベスト・インカムは通常のバランス型ファンドよりも幅広いアセットクラスに分散していますが、果たして、その効果はあるのでしょうか?ここで、バランス型ファンドで非常に人気の高い、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)と比較してみました。結果は、JPMベスト・インカムの惨敗です。これでは、高いコストを払ってまでJPMベスト・インカムに投資するメリットはありませんね。


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

最大下落率は?

投資を検討するうえで、標準偏差などから、価格変動の範囲をある程度は
予想できますが、やはり実際に下落した度合いをみたほうがイメージがわきます。

JPM ベスト・インカムでは、2015年3月~2016年2月までの間に最大7.51%
下落しています。運用期間がまだ短いからというのもありますが、
リターンの割りに下落幅は大きいですね。


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

分配金の推移は?

つづいて分配金の推移を見ていきましょう。

分配金は2015年ごろからずっと毎月30円の分配金が出ています。
基準価額に対する分配金の割合を示す分配利回りは4%程度なので、
現状タコ足配当にはなっていますが、無理な分配をしていると
いうわけではありません。

ただし、分配金余力が20カ月程度しかないことから、分配金の減額が
近々行われる可能性は十分にあります。


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

評判はどう?

JPM ベスト・インカムの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法も
ありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流入しているということは、それだけJPM ベスト・インカムを
購入している人が多いということなので、評判が良いということです。

JPM ベスト・インカムは毎月資金が流入しており、非常に評判が良い
ということがわかります。

ただ、私から見ると、どこにそんな魅力があって投資をしているのか
理解しがたいというのが本音ではあります。


※引用:モーニングスターWEBサイト2018年11月時点

JPM ベスト・インカムの今後の見通し

いかがでしたでしょうか?
一言でバランス型ファンドといっても、組入られているファンドや
アセットクラスによって、パフォーマンスは全く変わってきます。

JPM ベスト・インカムで言えば、リスクの高い債券の比率が高いため、
あなたが想定している安定した運用というのが実現できない可能性があります。

ファンドを購入した後だとなかなか勉強する気が起きないと思いますので、
本当に自分の要望がかなうファンドなのか購入する前にしっかり考える
くせをつけてくださいね。

ただ、根本的に私はバランスファンドはあまりおすすめしません。
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