アクティブファンド分析

ニッセイ 健康応援ファンドの評価や評判は?今後の見通しはいかに?

10年以上前から、「健康」をテーマに運用を続けているニッセイ 健康応援ファンド。

毎年、分配金利回りも10%近く出ており、下手にタコ足配当のREITファンドに投資をするよりよほど健全と言えます。

「ニッセイ健康応援ファンドって持ってて大丈夫なの?」

「ニッセイ 健康応援ファンドって投資対象としてどうなの?」

「ニッセイ健康応援ファンドより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

今日はニッセイアセットマネジメントのニッセイ 健康応援ファンドを独自の目線で徹底分析していきます。

ニッセイ 健康応援ファンドの基本情報

投資対象は?

ニッセイ 健康応援ファンドの投資対象は、国内の株式です。

独自の視点で健康にかかわる産業を分類し、健康増進、医療、福祉介護、その他の4分類に分けて、投資していきます。健康増進分野では、生活習慣病や健康意識の高まりに伴い、サプリやトクホ市場の拡大が見込まれています。

医療の分野では、医療財政悪化に伴う医療費抑制の流れを受けて、ジェネリック医薬品の使用や、予防医療のニーズ、電子カルテの導入などが進んでいます。

そして福祉介護の分野では、高齢化の進展に伴い、シニア住宅や介護付きマンション等が拡大しています。


※引用:交付目論見書

ニッセイ 健康応援ファンドは現在60銘柄ほどに投資していますが、組入上位を見てみると、以下のようになっています。医療・治療機器分野への投資に注目していることがわかります。


※引用:マンスリーレポート

純資産総額は?

続いて、ニッセイ 健康応援ファンドの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

純資産総額が小さいと運用が効率的に行えず、余計なコストが発生したり、運用会社も運用に力を入れないため、パフォーマンスが優れないといったデメリットが発生します。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

ニッセイ 健康応援ファンドは、コロナショックで流出していた資金を取り戻し、現在は254億円ほどとなっています。規模はかなり大きいというわけではありませんが、ファンドの規模としては十分です。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

ニッセイ 健康応援ファンドの実質コストは1.87%となっており、コストはかなり高くなっています。パフォーマンスが高くなければ、まず手を出してはいけないファンドです。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.6115%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.87%(概算値)

※引用;最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ニッセイ 健康応援ファンドの評価分析

基準価額をどう見る?

ニッセイ 健康応援ファンドの基準価額(黄線)は2021年をピークに下落を続けています。

分配金を受け取らずに再投資した場合の基準価額(青線)を見ても下落をしていますので、ファンドの運用自体もうまくいっておらず、タコ足配当になっていることがわかります。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

ニッセイ 健康応援ファンドの直近1年間の利回りは、+4.63%と少しプラスとなっています。

10年平均利回りは10%程度で、優秀そうに見えますが、3年平均、5年平均利回りがパッとしませんので、他のファンドと比較をした上で判断していきたいですね。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +4.63%
3年 +0.23%
5年 +0.49%
10年 +9.49%

※2023年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している国内大型株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、優れたファンドに投資をするべきです。

ニッセイ 健康応援ファンドは国内中型株のカテゴリーに属しています。

パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。

10年平均利回りだけは上位60%程度にランクインしていますが、それ以外の期間はほぼ最下位となっており、かなり厳しいです。

投資信託は長期保有が前提ですので、長期のパフォーマンスを重要視するべきですが、5年平均と10年平均利回りに大きな乖離がある場合は要注意ですね。

上位●%
1年 99%
3年 100%
5年 100%
10年 60%

※2023年10月時点

年別の運用利回りは?

ニッセイ 健康応援ファンドの年別の運用利回りを見てみましょう。

年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。

ぱっと見ると、そこまで悪い利回りには見えませんが、同カテゴリーのランキングで見たようにほぼ最下位のパフォーマンスですので、ご注意ください。

年間利回り
2023年 6.67%
2022年 ▲12.85%
2021年 0.13%
2020年 14.04%
2019年 20.87%
2018年 ▲12.58%
2017年 29.67%
2016年 ▲0.24%
2015年 27.96%
2014年 22.06%

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

ニッセイ 健康応援ファンドに投資するのであれば、低コストのインデックスファンドとのパフォーマンス比較はしておいて損はありません。

今回は、日経225に連動する代表的なインデックスファンドであるニッセイ 日経225インデックスファンドと比較をしてみました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、ほぼ全期間において、ニッセイ日経225インデックスファンドがパフォーマンスで上回っています。

より長期のパフォーマンスも比較してみましょう。

年平均利回り ニッセイ健康応援ファンド ニッセイ 日経225
1年 +4.63% +25.03%
3年 +0.23% +13.02%
5年 +0.49% +7.56%
10年 +9.49% +9.99%

※2023年10月時点

全ての期間でニッセイ日経225インデックスファンドに負けています。

長期のパフォーマンスが良いことは重要ですが、短期のパフォーマンスでインデックスファンドに差をつけられてしまっているので、基本的には投資をしないほうがいいですね。

アクティブファンドとのパフォーマンス比較

ニッセイ 健康応援ファンドに投資するのであれば、他のアクティブファンドと比較をしてから投資をしても損はありません。

今回は、国内大型株カテゴリーで非常に優秀なパフォーマンスを残しているスパークスの厳選投資と比較しました。


※引用:ウエルスアドバイザー

こちらも直近3年間では、ほぼ全期間において、厳選投資のほうが一歩リードしていることがわかります。より長期のパフォーマンスで比較をしても、やはり厳選投資が一枚上手ですね。

年平均利回り ニッセイ健康応援ファンド 厳選投資
1年利回り +4.63% +27.48%
3年平均 +0.23% +8.05%
5年平均 +0.49% +5.79%
10年平均 +9.49% +13.60%

※2023年10月時点

最大下落率は?

投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。

どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。

標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。

それでは、ニッセイ 健康応援ファンドの最大下落率を調べてみましょう。

期間 下落率
1カ月 ▲15.27%
3カ月 ▲24.29%
6カ月 ▲30.07%
12カ月 ▲27.37%

※2023年10月時点

ニッセイ 健康応援ファンドは2008年9月~2009年2月までに最大▲30.07%下落しました。

コロナショックでも、下落幅は通常の株式ファンドと比較して、小さくなっていましたが、下落幅が小さいのは市場の影響を受けにくい、健康関連の銘柄の比率が高いことが要因でしょう。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

分配金の推移は?

続いて、分配金の推移を見ていきましょう。2014年以降は、毎年高い分配金を出し続けています。

毎年10%程度の分配金を出していますので、下手に毎月分配型のファンドに手を出すよりよほど健全に分配金を受け取ることが可能です。

2022年、2023年はさすがに分配金が減りましたが、REITよりもはるかに健全な分配が期待できますね。

分配金
2023年 200円
2022年 300円
2021年 1,500円
2020年 1,000円
2019年 1,000円
2018年 2,000円
2017年 2,000円
2016年 1,500円
2015年 4,500円
2014年 3,300円

※2023年10月時点

評判はどう?

ニッセイ 健康応援ファンドの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流入しているということは、それだけニッセイ 健康応援ファンドを購入している人が多いということなので、評判がよくなっているということです。

ニッセイ 健康応援ファンドは、2022年までは人気を取り戻しつつありましたが、2022年、2023年と分配金が奮っておらず、失望した投資家が資金を引き出してしまっています。パフォーマンスもインデックスファンドに長期で負け続けているので、評判が悪いのも仕方ないですね。


※引用:ウエルスアドバイザー

ニッセイ 健康応援ファンドの今後の見通しと評価まとめ

いかがでしたでしょうか?

医療や健康といった分野というのは比較的株価の下落に強いとされている分野で、コロナショックでもその下落幅はある程度抑えられていました。

下落幅を小さく抑えることは長期で見るとパフォーマンスに大きな影響を与えますので、とても重要な観点なのですが、コロナショックではテクノロジー系の株が急伸したこともあり、逆にニッセイ 健康応援ファンドのようなファンドは出遅れることになりました。

ニッセイ 健康応援ファンドは、インデックスファンドと比べても、パフォーマンスで劣後しており、長期での運用をしていく上で、あえて健康関連の銘柄に絞るメリットがどこまであるかは甚だ疑問が残ります。

10年平均利回りでは高いパフォーマンスとなっているので、今後にも期待したいところではありますが、少しパフォーマンスの波が大きいので、あえて1本選ぶというときに、ニッセイ 健康応援ファンドを選ぶというのは難しいと思います。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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