フィデリティ・USリート・ファンドと並び、かつて純資産総額が1兆円をこえていた
ラサール・グローバルREITファンド。

直近3年ほどは運用実績も芳しくなく、高い分配金をタコ足配当で出していたため、
基準価額が恐ろしい勢いで下落しています。

私のお客様でもラサール・グローバルREITファンドを保有している方が複数名おり、
実際どうすればよいか、よく聞かれるので、私なりにこちらのファンドを分析してみました。
ぜひ参考にしてください。

ラサール・グローバルREITファンドの基本情報

投資対象は?

ラサール・グローバルREITファンドは世界中のREITを主要投資対象とし、賃料収入を通じた
比較的高い利回りの獲得と景気循環をに睨んだREIT価格の上昇を狙っていきます。


※引用:交付目論見書

米国REITが全体の約7割を占め、残り3割を他の先進国のREITが占めています。
商業施設やオフィスビルへの投資比率が高いのも特徴です。


※引用:マンスリーレポート(2018年10月時点)

運用体制は?

運用体制は4名のファンドマネージャーによるチーム運用制を採用しており、
平均の運用・調査経験年数は30年近くとかなり経験豊富です。

アナリストは19名とこちらも充実した調査体制となっています。
世界各国のREIT約450社を対象に最低年2回は訪問調査を行っています。

ラサール社は、総合不動産サービスを提供するジョーンズ・ラング・ラサール社の
グループ会社ですので、母体であるラサール社が日々収集している豊富な不動産情報を
活かし、物件価値を正確に査定できるのも強みと言えるでしょう。

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、
あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることが
できなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えが
うまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべき
ポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

ラサール・グローバルREITファンドは一時期より規模が小さくなったとはいえ、
5400億円程度ありますので、規模によるデメリットはありませんね。


※引用:マンスリーレポート(2018年10月時点)

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、
保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

ラサール・グローバルREITファンドの実質コストは1.785%とカテゴリー平均よりは
安くなっています。ただ、購入時手数料と合わせると5%近くになりますので、
積極的にはおすすめできません。

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.62%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.785%(概算値)

※第172期 運用報告書(決算日2018年7月5日)より

ラサール・グローバルREITファンドの評価分析

基準価額をどう見る?

ラサール・グローバルREITファンドの直近3年間の基準価額の推移を見ると
右肩下がりになっています。これは、ファンドの収益力より分配利回りが高いためです。
分配金再投資基準価額(青線)の推移でみても、ほぼ横ばいのため、
直近の運用はうまくはいってないと言えます。


※引用:モーニングスターWEBサイト

利回りはどれくらい?

ラサール・グローバルREITファンド直近1年間の利回りは+4.47%となっています。
5年平均利回りは+7.23%、10年平均利回りは9.97%となっており、過剰な分配を
していなければ、悪くないファンドであるのが残念ですね。


※引用:モーニングスターWEBサイト

四半期別運用パフォーマンス

ラサール・グローバルREITファンドの四半期別のパフォーマンスを見てみましょう。
2014年に高いリターンはじき出しましたが、それ以降は、なんとも優れない結果が
続いています。

※引用:モーニングスターWEBサイト

類似ファンドとのパフォーマンス比較

ラサール・グローバルREITファンドに投資をするのであれば、他のファンドと
パフォーマンスを比較しておいて損はありません。

今回は、S&P先進国REIT指数をベンチマークとして採用している
SMT グローバルREITインデックスと比較をしてみました。

結果は、ラサール・グローバルREITファンドの惨敗です。これでは高いコストを
支払ってまで投資をするメリットがありません。


※引用:モーニングスターWEBサイト

分配金の推移と分配金余力は?

ラサール・グローバルREITファンドの分配金は、2016年に毎月60円ありましたが、
2017年には40円になり、今年に入り25円にまで減額されています。

これにより分配金余力は220カ月とかなり伸びたのですが、基準価額あたりの分配金の
割合を示す分配金利回りが約15%と、高くなっていますので、注意が必要です。


※引用:モーニングスターWEBサイト

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで
一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流出しているということは、それだけこのファンドを解約している人が
多いということなので、評判が悪いということです。

ラサール・グローバルREITファンドは、2016年末までは毎月資金が流入し、
2016年末から資金の流出が止まりません。

資金が流出している=解約しているということですので、
多くの人が次から次へと投資信託を解約しているということです。


※引用:モーニングスターWEBサイト

ラサール・グローバルREITファンドの今後の見通し

景気先行指数は多くの地域で改善基調を維持し、世界経済
は健全な水準で推移しています。

緩やかな経済成長を背景とした堅調な不動産ファンダメンタルズは
REITの利益成長を下支えするものと考えます。グローバルREITの
成長率はだいたい1桁中盤で今後推移すると言われています。

毎月分配型の投資信託でなければ、堅実な投資手段の一つとし、
ポートフォリオの中にREITを保有しておくのは面白いと思いますが、
分配利回り15%の毎月分配型の投資信託となると話は変わります。

今後数年間のグローバルREITの成長率が4~6%程度と予想されているので、
分配金を適正な水準に戻すのであれば、約10~11円/月となるかもしれません。

一方で、分配金を大きく下げてしまうと、資金の流出が加速するため、
運用会社はあまり積極的にやりたがりません。現状の分配利回りを
維持しようとすると、現状の運用リターンだけでは賄いきれませんので、
当然基準価額の下落を引き起こします。

ラサール・グローバルREITファンドは現時点で分配余力は220か月なので、後20年
くらいは分配金は受け取れると思いますが、分配金が受け取れる=儲かるわけではなく、
あなたが投資した元本がただ払い戻されているだけなので、勘違いしないでくださいね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
ラサール社は不動産会社を母体とした企業なので、現場の不動産査定も多くの
ノウハウを持っています。そして、ファンドのほうは運用体制も経験豊富な
ファンドマネージャーやアナリストが揃っています。

毎月分配型になっておらず、通常のグローバルREIT投資信託であれば購入を
検討するに値しますが、他にもっと優秀なファンドがいくつもある中で、
あえて毎月分配型のこのREITファンドを選ぶ理由はないというのが正直なところですね。